この記事をまとめると
■WEB CARTOPライター陣に聞く「個人的に思い入れのあるクルマ」を紹介する連載企画
ロスの自動車店に駆け込んだ! あらゆる自動車に乗りまくっているプロが「超個人的に思い入れのあるクルマ」【青山尚暉編】
■今回はスーパーカー大王の異名を持つ山崎元裕さん
■挙がった名前はその異名からは想像もつかない国産車だった
GSのバイトで手に入れたスポーツハッチバック
自分にとって特別な思い入れのあるクルマですか。簡単なようで難しいようで、じつはとても簡単な質問です。日頃からスーパーカーとかの原稿ばかり書いていると、きっとランボルギーニのカウンタックとか、フェラーリの365GTB4BBとかいう車名があがると想像する人も多いと思うけれど、残念ながらそれはまったく的外れな予想。だってボクが特別な思い入れを持つ1台は、小さな直列4気筒エンジンを搭載した日本のハッチバック車ですからね。たぶんもう多くの人が名前も忘れているかもしれないけれど、それはトヨタの「スターレット」。正確には1978年から1984年まで販売されていた2代目、KP61型スターレットの「S」グレードですね。
じつはこのKP61型スターレット、自分のクルマとしては2台目にあたるもの。最初に買ったのは、やはりトヨタのTA22型セリカGTVで、こちらはわずか数カ月で箱根の山に消え去ってしまいました。車検も取ったばかりだし、タイヤもほとんど新品、カセットデッキも同様に装着したばかりだったのに、という泣き言はともあれ、とりあえずは怪我人も出さずにことなきを得ました。
※写真はセリカ1600GT
そしてここから始まったのが、KP61型スターレット購入計画。当時の大学の先輩に、ガソリンスタンドでのアルバイトを紹介され、とりあえず50万円を目標に貯金を始めます。いまならこの「WEB CARTOP」の原稿を一本書けば、10万円くらいの原稿料がもらえるはずですが(それを確認したことは一度もないけれど)、当時のガソリンスタンドでの時給は死ぬほど安かった。それでもアルバイトを始めてしばらくして、優秀なオレはガソリンスタンドでは神ともいえる「乙種第4類危険物取扱者」の資格に合格。さらに夜8時から朝8時まで働くと1万円という高額な条件での仕事を得ることに成功したのでした。
念願のスターレットを手に入れて走りまくった青春時代
念願のスターレットが手に入ったのは、バイトを続けて1年以上経った頃でしょうか。このスターレットでオレは、本当にいろいろなことを勉強しました。自動車のメカニズムはもちろん、徐々にラリー車へと姿を変えていったスターレットではいまの何倍も走りにいったのです。クルマが手に入ってもバイト先はガソリンスタンドのままでしたから、いわゆる洗車族のハシリとして、夜中にお客さんなど来ない時間には、徹底的なミガキを入れて、購入から1年以上が経っても、そのスターレットは縦横斜めのどこから見ても、新車以上の輝きだったと記憶しています。
※写真は1300スターレットSE
けれどもこのスターレットとの生活は、いつまでも最優先というわけにはいきませんでした。普通の友人が(当然オレを筆頭に普通でない友人もいた)就職先が決まる頃、オレはといえば何とか自動車雑誌の世界に入り込むことはできないかなどという甘い夢を描いていたのですから。自動車雑誌のバイト小僧→編集者→モータージャーナリストというコースに何とか乗れないものかと思案しているうちに時間は流れ、ようやくある編集部にバイト小僧ならぬ、クルマ磨き&運びのバイトで雇ってもらったとき、スターレットでの経験で得た技術が生きたのです。けれども仕事はガソリンスタンドの比ではないほどに忙しく、残念ながらここで愛車とはお別れすることになりました。給料も大幅に下がりましたしね。
いまでもガソリンスタンドに行くと、たまにそこのバイト君のものと思われる、ピッカピッカのクルマが置いてあるのを見ることがあります。それを見るたびに、自分が乗っていたスターレットのことを思い出します。キミも頑張れば、自動車メディアのバイト小僧になれるかもよ。なりたくないかもしれないけど。
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みんなのコメント
今思うと1人で乗る車としてはアレで十分だった。