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ホットハッチ対決 ゴルフGTI TCRとライバルたち

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ホットハッチ対決 ゴルフGTI TCRとライバルたち

もくじ

ー ツイッター投票ではシビック優勢
ー ニュルのタイムは拮抗
ー 万能なゴルフ
ー 鋭いコーナリングのトロフィーR
ー ゴルフは刺激不足か
ー 素晴らしいフィーリングのシビック
ー まるでマクラーレン製ホットハッチ
ー 番外編:登場した3台の先祖を紹介

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ツイッター投票ではシビック優勢

先日、AUTOCARの英国版ツイッターにおいて、ホットハッチの頂点を決める投票を行った。結果はフォルクスワーゲン・ゴルフGTIが優勢であった。今回用意したのはその中でも最終型となる特別仕様車だ。しかし、われわれはホンダの勝利を予想した。

驚くことではない。これはFK8型シビック・タイプRだ。デザインに賛否両論別れたDC2型インテグラ以来最高のドライバーズカーである。このクルマが生産されるスウィンドン工場で働く3500人の従業員らは、自身がこのクルマに関われることに誇りを持っていることだろう。

しかし、今回用意したゴルフGTI TCRやリキッド・イエローのボディを纏うルノー・ルポール・メガーヌもウェールズの道路を彩っている。この2台はホットハッチ界最新モデルだ。ベースモデルからさらなる改良を加えられ高価かつ速く、そして願わくば楽しいクルマになっている。さもなければ前輪駆動のファミリーカーに3万ポンド(440万円)以上もの値段をつけられないだろう。

メガーヌRS300トロフィーは、アルピーヌA110と共有する1.8ℓ4気筒ターボを搭載し、ベースとなるメガーヌRSを20ps上回る300psを発揮する。そしてDCTを選択すればトルクは42.9kg-mとなる。四輪操舵システムはそのままだが、2段階のエグゾースト、ブリジストン・ポテンザS001を装着する19インチホイール、そしてカップシャシーが標準装備される。

ニュルのタイムは拮抗

一方で、フォルクスワーゲンはやや控えめだ。TCRはゴルフの中で最も好戦的なボディキットを纏い、0-100km/h加速は3台中最速だ。これはアウディS3、プジョー308、ヒュンダイi30Nといったツーリングカーにも対抗可能だ。このMk7.5の最後を飾るGTIはレーシングカーというよりも、オマージュ的な要素を含んでいる。

VWのジューシーなEA888型2.0ℓターボは2017年に登場したGTIクラブスポーツ40と同じ290psにチューンされ、ゴルフRゆずりのラジエーターが追加されている。幅広いパワーバンドを持ち、1950rpmから5300rpmでピークトルクを発生する。そしてこのパワーはGTIパフォーマンスと同じ電子制御デフと7速DCTを介して路面に伝達される。

ホイールは控えめな18インチだが、ニュルブルクリンクで一時FF最速であったGTIクラブスポーツSと同じキャリパーおよびドリルド・ローターが装着される。ゴルフが先代シビック・タイプRから奪取した記録を今回のシビックが再び奪還するという構図から、このクラスの競争の熾烈さがわかるだろう。

ちなみにこれらのタイムはわずか6.83秒しか離れていない。しかし、ルノーも負けてはいない。今年中にはさらにハードコアなトロフィーRも登場するのである。

万能なゴルフ

まずはゴルフから話を始めよう。ベースとなるMk7は2011年に登場したということを考えると、このキャビンはいまだにフレッシュな印象を与える。TCRはレースゆずりのセンターマーカー付きのフラットボトム・ステアリングや、ソフトグレーのマイクロファイバー仕上げのシートやシフトレバーなどの専用装備が与えられている。

インテリアはヨガパンツのようなデザインのトロフィーや、真っ赤なボンバージャケットのようなホンダとは一線を画すスポーティな仕上がりだ。その価格は3台中ダントツの3万4650ポンド(507万円)なのだから当然ともいえる。

ロンドン南西部からウェールズまでの退屈なドライブを通して、なぜGTIがホットハッチの中でも特に成功を納めたのかを再確認した。巡航時には静かで室内は広く、ダンパーをコンフォートにセットすれば乗り心地も快適だ。もしガレージに1台分のスペースしかないとすれば、GTI TCRは有力な選択肢になるだろう。

次にトロフィーの深いレカロ製バケットシートに乗り込み、タッチスクリーンでレースモードを選択して山へ向かう。しかしそれほど攻撃的なクルマではない。通常60km/h以下では後輪が前輪と逆方向にそうだされるが、レースモードではそれが100km/hにまで引き上げられる。

鋭いコーナリングのトロフィーR

この効果は絶大だ。メガーヌは自分がラリードライバーになったと錯覚するほどの回頭性を見せた。その感覚には若干の不自然さが伴うものの、アペックスを通過した後はタイトなデフのおかげもあって鋭い加速で脱出することができる。エンジンは高回転域での伸びに欠けるが、地点から地点への速さで言えばこのクルマが最速のように感じた。

ややナーバスなところもあるが、危険なほどではなく、ここは個人の好みの領域と言えるだろう。カップシャシーは硬く、スプリング、ダンパー、アンチロールバーなどすべてが引き締められている。したがって、速く走るためにはしっかりとした荷重移動が必要だ。

言い換えれば、それなりの腕が求められるということである。トルクステアや不意のキックバックに常に備えておく必要があるのだ。路面が綺麗であればフラットなコーナリングが可能であり、超ワイドなフロントのトレッドが路面に食いつき素早く向きを変えるが、それに伴いテールが流れることも多い。

とはいえ、この少々不自然なオーバーステア風の挙動に慣れることさえできれば、トロフィーはどんな路面でも速く走ることができるだろう。

ゴルフは刺激不足か

GTI TCRがメガーヌほどの鋭さを持っていたら、それは刺激的なクルマになるだろう。しかしそれはゴルフらしさを損なうことにもなる。レース向けに仕上げられたクルマではないのにオプションで用意されるデカールやフラッグ柄のシルはミスリーディングだ。

ステアリングは若干リニアだが、その回頭性は鈍い。サーキットブレーカーのようなルノーと比べたらまるでダイヤル式のディマーのように感じてしまう。この個体に装着されている876ポンド(13万円)のオプションのアダプティブサスペンションもメガーヌに付いていこうとすると落ち着きを失ってしまう。

パワフルなブレーキも操作性に欠け、自信を持って踏み込むことができない。電子制御デフは優秀だが、フロントタイヤがライバルの245幅に対してゴルフは225と若干狭いため、アペックス通過時のスピードで劣っている。

最後に試すのはホンダの人気者、シビック・タイプRだ。ゴルフGTI TCRほど万能でもなければメガーヌほどハイテクでもない。インフォテインメントシステムは使い物にならず、キャビンの素材も悲惨だ。ボディキットは攻撃的だが、細いスポークの20インチホイールから覗くリアブレーキは貧相に見える。

素晴らしいフィーリングのシビック

しかし、このタイプRはこのセグメントに属するクルマの中でも最高のヒューマン・マシン・インターフェイスを持っていると言えるだろう。それは乗り込んだ瞬間からわかる。エルゴノミクス面で完璧ともいえるゴルフから乗り換えた後でも、このシートに座るとフロアパンに直結しているかのような印象だ。

まさに見事である。高いスカットルやなだらかなテールゲート、それに長いホイールベースはホットハッチらしい見た目ではないが、この走りへの満足度は非常に高いだろう。

走り出してみると、ペダルの重さや配置が優れていることがわかる。ヒール・アンド・トーがしやすいのだ。ステアリングは思いがクイックで、ロック・トゥ・ロックはわずか2.1回転だ。サスペンションは意外なほど柔らかく、ウェールズ郊外の荒れた高速道路でもメガーヌ以上に快適で、ボディの不快な動きもない。

2.0ℓのVTECが発する320psは自然で、他の2台よりも鋭く個性的だ。排気系チューンよりもエンジン内部に手が加えられているという印象を受ける。シフトフィールも最近乗ったクルマの中でベストであり、ブレーキもレースカーに近い正確さだ。これこそがわれわれの求めるクルマである。

まるでマクラーレン製ホットハッチ

コーナーで大半のクルマではアンダーステアを発生するような進入をしてみても、シビックでは難なくクリアすることができる。この新開発の独立式リアアクスルは初期入力に対しては柔らかいが、大入力に対しては引き締まった動作をする。ラインが乱されることもなければ、不快な驚きもないのだ。マクラーレンがホットハッチを作ったら、まさにこんなクルマになるだろう。

そしてゴルフはどうだろうか。ウェット路面では素晴らしく、良くできたエンジンとも組み合わさりこの3台の中で最も万能な1台だ。しかし、笑みがこぼれるような楽しさや、目を見開くようなコーナリング性能もない。少々真面目すぎるのである。やはり、ホットハッチを選ぶならシビック・タイプRで決まりだろう。

番外編:登場した3台の先祖を紹介

ルノー・スポール・メガーヌ

先代トロフィーRはホットなルノーの代表作だ。しかし生産台数は少なく、価格も高すぎた。スタンダードモデルも素晴らしく、特にカップシャシーを選択すれば硬いサスペンションと機械式LSDが手に入る。2010年前半のモデルなら8000ポンド(117万円)程度から、2016年後半のものだと1万6000ポンド(235万円)程度になるだろう。

ホンダ・シビック・タイプR

9世代目となるタイプRは2015年から2017年に販売された。短命ではあったが、一時はトロフィーRからニュルブルクリンクのFF最速の座を奪った。最高出力は現行のタイプRとほぼ同じであり、パフォーマンスは遜色ない。1万9000ポンド(278万円)程度を想定しよう。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI Mk6

すでに10年落ちになろうとしているが、Mk6も依然として素晴らしいホットハッチだ。スタンダーどな210psのGTIでも十分な楽しさだが、より刺激を求めるなら235psの「エディション35」を探そう。安いものでは5000ポンド(73万円)程度から手に入るが、エディション35であれば1万5000ポンド(220万円)は用意したい。

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