2020年8月28日~30日、F1第7戦 べルギーGPがスパ・フランコルシャンサーキットで行われる。シーズン中盤、レッドブル・ホンダとメルセデスAMGのバトルが激化する中、正念場となる今季3度目の3連戦の初戦でマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はどんな作戦に出るのか。フリー走行1回目は、いよいよ28日(金)日本時間19時(現地11時)から始まる。
好調ホンダパワーはスパ・フランコルシャンをどう攻めるか
前戦スペインGPで連勝を狙ったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、決勝レースを硬めのタイヤでスタートする戦略やピットストップを1回とする戦略はとらず、正攻法でメルセデスAMGの牙城を攻めたてた。それでもルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)との差が詰まらないと見るや、今度は早め早めのタイヤ交換で揺さぶりもかけた。
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この戦略は間違いではなく、実際、バルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)を寄せ付けず、ハミルトンには及ばなかったものの、2位でフィニッシュしている。
一方のハミルトンは第5戦での敗北の要因を研究し、しっかりと対応。見事なポールトゥフィニッシュを飾っている。ただ、それはけっして楽勝ではなく、フェルスタッペンの戦略をマークして達成したものでもあった。
では、フェルスタッペンはベルギーGPをどう戦うのか。優勝した70周年記念GPの時のように硬めのタイヤで決勝スタートにのぞむのか、メルセデスAMG勢とは異なるタイヤチョイスで揺さぶるのか、大胆な2ストップ戦略をとるのか、レースペースの違いやセーフティカーの導入タイミング、天候の変化などにもよるが、メルセデス攻略の引き出しはいくつか用意していることだろう。予選での速さではまだ差があるが、決勝では逆転の可能性もありそうだ。
ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンは「パワーサーキット」と言われるが、このところ、ホンダパワーが好調なのも心強い。超高速サーキットと言われるシルバーストンで勝利をあげたのをはじめ、この2戦、ホンダのパワーユニットを搭載する4台のうち3台が入賞するなど、速さを増してきており、「4台全車入賞」も見えてきた。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、べルギーGP開幕に向けて「2度目の3連戦の後、レースのない1週間を経て、ここからベルギーのスパ・フランコルシャン、イタリアのモンツァ、ムジェロと高速サーキットでの3連戦に向かいます。歴史あるスパ・フランコルシャンは緑豊かな山間に作られており、丘を駆け上がる高速コーナーのオー・ルージュがあることで有名なサーキットです。それ以外にも、全長約7kmの起伏に富んだコース上にバラエティ豊かなコーナーが配されており、高速サーキットながらもドライバーの腕が試されることで知られています。ここではパワーが試されると同時に、回生エネルギーの使用と回収のバランスを考慮したエネルギーマネジメントが重要になります。そして、先日の日曜には、アメリカから佐藤琢磨選手のインディ500優勝というビッグニュースが飛び込んできました。琢磨選手、2回目のINDY500制覇という快挙の達成、おめでとうございます!インディと同様に、F1でのライバルも強力ですが、レッドブルとアルファタウリ、両チームともにポテンシャルの高さを感じています。琢磨選手やアメリカにいる仲間たちの活躍にも応えるべく、今週末もいいレースを見せ、ポジティブな結果を得られればと思っています」とコメント。 ホンダのパワーユニットで戦うドライバーは次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「スパはカレンダーの中でも大好きなサーキットなので、いつもここでレースをするのを楽しみにしています。ランオフエリアが少なく、アップダウンが続きます。また、ここは低速コーナーがあまり多くないので、中速や高速コーナーでF1マシンのスピードを存分に体感できるという素晴らしさもあります。その中でも高速で駆け抜けるプーオンはお気に入りのコーナーです。バランスに配慮しながら第1セクターを抜けたあと、長いストレートとインフィールドセクションの組み合わせとなる第2・第3セクターは非常に重要で、うまく折り合いをつけながら走る必要があります。ここではウイングを低めにしてダウンフォースが少ない状態で走るので、マシンの挙動がとても機敏で不安定になるのですが、それもエキサイティングな部分ですね。ここからまた3連戦が始まる中で、今はドライバーとしてもコンストラクターとしても2位の状況で、この勢いを維持しながらスパでのレースに臨みます。ストレートが多いこのサーキットではオーバーテイクが可能である一方で、予選で僕たちの後ろにいるライバルたちも迫ってくるのではと思っています。そしてパワーで上回るメルセデスはここでは非常に速いと思います。ただ今年どうなるかということを予測するのは難しいですね。僕たちのマシンパッケージに合うトラックだとは思いませんが、今まで同様、できる限りプッシュをしてベストな結果を得たいと考えています。週末に向けた準備は万全です!」
アレクサンダー・アルボン
「ここまで6戦を終え、マシンのどの部分に手を入れていけばいいかわかっていますし、ファクトリーのメンバーがより速く、よりドライブしやすいマシンにするために全身全霊で作業を進めてくれています。なにが機能してなにが機能していないかを一つずつ試しながら着実に前進できており、すべてがうまくいっていると感じています。スパは昨年レッドブルのドライバーとしてデビューを飾った地ですが、この1年間は信じられないくらいのスピードで過ぎていきました。昨年ここで得たものを今年トライできるのでレースが待ち遠しいです。今年はいくつかいいレースができていますし、スパではオーバーテイクも可能なので、早くここでレースをしてみたい気持ちです。ここではストレートが占める割合が多いのでメルセデスが速いと思いますし、簡単な週末になるとは思っていません。とはいえ、同じようなことを想定して臨んだシルバーストンで僕たちはスピードをみせられたので、今週もどうなるか楽しみにしています。どのサーキットでもタイヤや温度に関してどのレベルであれば自分たちのアドバンテージになるのかを予測するのは難しいですが、それでもスパでのレースはいつも本当に楽しいです。何よりスパはいいサーキットですし、今年はサプライズに満ちたシーズンなので、どのような状況になるか実際に走ってみて確かめたいと思います」
ピエール・ガスリー
「前回の3連戦を終えて、数日間のオフがあったのはよかったのですが、留守中にフランスの自宅に空き巣が入り動揺しました。レースに話題を戻すと、前回のスペインGPは好調なレースウイークとなりました。予選7番手という結果には大満足ですし、決勝はマシンの隊列の中でのレースとなって思うようにはいきませんでしたが、それでも9位フィニッシュでポイントを獲得できたことや、速いマシンの中で戦えたことは今後に向けたいい兆しとなりました。今週からスパ、モンツァ、ムジェロと、今年3度目のトリプルヘッダーです。とくに3連戦初戦のスパは僕のお気に入りのコースです。高速コーナーを走るのはとてもスリルがあります。過去には素晴らしいレースをしたこともあります。ただ今年3度目のトリプルヘッダー、11週間で9レースという日程は、特にエンジニアやメカニックたちにとってハードなものになるでしょう。この3連戦は特別なものになりそうです」
ダニール・クビアト
「バルセロナでの週末は、僕にとってはいい結果にはなりませんでしたが、今後のレースではうまくやれると思うので、マシンに戻るのが楽しみです。スパは常にレースが楽しめるコースで、伝統があり、さらに最高にエキサイティングなコーナーを持つレイアウトが好きです。オー・ルージュについての話題が多いですが、コース全体が素晴らしいですし、実際のレースでもファンに多くの興奮を提供できるのもいいことです。スパでのレースウイークのカギは、金曜日に正しいセットアップを見つけることです。願わくは、コースの状態を正確に把握し、マシンがきちんと機能するようにできればと思います。今季ここまでのマシンパフォーマンスには比較的満足していますが、今まで以上にスムーズなレースウイークにできれば、好結果を目指せると思います。スパ、モンツァ、ムジェロと続く3連戦は面白くなると思いますし、実は、今シーズンの中でも僕がとても楽しみにしている3週間です。再びの3連戦となりますが、こうした新様式でのレースにも慣れていくはずです。僕が目指すのはドライビングを楽しむことで、それがいい仕事になるということが変わるわけではありません。もちろん、サーキットでファンの皆さんが作り出してくれる雰囲気は特別なもので、それが恋しいとは思いますが、いつの日か必ず戻ってきます。それまでは、マシンを走らせているとき以外の仕事が少なくなるので、ドライバーズルームでギターの練習時間を多くとれますね(笑)」
第7戦ベルギーGPは8月28日日本時間18時(現地11時)から始まるフリー走行で開幕、予選は8月29日の日本時間22時(現地15時)、決勝は8月30日の日本時間22時10分(現地15時10分)に開始される。
【参考】前戦 2020年 F1第6戦スペインGP 決勝 結果
優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)66周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +24.177s
3位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) +44.752s
4位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス)+1周
5位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+1周
6位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+1周
7位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+1周
8位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+1周
9位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+1周
10位4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+1周
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