FIA F2選手権第9戦のレース1がイタリアのムジェロ・サーキットで行なわれた。荒れたレースを制したのはニキータ・マゼピン(ハイテック)。角田裕毅(カーリン)は16位に終わり、ポイントランキング6番手に転落した。
今季のFIA F2も残すところあと4ラウンドとなった。角田はレース前の時点でポイントランキング4番手につけているが、前日に行なわれた予選で同5番手のクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)がポールポジションを獲得し4点を追加。角田とのポイント差を3に縮めた。一方の角田は思うようにタイムが伸びず11番グリッドからのスタートとなった。
■F2ムジェロ予選:ルンガーがPP。角田裕毅は11番手でライバルに痛い4点を献上
33周のレースがスタート。ルンガーがトップでターン1を抜け、ダニエル・ティクトゥム(DAMS)、ルカ・ギオット(ハイテック)が続いた。角田はふたつポジションを上げ、9番手に浮上した。
角田の前に立ちはだかるのは、チームメイトでレッドブル育成のライバルでもあるユアン・ダルバラ。しかし角田は4周目のメインストレートでダルバラをオーバーテイクし、8番手に。そして7周目にはジャック・エイトケン(カンポス)も攻略し、7番手に上がった。
首位を走行していたルンガーはタイヤの状態が思わしくなかったのか、7周目にピットイン。上位陣では最初に動いたマシンとなった。ルンガーのチームメイトであるマーカス・アームストロングも上位を走行していたが、こちらも8周目にピットインとなった。
前が開けた角田はここでペースアップ。ライバルが1分36秒台前半で周回する中、1分35秒台で自己ベストを更新する走りを見せた。角田は前を行くカラム・アイロット(ユニ-ヴィルトゥオーシ)、フェリペ・ドルゴビッチ(MPモータースポーツ)と共に10周目にピットインし、タイヤをソフトからハードに替えた。これでタイヤ交換を済ませたマシンの中では6番手だ。
8番グリッドからスタートのロバート・シュバルツマン(プレマ)はハードタイヤでスタートしたが、レース中盤にガクンとペースが落ち始め、16周目にたまらずピットイン。その直後に再びピットインし、マシンを止めてしまった。タイトルを争うシュバルツマンにとっては痛すぎるノーポイントとなった。
周冠宇(ユニ-ヴィルトゥオーシ)、ミック・シューマッハー(プレマ)、ユーリ・ヴィップス(DAMS)らはハードタイヤスタートでステイアウトし、上位を走行していたが、タイヤを保たせられなかったのか20周目までにピットイン。各車フィニッシュまでにタイヤを労れるかが鍵となりそうだ。
全てのマシンがタイヤ交換義務を消化した22周目、角田はロイ・ニッサニー(トライデント)に詰まりペースの上がらないアイロットの背後に迫る。そしてニッサニーがピットインした直後、ターン1への飛び込みでオーバーテイクし、これで4番手に上がった。
23周目、ジュリアーノ・アレジ(HWA)のマシンがエンジンブローし、コース脇にストップした。これでバーチャルセーフティカー(VSC)が発動された。しかしマシンの回収作業に手間取ったため、VSCはセーフティカーへと変わった。
これを見て、アームストロング、ドルゴビッチ、ダルバラら数台のマシンは2回目のピットインを実施。フレッシュタイヤに交換し、終盤の追い上げにかける作戦を採った。
ルンガー、ギオット、ティクトゥム、角田、アイロットというトップ5でレースは残り7周で再開。リスタート時のホームストレートではマシンが密集し、危険な状態となっていたが、リスタート直後から各所で接触が続発する。角田がターン1でティクトゥムと接触した他、エイトケン、周もリタイアとなるなど大混乱。これで2度目のセーフティカーとなった。
マシンの回収作業が終了し、残り3周でレースは再開した。ルンガー、ギオット、マゼピン、角田、デレトラという順でのリスタートとなったが、ここでマゼピンらソフトタイヤを履いているマシンと、角田らハードタイヤを履いているマシンで明暗が分かれる形となった。角田は4番手でリスタートを迎えたが、まだほとんどレーシングスピードで走っていないソフトタイヤを履くマシンに次々と交わされ、順位を落としていった。
集団から抜け出したマゼピンはタイヤの利を活かし、悠々とトップを快走しトップチェッカー。今季2勝目を挙げた。2位にはギオット、3位にはデレトラが続いた。
角田はなんとか8番手でフィニッシュし、レース2のポールポジションを手にしたかに思われたが、直後にレース中の接触について5秒のタイムペナルティという裁定が下り、16位という結果に終わってしまった。
非常に荒れたレースとなったことで、ポイントランキングにもいくつか変動があった。今回5位に食い込んだシューマッハーが153点でポイントリーダーに浮上。共に無得点に終わったアイロット(149点)、シュバルツマン(140点)が2番手、3番手と続いた。そしてルンガーが128点で4番手、優勝のマゼピンが127点で5番手に浮上し、123点の角田は6番手まで落ちてしまった
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