英国市場で復調を見せるディーゼルエンジン
シンガーソングライターのケイト・ブッシュ氏が、44年ぶりに英国のシングルチャートで1位を獲得した。1985年にリリースしている、ランニング・アップ・ザット・ヒル(神秘の丘)という曲で。
【画像】優れたコストパフォーマンス 8代目アストラ 競合ハッチと比較 ステーションワゴンも 全142枚
快挙といえるカムバック・ヒットだが、実は最近、ディーゼルエンジンも英国市場で復調を見せている。勢いではケイトの比較にならないけれど。
一時期は主力の選択肢から外れていたものの、長距離の高速移動などにおける効率の高さへ再び注目が集まっている。バッテリーEV(BEV)の航続距離が伸び、急速充電器が普及するまで、特定モデルでのディーゼルの支持率は一定数が保たれるようだ。
実際、新しいヴォグゾール(オペル)のアストラにもプラグイン・ハイブリッド(PHEV)やガソリンターボと並んで、ディーゼルターボが用意されている。シトロエンC4やプジョー308と同様に。
コンパクト・ハッチバックで選べるパワートレインとして、驚かされるほどのラインナップだといえる。クルマに求められる能力の幅を考えれば、歓迎される事実だろう。都市部の移動だけでなく、長距離通勤にもアストラは活躍することになるからだ。
実際より高価なクルマに感じる静かさ
アストラのディーゼルエンジンは、1.5Lの4気筒ターボ。最高出力は129psと控えめだが、最大トルクは30.4kg-mとかなり太い。不足ない直線加速を披露するだけでなく、中回転域を活用すればリラックスしたクルージングも容易い。
余裕のあるトルクは、8速ATを介してフロントタイヤに伝達される。残念なことに、ステランティス・グループの他のモデルのように、操作しやすいシフトレバーは備わらない。それでも変速の反応はキビキビしていて、レシオも塩梅が良い。
ディーゼルターボの高効率な回転域を活かしながら、テンポよくシフトアップしていく。ためらいがちな変速で、もどかしい思いをすることもない。
WLTP値での燃費は、21.7km/Lから22.7km/Lと良好。アストラに積まれる1.2L 3気筒ガソリンターボの方が活発ながら、ランニングコストではディーゼルターボが遥かに勝る。高速道路では、より威力を発揮するはず。
アイドリング時はディーゼルらしいノイズが車内に響き、8代目のプレミアム感漂うボディやインテリアのデザインに合致しないことは確か。しかし、走り始めれば一気に静かに転じていく。
スピードが乗ってしまえば、ディーゼルであることを忘れてしまうほど。もちろん、ノイズをかき消すほどサスペンションや風切り音がうるさいわけではない。信号待ちなどを除いて、実際より高価なクルマに感じさせてくれる。
ライバルより好印象なインテリア
インテリアの眺めは、フォード・フォーカスより視覚的なアピール力が強く、ダッシュボード中央のタッチモニターはフォルクスワーゲン・ゴルフより扱いやすい。指紋の残りがちなピアノブラックのパネルが多いものの、全体的には好印象だ。
インフォテイメント・システムは、ユーザーが想像したところに探している項目が大抵ある。何層かメニューを掘り下げることはあっても、理解しやすい。しかも車内は広々としていて、居心地が良い。
試乗したアストラは、GSラインというトリムグレードで、英国価格は2万7560ポンド(約454万円)。ヴォグゾール(オペル)と考えると少し身構えてしまう金額とはいえ、近年は全般的に新車価格が高い。比較すれば、まだ価格価値は悪くないといえる。
装備は充実している。駐車時の360度カメラや知的なアダプティブ・クルーズコントロール、ワイヤレスでのスマートフォンとのミラーリング機能、デュアルゾーン・エアコンなどが標準で付いてくる。
ただし、ワイヤレス・スマートフォン充電機能やカッコいいホイール、パノラミック・サンルーフなどを備えるトップグレードのアルティメットは、同等装備をオプションで追加したGSラインより安い。価格表を比べながら、考えて選びたいところだ。
ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.5ディーゼル GSライン(英国仕様)のスペック
英国価格:2万7560ポンド(約454万円)
全長:4374mm
全幅:1860mm
全高:1441mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:10.6秒
燃費:21.7-22.7km/L
CO2排出量:116-121g/km
車両重量:1350kg
パワートレイン:直列4気筒1498ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:129ps
最大トルク:30.4kg-m
ギアボックス:8速オートマティック
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