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世界500台限定のニュル仕様 ルノー・メガーヌRSトロフィーR 130kgの軽量化

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世界500台限定のニュル仕様 ルノー・メガーヌRSトロフィーR 130kgの軽量化

最も過激なクルマの1台

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)7万2140ポンド(959万円)もする、ルノー・メガーヌ。世界で最も過激なクルマを探しているのなら、このメガーヌRSはひとつの答えだ。

【画像】ルノー・メガーヌRS 全73枚

この強気の値段をつけたメガーヌRSトロフィーRは、3代目となる極めてシリアスなハードコア・ハッチバック。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのラップタイム7分40秒1という、量産FFの記録を樹立したクルマと基本的に同じ仕様となっている。

フェラーリ488ピスタのような、カーボンセラミック製のブレーキディスクとカーボンファイバー製のホイールも選べる。それぞれ9000ポンド(119万円)と1万2000ポンド(159万円)もする、ニュルブルクリンク・レコードパックの特別パーツだ。合わせればフォード・フィエスタST-2を買えてしまう。

この高価なオプションを選ばずとも、標準のトロフィーRの価格は5万1140ポンド(680万円)。1万9305ポンド(256万円)も、ベースとなったRS300トロフィーより高い。だがアルパイン・ホワイトのボディ色やボンネットスクープ、専用ステッカー類以上の内容を備えていることはいうまでもない。

価格は増えても、トロフィーと比較してトロフィーRの車重は130kgも減られている。カーボン・コンポジット製のボンネットで8kgの減、リアシートを外し25.3kgの減。4輪操舵システムをなくすことで32kgも軽くなっている。

パワーは変わらず300psと40.7kg-m

得たものとしては、専用のオーリンズ製ダンパーに、軽量なスプリング。フロントタイヤのネガティブキャンバー角。リアサスペンションのトーションビームも軽量なものになった。フロントスプリッターと大きなリアディフューザー、アンダーボディの修正でダウンフォースを増している。

チタン製のアクラボヴィッチ製マフラーも良い装備。重量は7kg軽く、4気筒1.8Lターボの音色を一層甘美なものにしている。一方でエンジンの最高出力やトルクは標準のトロフィーと同じで、300psと40.7kg-mとなっている。

7月に開催されたベルギーのサーキットでの試乗では、スリリングなドライビングに惹き込まれた。英国編集部のマット・プライヤーは、グリップ力や操縦感覚、コミュニケーション力などで、加速力で劣る前輪駆動のポルシェ911 GT3 RSのようだとまとめている。

英国の一般道は初めてとなるが、ロンドン近郊のルートでは、カップシャシーを備えたクルマのように骨が揺さぶられるほど堅い乗り心地を披露した。轍や隆起部分などを通過すると、前輪の衝撃音はボディ内で増幅されている様子。軽量化で防音材が省かれているためだろう。低速域での洗練性はイマイチだ。

だが、郊外のカーブの連続する区間に入れば、クルマと路面との調和は増してくる。トロフィーが備えている、路面のうねりなどに対して突っ張った印象は、トロフィーRでも依然として残ってはいる。それでも調整を受けたサスペンションにより、高速域での柔軟性は増している印象。

乗り心地を帳消しにする操縦性と音響

改善値としては小さく、トロフィーと乗り比べてみなければわからないレベルだろう。そんな悪い乗り心地は、普通のクルマでは我慢できないはずなのだが、トロフィーRなら許せてしまうから不思議。他の部分の仕上がりは良好で、より低レベルなクルマで気になってしまうような部分が、トロフィーRにはないためだろう。

6速MTには手を加えていないそうだが、通常のトロフィーでは引っ掛かりを感じたものが減り、変速時の手応えも若干軽さを増したように感じる。凄まじいグリップ力を生むブリジストン・ポテンザS007からの情報は、アルカンターラの巻かれたステアリングホイールへしっかりと伝わってくる。

アクラボヴィッチ製のマフラーが奏でる特別なサウンドを楽しむには、激しい加速が必要になる。低音域とエッジの効いた咆哮との入り混じった音響を与えたことも、素晴らしい考えだ。極めて速いが、このサウンドに聞き浸るために、一般道でパフォーマンスを発揮させたくなってしまう。

操舵時の印象的なまでの感覚の濃さに加えて、重み付けも素晴らしく、重すぎず軽すぎない、絶妙なバランスにある。ドライビングモードに関係なく、ステアリングフィールは素晴らしい。後輪操舵システムが省かれているが、それによってクルマの操縦性にも大きな改善が得られている。

後輪操舵がなくなったことで操作に対する反応に一貫性が出て、挙動の予想が遥かにしやすくなっている。グリップ力の凄まじいフロントタイヤの能力をしっかり引き出すことも可能となった。

全世界で500台限定

中速コーナーでは、スロットル調整でラインをタイトにしていったり、わずかにリアタイヤを流してリフトオフ・オーバーステア状態を楽しむこともしやすくなった。高速域での安定性が少なくなった印象もあるが、コーナーの続く道を刺激的に走り抜ける能力が高まったことを考えれば、トレードオフとしては歓迎できる。

もしルノー・メガーヌRSトロフィーRにニュルブルクリンク・レコードパックを付けたクルマが欲しくても、7万2140ポンド(959万円)という価格は意思決定にさほど影響を及ばさないかもしれない。リアシートがなくても、長距離運転に適していなくても、それを超える中身を備えている。

徹底的なハードコア仕様のホットハッチを目指して同じ金額を投じて仕立てても、ルノー・メガーヌRSトロフィーR以上に良くはならないだろう。気にするべきは、500台限定のうち英国に入ってくるのはわずか32台という事実の方だ。日本への導入もある模様。

さらにその32台のうち、オプションのブレンボ製ゴールド・カーボンセラミック・ブレーキが装着されるクルマはわずか2台で、1台は既に広報車に充てがわれている。出て間もないメガーヌRSながら、メガーヌRSトロフィーRは、選りすぐりのモデルなことは間違いない。

近日中にしっかり検証するロードテストも行う予定だ。

ルノー・メガーヌRSトロフィーR ニュルブルクリンク・レコードパックのスペック

価格:7万2140ポンド(959万円)
全長:4410mm
全幅:1875mm
全高:1435mm
最高速度:262km/h
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:12.6km/L
CO2排出量:180g/km
乾燥重量:1381kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/6000rpm
最大トルク:40.7kg-m/3200rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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