現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 最初に登場した電動化モデルは「小さなお洒落EV」──今のDS、これからのDS(前編)

ここから本文です

最初に登場した電動化モデルは「小さなお洒落EV」──今のDS、これからのDS(前編)

掲載 更新
最初に登場した電動化モデルは「小さなお洒落EV」──今のDS、これからのDS(前編)

DSブランドの電動化モデル、E-TENSE。まず日本に上陸したのがEVのDS 3クロスバック E-TENSEだ。「小さなお洒落EV」という分かりやすい立ち位置のコンパクトSUVの実力を検証する。

フランス車の得意としてきた、小さな高級車

29歳、フェラーリを買う──Vol.93 修理金額判明

まだまだ価格の高いEVを選ぶ理由って、意識高い系のイメージとか走行あたりのコストメリットとか、静かで加速がスゴい以外に、何があるだろうか? 脱炭素化待ったなし、とはいえライフサイクルアセスメントとか再生可能エネルギーの供給まで質せば、クルマ単体でエコは無理でも、始められるところからしか始まらない状態。でもEVに乗りたい気にさせるものが、優遇税制か、危なっかしい何ちゃって自動運転機能の醸し出す仮そめの未来感ぐらいでは、お寒い限りだ。

その点、DS 3クロスバック E-TENSEの「小さなお洒落EV」という立ち位置は分かりやすい。

外観上は、これまでのガソリン版とエンブレムぐらいしか違いはないが、当面は専用となる白一色の「リヴォリ」内装が圧倒的に洒脱。ダッシュボードからステアリング、ドアパネルにかけて白いナッパレザーが張り巡らされ、その上にこれまた白のダイアモンドステッチが走り、サイドサポート以外のシート座面や背面がファブリックという、異素材グラデのワントーンコーデなのだ。柔らかだがクラフト感のある仕上がりは、むしろ女性の方がメゾン系の鞄や革小物で馴染みある質感で、プレミアムとはいえBセグの車格から想像される雰囲気をはるかに超えてくる。フランス車の得意としてきた、小さな高級車の面目躍如だ。

パワートレインだけ見れば、これまでもあった1.2リッターターボの直3ガソリンエンジンが、近いスペックだが少しだけ増した136ps/260Nmの電気モーターに代わっている。もちろんガソリン版は継続販売されるし、年初に155psのパフォーマンスラインも加わったので、いずれを選ぶかはそれこそ乗り手次第だ。

メリハリを効かせて走らせるのが心地いい

ひと悶着ありそうなのは、パナールロッドという、ハイドロニューマチックのシトロエンDSが誕生した頃から存在したような、プリミティブな形式のリアサスを採用した点だ。「DSってフランスの前衛じゃなかったの?」と記号論者は涙目になり、「いやいやパナールはDSの歴史の一部」と歴史ツウは強弁するかもしれない。が、純粋に物理的・技術的な判断として、50kWh容量の重量物たるリチウムイオンバッテリーを後車軸寄りで受け止めるためで、その分、WLTPモードで約320kmの航続距離を確保している。小さめ容量でリア駆動でストラット式を採ったホンダeとは対照的なアプローチともいえる。

そもそもDS 3クロスバックのガソリン版は、静粛性の高さと秀逸なステアリングフィールの際立つ1台だが、E-テンスで走り出すと輪をかけて静かな走行感に驚く。バッテリー重量で+300kgとなった分、260Nmと+30Nm太ったはずのトルク感はほぼ相殺され、目を剥くような発進加速ではない。それでもステアリングフィールごと軽快さは失われておらず、キビキビというより、スムーズにメリハリを効かせて走らせるのが心地いい。

難点は、キツめの制動をかけるとブレーキの摩擦とモーター回生の抵抗が協調しきらない局面があって、制動力がすっぽ抜けることはないが、振動音が出る。制御として修正を期したいところだ。

ちなみに「E-TENSE」とは、DSのラインナップ内で広く電動化モデルを指す呼称で、BEVだけでなくPHEVなどハイブリッドをも指す。ブランドとして認知度はまだ発展途上のDSゆえ、DS 3クロスバック E-TENSEはフェミニン仕様に見えやすい。ところがDSはフォーミュラEで、ドイツ車御三家やポルシェ、ジャガーらを抑えて、直近の2シーズンのコンストラクターズ・タイトルを連覇したほど、武闘派EVとしても頭角を現している。

次回はDS 3クロスバック E-TENSEという第1弾に続いて、日本に今年導入が予定される電動化モデルを見ていこう。(後編に続く)

文・南陽一浩 写真・茂呂幸正、グループPSAジャパン 編集・iconic

こんな記事も読まれています

中上貴晶が語るテストチームとのズレ。ホンダRC213Vの現状は「問題が多過ぎる。データ解析しても表れない」
中上貴晶が語るテストチームとのズレ。ホンダRC213Vの現状は「問題が多過ぎる。データ解析しても表れない」
AUTOSPORT web
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
グーネット
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
グーネット
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
グーネット
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
グーネット
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベストカーWeb
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
ベストカーWeb
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
ベストカーWeb
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
Auto Messe Web
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
motorsport.com 日本版
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
カー・アンド・ドライバー
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
グーネット
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
グーネット
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
グーネット
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
AUTOCAR JAPAN
3時間で争われるスーパーGT第2戦富士の持ち込みタイヤ数と義務ピット回数が発表。モラルハザードは1名が適用
3時間で争われるスーパーGT第2戦富士の持ち込みタイヤ数と義務ピット回数が発表。モラルハザードは1名が適用
AUTOSPORT web
F1、2025年に向けてポイントシステム変更を検討。12位まで対象を拡大か
F1、2025年に向けてポイントシステム変更を検討。12位まで対象を拡大か
AUTOSPORT web
「30万円」の大幅値下げ!? 鮮烈レッドの「新型セダン」発表! 爆速の「超高性能モデル」も新設定! 今あえて「値上げラッシュ」に逆行した理由とは
「30万円」の大幅値下げ!? 鮮烈レッドの「新型セダン」発表! 爆速の「超高性能モデル」も新設定! 今あえて「値上げラッシュ」に逆行した理由とは
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村