SUBARUは、ファンの期待に応えるかのように、新エンジンを開発し、環境対策車を次々と市場に投入する計画を、1月20日に発表した。
SUBARUといえば、水平対向エンジンとフルタイム4WDシステムの組合せが代名詞。「新しい時代になっても、このふたつの技術は絶やしません」と、技術部門を統括する大拔(おおぬき)哲雄CTO(Chief Technology Officer)が述べた。SUBARUファンには嬉しい”宣言”だ。
SUBARUの電動化戦略について述べる大拔哲雄氏(取締役専務執行役員 技術統括本部長 CTO)。技術ミーティングには、中村知美代表取締役社長も参加した。中村氏は冒頭の挨拶で「100年に1度と言われる変革の時代においても、SUBARUが長年培ってきたクルマづくりに対する姿勢は変わりません。私たちは、その“SUBARUらしさ”をさらに磨き、お客様にとってSUBARUが“different”な存在となることを目指します」と、述べた。1月20日にSUBARU本社(東京都渋谷区)でおこなわれたマスコミ向けの「SUBARU技術ミーティング」では興味深い話がいくつもあった。大拔CTOは続けて、「SUBARUの技術的な特徴は守りつつ、2030年までに、全世界販売台数の40%以上を電動車にします」と、ぶちあげたのだった。
大拔CTOによると、SUBARUはさまざまな新しいパワートレイン(エンジンおよび変速機から成る動力系)を今後発表するという。2020年の1.8リッター(リーンバーン=希薄燃焼)水平対向4気筒ガソリンターボ・エンジンを皮切りに、2020年代前半にはBEV(バッテリー駆動EV)、2020年代中盤にはストロング・ハイブリッドを、それぞれ発表する予定とのこと。
会場には、2020年前半の販売を目指し、開発中の電動SUVモデルも展示された。うちBEVとストロング・ハイブリッドは、トヨタとの共同開発。2018年からフォレスターに導入しているマイルド・ハイブリッド「e-BOXER」や、米国市場で展開中のプラグ・イン・ハイブリッドにくわえ、環境対応車のラインナップを拡充していく。
大拔CTOはまた、「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)と弊社独自の技術を融合し、SUBARUらしさを際立たせます」とも述べた。具体的には、センター・ディファレンシャル・ギアを使ったメカニカルなAWD(全輪駆動)システムにモーターを組み込む新システムを導入するという。
開発途中のPHVシステムのカットモデルも展示された。発表では、2030年代前半までに生産・販売するすべてのSUBARU車に電動技術を搭載する計画。そして、2050年までに、新車のCO2排出量を2020年比で90%以上削減することが目標という。
安全面では、先進安全装備群「アイサイト」の技術を進化させるそうだ。なかでも興味ぶかかったのは、「エアバッグを連動させ、高齢者ドライバーの保護を考えている」という大拔CTOの発言だ。
高齢者は、骨が若者より強くないそうで、衝突事故のとき、セイフティベルトとエアバッグの力で骨折するケースが少なくないという。
そこで将来は、アイサイトのシステムが衝突事故を予見すると、衝突直前にエアバッグを展開させ、少ししぼんでいくときのやや弱めの圧力で、ドライバーを受け止められるようにしたいという。さらに、現行のフォレスターに搭載されている顔認識システム用の車載カメラとも連動させるそうだ。
SUBARUの未来をおおいに期待させてくれる技術ミーティングだった。
文・小川フミオ
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