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農道のポルシェ「サンバー」は、スバルこだわりのエンジニアリングが詰まった軽トラでした【カタログは語る】

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農道のポルシェ「サンバー」は、スバルこだわりのエンジニアリングが詰まった軽トラでした【カタログは語る】

スーパーチャージャーの設定もあった

「軽トラ」は日本全国津々浦々、人々の生活になくてはならない存在。農家や個人経営の商店、植木の職人さんなどはもちろん、一般の人でも、ホームセンターでガーデニングやDIYの部材を大量に買い込んだ際、自宅まで自分で運ぶために用意されている貸し出し用の軽トラに乗り、「いやぁ久々に軽トラを運転した。おもしろくてイイねぇ」といった経験をお持ちの方もおられるのでは? 

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スバル360と同じリアエンジン・リアドライブを採用

筆者の自宅がある東京都下でも、代々の畑を守っているような地主級の家なら、何台かクルマがあるうちの1台に軽トラがある家が今も少なくない。町内会のお祭り、草刈りといったイベントがあると、その準備で荷物を運んだりするために、役員が誰ともなしに軽トラに乗って集合場所にやってくる……そんな光景はよく目にする。

ところでそんな風に日本の日常の風景の中に溶けこんだ軽トラは、もともと軽自動車を作る自動車メーカー各社がもっていた。スズキ「キャリイ」、ダイハツ「ハイゼット」、三菱「ミニキャブ」などがおなじみだし、ホンダが1963年に4輪市場初進出を果たしたのも、軽トラ(でしかもDOHCエンジン搭載)の「T360」だった。

それからもう1台、忘れてはならないのがスバル「サンバー」だ。このサンバーの初代が登場したのは、あの「スバル360」登場(1958年)から3年後の1961年2月。想像されるようにスバル360のメカニカルコンポーネントを活かし、これにトラック用のシャシーフレームを採用し誕生したモデルだった。

もしもこの頃に物心がついた年頃だった方で、クルマに興味を抱いていたなら、初代サンバーを街中で見かけた憶えがおありかもしれない。筆者も、フロント部分が真っすぐにスラントして荷台部分もちょっと変わった形の水色やグレーのサンバーが、スバル360と同じエンジン音と排気のニオイを残して走っていくのを眺めていた記憶がある。

前段で荷台部分の形がちょっと変わった……と少しほのめかしたが、このサンバーが何といっても特徴的だったのは、スバル360と同じリアエンジン・リアドライブを採用していた点。そのためエンジンコンパートメントになっている荷台後半が盛り上がり、その前が超低床(かつ2段)というユニークな形状は、何でも興味津々だった幼年の筆者にとっても興味津々だった……のだと思う。

クルマ好きなら心なびく透視図も掲載されていた

ここで話は一気に現代(?)へ。サンバーは現在もSUBARUの現行車の中の1台として商品ラインナップに並ぶ。その意味では、同社にとってもっとも長く続く銘柄でもある。

だが、クルマ自体が自社生産だったのは、2012年2月に生産が終了した通算6代目まで。7代目からはご承知のとおりダイハツ「ハイゼットトラック」のOEMとなり、そのまま2014年に8代目にバトンタッチし、現在に至っている。

ちなみに自社生産終了の直前、2011年7月には、「WR BLUE LIMITED」がバンのディアスとともにトラックでも発売された。このモデルは専用ボディカラーのWRブルー・マイカをまとい、イエローステッチの専用シートを採用するなどした発売50周年記念特別仕様車。トラックとバンで1000台という限定車だったが、仕様からしてコアなスバル・マニアが飛びついただろうから、今でもお目にかかることがあるかもしれない。

今回、写真で紹介しているカタログは、自社生産最終型となった6代目(1999~2012年)の中盤、2008年7月のサンバー・トラックとサンバー・バンのもの。このときにトラックではTCハイルーフにメッキの加飾付きのフロントグリルが与えられたほか、装備の充実や、ボディ色にスターリングシルバーメタリックが追加設定されるなどしている。

もちろんサンバーの車名とともに受け継がれた基本構造も、この世代までは健在だった。「フルキャブ・リアエンジン」による運転席の広さや安定した走行性能、ホイールハウスの張り出しのないスッキリとした荷台などはカタログでも紹介されている。さらに4気筒エンジンを搭載し、それらが運転席から離れていることによる騒音の少なさ、4輪独立サスペンションによる快適な乗り心地と、壊れ物や荷崩れに対する安心感といったことも紹介されている。

運転席にはホイールハウスの張り出しがなく、一般的な軽トラックのように中央に寄せられたペダルに合わせ、身体を斜めにして着座する必要もなく、サイドウォークスルーも自由に行える。リアエンジンの説明には「下り坂のブレーキも安心」「空荷でも後輪が空転しにくい」といった説明も。カタログにはシャシー/フレーム構造が判る透視図と写真も載っており、クルマ好きなら心なびかれるに違いない。

また写真のカタログの諸元表にも載っているが、軽トラにしてスーパーチャージャーの設定もあり、4気筒のEGI仕様で58ps/7.5kgmの性能も発揮した。「農道のポルシェ」とも言われたサンバーは、スバルのこだわりのエンジニアリングがあってこそのクルマだった。

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みんなのコメント

34件
  • サンバーの4WDは良い車でしたが、トヨタに騙されて生産中止しちゃいましたね。残念です。
  • スバルのトヨタグループ入りで、スバルの小型車・軽のテクノロジーがことごとくロストテクノロジーになったのは正直惜しい。一方的にダイハツに移管ではなく合弁になっていたら、と思うところは多々ある。
    例えばトール(ルーミィ、ジャスティ)。スバルの独立懸下サスやスーパーチャージャー、ボディ設計のノウハウが入っていればもう少しマシだったろうに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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