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【量産AMG最強の730ps】メルセデスAMG GTブラックシリーズへ試乗 新V8搭載 後編

掲載 更新
【量産AMG最強の730ps】メルセデスAMG GTブラックシリーズへ試乗 新V8搭載 後編

優れた重量配分と動的性能のFRモデル

text:Matt Prior(マット・プライヤー)

【画像】AMG GT F8, SVJ, 720Sと比較 全132枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


サーキットでの、メルセデスAMG GTブラックシリーズは素晴らしい。そして通常のAMG GTより、かなりうるさい。

船の機関室や下町の工房のように、AMG GTブラックシリーズの車内には、ノイズが共鳴する。ロードノイズが聞こえない場合でも、エンジンノイズが騒々しく響く。

新しいV8エンジンは、ざらついた魅惑的なサウンドを発する。通常のAMG製のV8エンジンとは異なる。フェラーリのように高音を響かせたり、マクラーレンのようにフラットな唸りでもない。

筆者は、チューニングを受けた2代目フォード・エスコートのサウンドに、少し似ていると感じた。33万5000ポンド(4489万円)もするクルマだから、もう少し個性のある響きでも良いように思う。でも、好きだ。

そして、ドライビング体験も大好きになった。重量配分の正しい、高い動的性能を備えるフロントエンジン・リアドライブのクルマに乗ったら、丸1日楽しんでいられる。メルセデスAMG GTブラックシリーズは、まさにそれ。

バランスは、アストン マーティンV12ヴァンテージSのよう。それでいてポルシェ911 GT2 RSのような積極性と個性がある。ファンタスティック、といいたくなる。

縁石にタイヤが乗り上げると、ガタガタと音を立て、振動が伝わってくる。それ以外の場面では、乗り心地は硬すぎず、落ち着きすら感じられる。

魅力的なコミュニケーション力の高さ

コーナーでは身のこなしに合わせるように、わずかにボディがロールする。ある意味で、911 GT3 RS以上の乗り味だと思う。

車重は1520kgで、AMG GT Rより35kg軽い。燃料などを搭載した状態で計測してみると、1665kgになっていた。このボディサイズや最高速度、レイアウトを考えれば、1600kg前後は妥当だろう。余裕のある冷却系も必要となる。

その車体を、自由に振り回せる。挙動にも感心する。信じられない勢いで加速し、ブレーキが強力に減速してくれる。フェードする兆候すらない。

エンジンはだいぶクルマの中央側に寄せてあるものの、まだドライバーの前にある。コーナーへの侵入速度と重心移動を意識していないと、アンダーステアが出てしまう。実際、ブレーキが不要な高速コーナーでは、安定したアンダーステア傾向にある。

速度域に関わらず、730psというパワーで旋回姿勢の調整は可能。AMG GTブラックシリーズに載ったフラットプレーンのV8を唸らせれば、クルマのコーナリングラインを補正できる。

スタビリティ・コントロールが部分的にオンの状態では、ノーズがコーナー出口へ向く前に、パワーが絞られるようだった。オフにすれば、10段階のトラクション・コントロールが支えてくれる。コーナリング姿勢を、より積極的に変化させて楽しめる。

AMG GTブラックシリーズの運転を魅力的にしている要因の1つが、コミュニケーション力の高さ。AMG GT Rでは、こんな印象はなかったと記憶している。

歴代AMGブラックシリーズで格別に良い

ステアリングは適度に軽く、操舵時の重さや感触が、自然に、直感的に変化する。ポルシェ911 GT3 RSの水準ではないにしろ、手のひらでの対話が楽しい。

以前に試乗したAMG GT Rでは、クルマとの一体感が乏しかった。だがサーキットに出れば、驚くようなラップタイムを刻めた。

ブラックシリーズなら、クルマとドライバーとの強い結びつきの中で、高速に周回できる。本気のGT3レースカーより、5秒程度だけ遅いラップタイムも狙えるように思える。なんとスリリングなクルマなのだろう。

メルセデスAMG GTブラックシリーズを走らせれば、GTシリーズのポルシェ911やBMW M4 GTS並みの、充足感と陶酔感を味わえる。筆者は大好きなタイプ。でも、全員の同僚がそうだとは限らない。

こんな激しいクルマが好きだなんて、と思われるかもしれない。それでも構わない。

確かにメルセデスAMGのブラックシリーズは、すべてが極上の仕上がりだったわけではなかった。でも、このGTブラックシリーズは、格別に良いと思う。

メルセデスAMG GTブラックシリーズ(欧州仕様)のスペック

価格:33万5000ポンド(4489万円)
全長:4544mm(標準GTクーペ)
全幅:1939mm(標準GTクーペ)
全高:1287mm(標準GTクーペ)
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:7.8km/L
CO2排出量:292g/km
乾燥重量:1520kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:730ps/6700-6900rpm
最大トルク:81.4kg-m/2000-6000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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