ISG付き新6気筒エンジンを搭載
text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
BMWが6シリーズのカブリオレをやめて以来、Eクラスのカブリオレは、少し大きい4シーターの高級コンバーチブル市場で独占的な位置にある。
アウディS5にもカブリオレはあるが、ひと回り小さく、Eクラスほどラグジュアリーではない。8シリーズのカブリオレは動的性能に重心が偏っているし、ライバル関係でいえばSクラス・カブリオレが相当する。
競争相手が不在といえる状態で、Eクラス・カブリオレは短いながら平穏な時間を過ごせていたのかもしれない。それでも5代目Eクラス、W213型の高評価を末期まで保つため、リフレッシュが施された。
2020年に、Eクラス全体でフェイスリフトされている。今回試乗するE450カブリオレも同様。もちろんメルセデスAMGのE53も、足並みをそろえている。しかも、内容は小さくない。
新しいEクラスに共通する、アグレッシブ感を増したフロント周りのデザインに加えて、インテリアもアップデート。E450のエンジンは、これまでのツインターボV6から、新しい3.0Lの直列6気筒シングルターボ・ユニットへ置き換わった。
このエンジンはM256型と呼ばれ、最新のCLSやSクラス、GLEも採用するユニット。メルセデス・ベンツがEQブーストと呼ぶ、電圧48Vによる統合型スターター・ジェネレーター(ISG)を搭載する。エンジンをアシストしつつ、滑らかな加速を実現している。
E450の設定では、エンジン単体で367psと50.9kg-mを発生。さらにEQブースト・システムが、22psと25.3kg-mを加算する。
目的地までゆったりドライブを楽しむ
トランスミッションは、マイナーチェンジ前と変わらず9速AT。4マティックと呼ばれる四輪駆動だ。
目的地までゆったりドライブを楽しむクルマとして、Eクラス・カブリオレは好適。豪華な車内で最初に気づくのは、真新しいデザインのステアリングホイールだろう。
センターボスは大きくなり、数多く並んでいたボタンは、スポーク上のタッチセンサーへ置き換わっている。見事に仕立てられたレザー内装を、視覚的に引き立てる存在感がある。
シャープな画像で反応の良い、大きなモニターがダッシュボード上部に鎮座。トラディショナルな木パネルがアクセントを加え、独特な雰囲気のインテリアに仕上がっている。
シートは大きく快適。サイドサポートも充分で、ゆったりと流すだけでなく、速いペースで走る時も身体を優しく支えてくれる。シートの位置や角度調整の幅も大きい。
シートヒーターに加え、ヘッドレスト付近からエアコンの風が流れる「エアスカーフ」も装備。寒い日の長距離ドライブでも、ルーフを開く勇気を与えてくれる。積極的にオープンで走りたい。
オープン状態では、高速走行時の風切り音は大きい。だが、フロントガラス上に伸びるエアキャップと呼ばれるディフレクターを用いれば、ロングヘアーが乱気流でもみくちゃにされることはないだろう。
穏やかな足まわりながら高い動的性能
リアに格納されているカンバス製のルーフを閉じれば、ハードトップ・クーペと比較しても、目立った欠点は感じられない。徐行程度なら走行中でも開閉可能で、完了までの時間は20秒。ルーフは、外界から車内をしっかり隔離してくれる。
0-100km/h加速に要する時間は5.2秒。E450カブリオレの動力性能に不足はない。ゆったりした雰囲気にも関わらず、機敏でたくましい。不思議の国のアリスに登場する芋虫のよう、といったら失礼だろうか。
ルーフを開けば、直列6気筒エンジンの放つ威勢のいいサンドを、より身近に楽しめる。アクセルペダルへ込める力具合で、ゆったりとした唸り声から、豊かな叫びへと変化する。
加速は、感心するほどにクリーミーで直線的。回転域を問わず、力強く速度を乗せていく。
変速時の振る舞いも、不満を感じるスキがないほどにエレガント。メルセデス・ベンツ製の9速ATは、滑らかに、効率的にギアを選ぶ。
ステアリングホイールに取り付けられたシフトパドルを弾けば、9速ATは喜んで応えてくれる。だが、少し操作しないでおくと、すぐにオート・モードへ戻ってしまう。
マニュアル・モードを選ぶと改善できるが、スポーティさが増すエンジン・マッピングとの相性は、良くないようだ。筆者は少し残念だったが、クルマのターゲット層や性格を考えれば、当然の味付けではある。
今回の試乗車はドイツ仕様で、エアサスペンションを搭載していた。コンフォート・モードを選ぶと、驚くほど柔軟で、優れた乗り心地に身を委ねられる。
このクルマなら6気筒エンジンを選びたい
スポーツ+モードを選べば、不足ない姿勢制御も適えてくれる。ただし、ボディのサイズや重量、ロールの大きさを隠すことはできない。ゆったりしたレシオを持つステアリングも相まって、素早くコーナーを縫って走るタイプではないと、実感させられる。
グリップレベルは高く、ステアリングの応答も正確。高速コーナリング時でも確かな重みを感じ取れる。
E450カブリオレは、見た目以上に振り幅が大きい。ペースを速めれば、想像以上に運転を楽しめる。ゴルフコースの帰り道でまだ元気が残っているなら、ドライビングに浸ることも可能だろう。
正式な価格は発表されていない。先代モデルを参考に考えると、おそらく英国では6万ポンド(810万円)前後になると見込まれる。一方で、BMW 8シリーズのカブリオレは8万935ポンド(1092万円)からとなっている。
追って安価な4気筒ガソリンと、ディーゼル版も登場予定ではある。だがEクラスのカブリオレに相応しいのは、この6気筒エンジンだと思う。
快適に余裕を持って走れる、4シーターのコンバーチブルを探しているのなら、メルセデス・ベンツE450はうってつけだ。
メルセデス・ベンツEクラス E450カブリオレ(欧州仕様)のスペック
価格:6万ポンド(810万円/予想)
全長:4826mm(フェイスリフト前)
全幅:1860mm(フェイスリフト前)
全高:1427mm(フェイスリフト前)
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.2秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:-
乾燥重量:2040kg
パワートレイン:直列6気筒2999ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:367ps/5500-6100rpm+22ps
最大トルク:50.9kg-m/1600-4500rpm+25.3kg-m
ギアボックス:9速オートマティック
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