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ジャガーE-PACE試乗記 激戦区で戦うE-PACEのジャガーらしさとは

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ジャガーE-PACE試乗記 激戦区で戦うE-PACEのジャガーらしさとは

2018年2月から受注開始されたジャガーのコンパクトSUV「E-PACE」に早速試乗することができたので、お伝えしよう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

このところプレミアムブランドからのCセグメントサイズのSUVモデル投入が相次いでいるが、ジャガーからもSUVが投入された。このことは世界中でこの市場が拡大していて需要が増えていることが分かる。そのためには各社のそのブランドらしさを持ちつつ、他のブランドにはない魅力的何か?を持つことが必要で、そうした意味からもジャガーらしいSUVが発売されたと思う。

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■ポジショニング

試乗前の説明ではジャガーのブランドステートメントを伝えることから始まった。それは、工業製品ではあるが、感性に訴えるものである。エモーショナルであるというのがジャガーなのだと。クルマを造るビジョンとして美しく、速いクルマを造りたいというのが狙いで、数字やデータでは測れない感性に訴える性能が宿るのがジャガーなのだという。

ブランドステートメントはグローバルで「The Art of Performance」であり、芸術は心に訴えるものであり、心が動くようなクルマづくりをしているという説明だった。

さて、投入されたE-PACEはボディサイズが全長4410mm、全幅1900mm、全高1650mm、ホイールベース2680mmというCセグメントサイズに分類され、ランドローバーイヴォークと共通のプラットフォームを採用している。ライバルとなるのは、BMWのX1、X2、アウディQ2、ボルボXC40といったあたりで、ライバルに対してジャガーらしさをどこで表現し、訴えてくるのか楽しみでもある。

■ラインアップ

エンジンは3種類。コンベンショナルな2.0Lガソリンターボで最新のインジニウムエンジンだ。出力違いにより「P250」が249ps/365Nm、「P300」が300ps/400Nmのスペック。それと同じくインジニウムのディーゼルで2.0Lターボは「D180」が180ps/430Nmというパワートレーンがある。また、ジャガーとしては初の9速ATを搭載した。これはイヴォークで搭載しているZF製の横置き用ATだ。

ボディタイプは標準のE-PACEとよりスポーティなR-Dynamicの2種類になる。また、それぞれにグレードとして標準車、S、SE、HSEと設定され、エンジンも3つのパターンから選べる。そして導入初期用のファーストエディションもあり、全24パターンのグレード展開となっている。価格は451万円から764万円までと幅広いが、ジャガーとしてはお求めやすい価格を設定したとしている。

それと、重要なポイントだと思うが、他車では展開していないビスポークだ。ジャガーではパーソナライゼーションという位置づけで、自分だけの1台を受注することができる。エクステリア、インテリアはもちろん、100種類以上あるオプションの組み合わせができ、数万通りが可能になる。まさにビスポークな一台を工場へオーダーできるのだ。高級車ブランドならではのセールスポイントだ。

■エクステリア

デザイナーはもちろんイアン・カラム。ジャガーのフラッグシップスポーツカーF-Typeをデザインし、そのF-TypeをオマージュすることからE-PACEが産まれているという。その意味は随所にF-Typeに似たデザインがあることからもよくわかる。シンプルにはテールランプだ。デザインはまさにF-Type と同様のブレードデザインでひと目でジャガーと分かる。サイドビューを見ても流線型のルーフラインや涙滴形のサイドウインドウなどもF-Typeからのインスピレーションだと分かる。



インテリアもドライバーオリエンテッドであり、「走る」ジャガーがイメージされる。センターコンソールにあるグラブハンドルのラインからぐるっと運転席を囲うようにラップアラウンドのコックピットとし、操縦席のような囲われ感があり助手席と明確に区切るデザインにしている。こうしたスポーティさを感じさせるところもF-Type から受け継いでいる部分だろう。

■ユーティリティ

都会派のSUVではあるが、ユーティリティも充実している。トランク容量は577Lあり、6:4に分割するシートを倒せば1234Lと十分な容量がある。また、センターボックスも8.5Lの容量があり、収納容量はクラストップレベルだ。また4G通信が可能で緊急時のSOSコール「E-CALL」にも対応し、またSIMカードも搭載が可能なので、Wi-Fiスポットにもなるし、常時接続ということも可能だ。

タッチスクリーンのナビは10.2インチのインコンロールタッチプロを搭載し、最新のインフォテイメントを搭載している。他にもカラー表示されるヘッドアップディスプレイやマトリックLEDヘッドライトも搭載しており、夜間の安全安心につながる装備も充実している。

■試乗インプレッション

今回試乗できたのは、R-DynamicのエクステリアにP250のパワートレーンという組み合わせで、P300とD180はこれから随時導入されてくる。また、可変ダンパーなどを搭載するアダプティブダイナミクス仕様も今後導入されてくるので、ますます選択肢が広がってくる。



さて、試乗は神奈川県鎌倉でおしゃれな印象のエリア。ワインディングはなく市街地と高速が中心の試乗だった。試乗車はP250でパワーの小さいほうのエンジンではあるが、申し分のない走りで、踏み込んだ時のエンジン音も気持ちいい。シートに背中を押し付けられる加速感もしっかりある。

ドライブモードはコンフォート、ダイナミック、そしてエコとあるが、シフトタイミングとステアリングの操舵フィールが変更される。この先アダプティブダイナミクス仕様が導入されれば乗り心地を含めたダイナミック性能の違いも楽しめることになるだろう。

しかし、北米を意識しているのか、このドライブモードはいずれも敏感と感じるような変化になるので、エコモードがちょうどいいくらいの操作感だった。特にアクセルの早開きは北米仕様には必須の味付けで、コンフォートであっても少しのアクセル開度でも飛び出す感じになる。

またステアフィールでは、センタリングがしっかりと味付けされており、直進性の高さを強調しているものの切り始めの抵抗感は強めに感じる。ただ、操舵の重さとしてはエコ、コンフォートともに軽めで、高級車らしい軽さはある。ダイナミックモードにすれば、重めに変化し、しっかり感を意識した味付けとなっていた。

サスペンションはフロントがストラットで、リヤはインテグラルリンク式というマルチリンクでイヴォークと同形式を採用しているものの、ジャガーブランドだけの味付けとしてはスポーティな走りが楽しめるようなセットアップだ。これも市街地では硬さを感じる場面がある。ただ、フリクションはなくハーシュネスも小さいので、単にハイスピードのワインディングであれば、しっとりしたコーナリングになるのだろう、ということが容易に想像できる硬さだ。ちなみに、装着していたタイヤサイズは235/55R18で、ブランドはグッドイヤーのイーグルF1でSUV用タイヤだった。

E-PACEは全車AWDが導入されており、P250は4輪のブレーキを個別に制御するトルクベクタリングByブレーキを装備している。また、前後トルク配分は100:0まで行なう。今回の試乗でこうした機能を感じる場面は少なく、意図的にクルマを旋回させて試すと、回頭性の良さを感じ、ステアするとすぐにヨーモーメントを感じさせるあたりはジャガーらしさだと思う。

もっともこの先導入されるP300のパワートレーンには前後トルク配分はもとより、リヤにもカップリングを持った左右の駆動トルクベクタリングが可能になるので、よりコーナリングパフォーマンスの高い仕様も控えているというわけだ。おそらく非常に路面のμが低いところ英国のワインディングのようなハイスピードであれば、その能力を堪能できるだろう。

このコンパクトサイズでありながら、大径タイヤ、短いオーバーハング、小さめのサイドウインドウなどの存在感たっぷりのルックスと、走りの俊敏さなどが特徴だと感じる試乗だった。

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