新型ランドクルーザーは300系として2021年夏以降に発売予定
トヨタは6月10日、新型ランドクルーザーを世界初公開した。生誕70周年となる今年、長年にわたる技術の積み重ねと最新技術の融合により素性を刷新、300系として2021年夏以降に世界各地で発売予定としている。
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ランドクルーザーは1951年8月のデビュー当時、トヨタ・ジープBJ型と名乗っていた。その名前がランドクルーザー(陸の巡洋艦)に変わるのは1954年6月24日のこと。強力なエンジンを備えた四輪駆動車で、自動車として初めて富士山6合目までの登山に成功するなど厳しい環境で高い走破性を発揮、その実績も踏まえて全国各地でパトロールカーとして採用されるようになった。現在では“ランクル”との相性で親しまれている。
当時から、ランドクルーザーの目標は「このクルマに関わるさまざまな人々に安全と安心をお届けする」こと。現在トヨタが目指しているモビリティカンパニーへの礎ともいえる伝統が、ランドクルーザーとともに70年前にスタートしたわけだ。それ以来、ランドクルーザーは累計約1040万台、年間30万台以上が世界170の国と地域で愛用されている。
ランドクルーザーに求められる性能は、現代でも変わらず「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」。トヨタは世界中の使用実態に基づき、随時、開発・評価の基準をより厳しく設定、ランドクルーザーを鍛えて進化させてきた。
新開発のフレーム構造を採用、200kgの軽量化を実現
今回フルモデルチェンジを実施した新型ランドクルーザー、300系は2007年に登場した200系の後継モデルとしての位置づけ。その開発の狙いは2点。まずランドクルーザーの本質である「信頼性・耐久性・悪路走破性」は進化させつつ継承すること。そして世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現することだ。
これらを踏まえ、ランドクルーザーはフレーム構造を踏襲。しかしプラットフォームは新作で、TNGAに基づくその名も新「GA-Fプラットフォーム」(「GA-F」は、「グローバルアーキテクチャー・フレーム」の略だろう)。
新GA-Fプラットフォームは、フレーム自体を新設計として軽量・高剛性化を図っている。フレーム、車体を含めた車両全体の軽量化はなんとマイナス200kg! モノコック構造に変更するクロカンモデルが多いなか、フレーム構造を維持したまま驚くべき軽量化を実現ししている。さらに重量配分やサスペンション構造にも手が入れられ、素性のよさを引き上げた。また「凄腕」、「匠」といった社内の熟練ドライバーやダカールラリー出場ドライバーをはじめとする評価メンバーによる実路走行にも注力。オンロードもオフロードも運転しやすく、疲れにくいクルマを目指して開発された。
具体的にはタイヤの浮きづらさ(ホイールアーティキュレーション)、世界初となるE-KDSS(Electronic Kinetic Dynamics Suspension System)の採用による接地の向上に加えて、ドライバー視点で障害物を直感的に可視化できるマルチテレインモニターの採用、さらに走行路面を判定して自動でモード選択するマルチテレインセレクトも搭載された。
V8エンジンはV6ツインターボに換装。ガソリン&ディーゼルを設定
気になるパワートレーンだが、V8エンジンは廃止。代わりに新開発となるV6ツインターボエンジン(3.5Lガソリン、3.3Lディーゼル)を搭載。従来V8エンジンをも超えるクラストップレベルの動力性能とドライバビリティの実現を図っている。トランスミッションも新開発の10速ATで、ボディの軽量化とも相まって環境性能向上にも貢献する。各地域の販売計画と燃費モードを加重平均して行ったトヨタ社内の試算では、従来比で車両使用時の年間CO2排出量をグローバル全台数分で約10%低減できる見込みとなっているそうだ。
それぞれのスペックは下記のとおり。
・3.5L・V6ガソリンターボ…最高出力305kW(415ps)/最大トルク650Nm
・3.3L・V6ディーゼルターボ…最高出力227kW(309ps)/最大トルク700Nm
従来のV8ガソリンエンジンのスペックは最高出力234kW(318ps)/最大トルク460Nm。4.7L・V8 NAの豪快なフィーリングは魅力的だったが、新型エンジンはボディの軽量化もあってさらに胸のすく加速感を味わわせてくれるはずだ。ちなみに現在、日本市場にガソリン、ディーゼルどちらのエンジンが導入されるかは不明。
ボディサイズはそのまま。力強さと機能性を併せ持った内外装デザイン
そしてデザイン。ランドクルーザーらしさは継承しつつも、オフロード走行時のダメージを受けにくいランプ位置やバンパー造形など機能美を追求。また内装では悪路でもクルマの姿勢を捉えやすい水平貴重のインパネを採用している。直感操作ができるスイッチ類を機能ごとにレイアウト、形状や色など操作性を考慮した意匠とすることで、快適性も追求されている。
なお、パッケージについては悪路走破性を重視して全長・全幅・ホイールベースなどの車両サイズ、さらにデパーチャーアングル・アプローチアングルは従来型を踏襲している(一部グレードを除く)。
最後に先進安全装備について。トヨタセーフティセンスは最新版を搭載。歩行者(昼夜)や自転車(昼)を検知して衝突回避または被害軽減に寄与するプリクラッシュセーフティに、交差点での対向直進車や右左折時に前方から来る横断歩行者の検知機能、さらにドライバーによる回避操舵をきっかけに操舵と車線逸脱抑制をサポートする緊急時操舵回避支援機能を追加。駐車場での前後障害物や後退時の接近車両および歩行者を認識して事故防止に寄与するパーキングサポートブレーキも新たに採用している。
先代のデビューから約15年。ランクルならではの頼もしさはそのままに、すべてを一新した新型の日本導入が待ち遠しい!
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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