Mでも包みきれない2710kgの車重
BMW XMの実用性は、サルーンのBMW M5より優れるものの、同クラスのSUVと比べて勝るとまではいえないだろう。Mディファレンシャルと燃料タンクが配置される都合上、荷室の床面が高く重い荷物は積みにくい。
【画像】包みきれない2710kg BMW XM フェラーリにランボ、ポルシェ 競合する高性能SUV 全164枚
荷室容量は527L。ポルシェ・カイエンやランボルギーニ・ウルスより小さい。BMW X5 Mの方が使い勝手は良好で、後方の視界も広い。XMが普段使いに適さないわけではないけれど。
観察はこの程度にして、実際に走り出してみよう。さて、BMW M渾身のXMは、高性能SUVの新基準といえる高みに到達しているだろうか。M5 CSに通じるDNAを受け継いでいるだろうか。
果たして、快くYESとはいえなさそうだ。いつくかの弱点が含まれている。
まず、車重を包み隠すことが得意なBMW Mをもってしても、XMの2710kgまでは覆いきれていないようだ。プラグイン・ハイブリッドのランドローバー・レンジローバーと殆ど変わらない重さがある。
この重量を招いている要因の1つが、BMWのCLARモジュラー・アーキテクチャをベースにしていること。多用途でねじり剛性が高いぶん、軽くない。小柄なM3 ツーリングでさえ、1865kgある理由でもある。
さらにXMにはプラグイン・ハイブリッドのパワートレインが載っている。ボディも大柄だ。インテリアは豪華に仕立てられ、23インチの巨大なアルミホイールも履いている。
暴力的に目覚める4.4L V8ツインターボ
この車重で0-100km/h加速4.3秒は優秀といえるだろう。だが、653psに期待するほどの勢いはない。一般道を運転してみて、最新のMモデルへの期待値との距離を感じざるを得なかった。
パワートレイン自体には面白みがある。デフォルトのハイブリッド・モードで発進させると、駆動用モーターだけで静かに進み始める。アクセルペダルを更に傾けると、4.4L V8ツインターボエンジンが暴力的に目覚める。
内燃エンジンと駆動用モーターの両方が、個性的なサウンドを放つ。このデュエットが、過去にはないエキサイティングな体験を生んでいる。
丁寧に作り込まれたユニットらしく、ツインターボエンジンは高回転域まで意欲的に回る。反響用のパイプを介して、勇ましいエグゾーストノートが車内へ届く。
一方で、駆動用モーターはアクセルペダルへ敏感に反応するものの、低速域での制御には少々のムラが感取された。もう少し微調整を加えても良いかもしれない。
ステアリングも悪くない。多くの高性能SUVより素直に操れる。ワダチを追いすぎることはなく、感心するほど正確。しかし手のひらへ伝わる情報量は、ポルシェ・カイエンのように多くはないようだ。
サスペンションは、スチールスプリングにアダプティブダンパー、アクティブ・アンチロールバーという組み合わせ。特にフロント側は、ダンパーがより自由に伸縮できるよう、独自のコントロールアーム構成が取られている。
小気味よく進行方向を変えるけれど・・
ステアリングホイール上のMボタンを押して、ドライブモードを1段引き締めると、XMは小気味よく進行方向を変えるようになる。姿勢制御にも優れ、安心感は高い。Mの血統を受け継ぐバランスを宿している。
だがタイヤの接地面が大きく、重いボディと相まって、ダイナミックに流れるような印象は薄い。コーナーの連続する区間で得られる喜びは、M5には及ばない。
乗り心地は、特に低速域で落ち着かない。コンフォート・モード時はM3 ツーリングと同等の硬さながら、上下動のストロークがやや大きい。エアサスペンションを採用しても良かったのではないだろうか。XMの評価を伸ばせると思う。
背もたれが起き気味のドライビングポジションも、Mモデルに乗っているという感覚を遠ざける。もちろん、路面からの位置も高い。
XMを運転してみると、インパクトを重視したようなスタイリングへ不思議に納得してしまった。システム総合で653psという衝撃のパワーを宿した、本当の目的を見失っているように思えたからだ。
Mモデルといえば、実用性の高いパッケージングはそのままに、充足感の高いドライビング体験を提供することが特長といえた。最新のXMが、そこへ完璧に当てはまるとは表現しにくい。
少なくとも、英国の一般道には収まりきらない。動的能力を発揮させるにしても、日常的に乗るにしても、大きく重すぎる。パワートレインの洗練度にも磨ける余地はある。BMW Mなら、もっと高みを目指せると思う。
BMW XM(北米仕様)のスペック
英国価格:14万8060ポンド(約2383万円)
全長:5110mm
全幅:2005mm
全高:1755mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:18.7km/L
CO2排出量:18g/km
車両重量:2710kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:29.5kWh
最高出力:653ps/5400-7200rpm(システム総合)
最大トルク:81.4kg-m/1600-5000rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
汚い穴だなぁ