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王座狙うヌービルが首位奪取。霧が漂うなかクラッシュ寸前のアタック合戦に【第12戦デイ2】

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王座狙うヌービルが首位奪取。霧が漂うなかクラッシュ寸前のアタック合戦に【第12戦デイ2】

 10月18日(金)、チェコ、ドイツ、オーストリアを舞台とする2024WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーのデイ2が行われ、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合首位に立っている。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合5番手で大会2日目を終えた。

 第4戦クロアチア・ラリー以来のターマック(舗装路)ラリーとなる第12戦。シリーズ唯一、中央ヨーロッパの3カ国を跨いで開催されている今大会のデイ2の主な舞台はチェコの公道だ。

【順位結果】2024年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー SS8後

■滑りやすい路面に早くも波乱

 3本のループステージ(全110.64km)を争うこの日は、気温11度とまだまだ寒い曇り空のもと開幕した。最初のステージは、デイ1の夜にも同区間で実施されたスペシャルステージ(SS)3『クラトヴィ2』(11.78km)だ。

 草原の間を抜ける道幅の狭いステージだが、細かなアップダウンも多い区間。しかし、そのレイアウトよりも選手たちの集中が向けられたのは、徐々に濃さを増してきた霧と、路面に残る朝露だ。

 グリップ変化に注意の必要な難コンディションで、まずトップタイムをマークしたのはセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)となり、さらに僚友勝田とエルフィン・エバンス(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)もツー・スリーで続いた。

 次のSS4『ストラシン1』(26.69km)に向かうと、走順によって霧の深いタイミングも分かれてくるような不安定な状況へとコンディションは変化する。ここはインフィールドの集落区間と、ハイスピードの草原区間とが繰り返されるヨーロッパラウンドらしいチャレンジングなステージだ。

 濡れた区間では泥や落ち葉の影響も大きく、かなりグリップ変化もある様子で、オジエと勝田はクラッシュ寸前のオーバーステアが出るなど、かなり気の引き締まる一本となる。そんななか、安定したアタックでエバンスがヒョンデ勢を抑えるベストタイムを刻み、ステージウインを飾った。その一方、アドリアン・フルモーとグレゴワール・ミュンスター(ともにフォード・プーマ・ラリー1)はジャンプスポットでの衝撃からか、ハイブリッドシステムに問題を抱えてしまい、以降のアタックでのパワーダウンを強いられてしまう。


 高さを増す太陽とともに気温も徐々に上がってきた現地10時42分、迎えたSS5は『シュマフスケ・ホシュティス1』(16.85km)だ。

 視界も少し開けてきたが、路面はこの日一番のトリッキーなコンディションとなっていた。そんななか、先頭走者のヌービルは中速コーナーでバンクにリヤを引っかけながらも暫定トップタイムをマークする。さらに勝田は低速区間で看板に若干ヒットする瞬間もあり、各選手は自身のペース管理に集中しながらのアタックとなったようだ。

 しかし、8番手出走のアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 Nラリー1)は限界を超えてしまったか、中速の左コーナーでオーバーラン。住宅地で木の杭をなぎ倒す派手な激突を演じてしまった。スピンして停止したマシンには、機関部にもダメージが及んでしまった様子で、ボンネットからは煙も出るなかで悲痛なデイリタイアとなった。

 SS5はクラッシュの影響で赤旗となり、後続のマシンにはノーショナルタイムが与えられた。その結果、オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)がヌービルを上回る走りで0.3秒差のステージウインを飾り、ヒョンデがワン・ツータイムとなる。さらにヌービルは、このタイミングでオジエとの差を逆転し、総合首位に浮上した。

■林道で深まる霧。勝田も慎重にペースアップ

 続くのは、今大会3度目の走行となるSS6『クラトヴィ3』(11.78km)だ。インカットによる影響で路面の状況は刻一刻と変化していくが、各クルーはリズムよくアタックをこなしていき、総じてタイムも向上。

 ここでは、自身のペース管理に集中している様子の勝田がトップタイムを刻み、持ち前の速さをステージウインに繋げた。この時点では、チャンピオンシップを争う4台に続く総合5番手でラリーを進めている。

 この日のステージは残り2本となり、気温も18度にまで上がってきた。迎えたSS7『ストラシン2』(26.69km)は、日差しの光る場所もありつつ林道では深い霧が漂うという、視界が不安定な状況でスタートする。

 ここで集中力を増してきたのは、今大会でのドライバーズタイトル確定を狙うヌービルだ。王座獲得を勝利で決めるべく、安全マージンギリギリでのプッシュを敢行し、2番手タイムのエバンスを0.6秒上回るステージウインを飾ってみせた。

 この日最後のSS8となるのは、午前でミケルセンが降車を強いられた『シュマフスケ・ホシュティス2』(16.85km)。濡れた路面に落葉が敷かれたこのステージでは、逃げに賭けたヌービルを追随する速さでオジエがトップタイムを刻んだ。

 これで本格的な走行日初日となったデイ2が終了。暫定総合首位はヌービル、6.4秒差でオジエ、その1.4秒後方にはタナクがつけるトップ3となった。さらに7.3秒差でエバンス、23.5秒差で勝田が続いている。

 WRC2クラスは、デイ1をクラストップで終えたニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)が、午前中のSS4で20秒強のリードを築く。同区間ではふたたびリードを広げる走りを見せ、最終的に45.9秒のリードでデイ2を締めくくった。そして、フィリップ・マレス(トヨタGRヤリス・ラリー2)とミコ・マルツィク(シュコダ・ファビアRSラリー2)が繰り広げた2番手争いは、マレスに軍配に上がっている。なお、グリアジンと3.1秒差につけているオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)は、今大会が有効ポイント獲得大会数を超えたエントリーとなっているため、選手権ポイントのかかる順位争いには参加していない。

 10月19日(土)、暫定ポイントの決まる競技3日目はSS9からSS14の計6ステージが行われる。6本のステージ総距離は、デイ1よりも長い123.46km、リエゾン(公道区間)もふくめた1日の総走行距離は509.94kmだ。

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