1972年に登場した4代目スカイライン(C110型)は「ケンメリ」の愛称で幅広いユーザーに親しまれ、歴代最多の販売台数を誇る。優しさの時代を巧みに捉えたケンメリだったが、実は硬派な“GT-R”がごくわずかな数だけ生産されたことを覚えているだろうか? その総生産台数は今もって謎に包まれている・・・。
生産期間は4カ月で総生産台数は197台と言われてきたケンメリGT-R
1972年9月に発売された4代目スカイラインは、巧みな広告戦略が奏功して現在に至るまで歴代最多の販売台数(およそ64万台)を誇るシリーズ最大のヒット作だ。荒ぶる1960年代が終わり「優しさの時代」への移ろいを巧みに捉えた広告は「ケンとメリー」というキャッチ―なコピーとともに一世を風靡。「ケンメリ」の愛称で親しまれ、新たなスカイラインファンを獲得したのだ。
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そんなケンメリにも“硬派”なGT-Rが存在したのをご存知の方も多いだろう。とは言え、ケンメリには当初生産計画は存在しなかった。厳しさを増す排出ガス規制に全社的に開発原資を集中させる必要があり、営業サイドからも「高性能よりも売れるクルマを」というリクエストがあったからである。
ところが、ケンメリが発売されるとディーラーはもちろん、直接メーカーにまで「GT-Rを作ってくれ」というオーダーが殺到した。その声に応えるべく、日産自動車は補修用やレースカーのスペア用として残っていたS20型DOHCエンジンを搭載したケンメリのGT-Rを限定生産する決定を下す。
生産期間は1973年1月から4月までのおよそ4ヵ月で、その総生産台数は試作車やショーモデルを含めわずか197台というのがファンのあいだで長らく定説となっていた。市販されたケンメリGT-Rの車台番号はKPGC110-000051から000245までの195台で、これに日産自動車が保有する車体番号000011番の赤い試作車と1972年の東京モーターショーに展示された車体番号000013番レーシング仕様の2台を合わせて197台になる、というのが197台説の論拠だ。
少なくとも200台は生産されたことが判明、今後さらに増える可能性も
ところが、近年になって実際にはもう少し多く存在した証拠が続々と見つかっている。
たとえば、数年前にあるオーナーが入手したGT-Rの“試作車”。そこには車体番号000021という番号が刻まれていた。さらにこの車体からは興味深い事実が発見されている。先代KPGC10型GT-Rがマツダロータリー勢にレースで敗れ連勝記録にストップがかかった。そこで日産は捲土重来を期してロータリーエンジンの開発に着手。当時、2代目シルビアはロータリー搭載車となる予定と発売前に喧伝された。実際にはお蔵入りしてしまうのだが、その開発の事実を物語る証拠が000021番の車体から発見されたのだ。エンジンマウントがレシプロエンジンのものとは明らかに異なる形状をしており、ロータリー搭載車だったと考えられるのだ。
明らかな試作車といえ、なぜこのようなクルマが世に出たのか。それは日産・村山工場が閉鎖されたタイミングで放出されたからだ。一般的にこのような試作車は資産として計上されるため、役割を終えるとスクラップにされるもの。ところがロータリー開発を諦めきれなかったのか定かではないが、奇跡的に生き残ったようだ。これでケンメリGT-Rの生産台数は198台になる。
そして日産の座間事業所が閉鎖されて記念車の保管庫になっている場所には前述の2台に加え、さらに1台、出自不明のケンメリGT-Rが保管されている。白の000023番があったのだ。これで少なくとも199台が存在したことになる。
さらに1台、ヒストリックカ―の専門ショップが000012番のケンメリGT-Rを所有していることも明らかになっている。つまり少なくとも200台のケンメリGT-Rが作られたことになるのだ。
現時点でこれ以上は確認できていないが、今後さらに台数が増える可能性もある。実は正式に市販された000052番のケンメリGT-Rは、メーカー自ら車台番号を打ち替えているのだ。最初に打刻された番号は000022。その十の位の2に上から斜線が打たれ、新たに5が刻印されて000052となっていた。
長らく市販されたケンメリGT-Rは000051番以降とされているのに、000022番が存在したことを示す。さらに後年になって放出された前述のケンメリGT-Rは000021番。そして日産に000023番が保管されている。であるなら、000024番以降が生産されたと考えても何ら不思議ではない。なんともミステリアスでロマンチックな話である。
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有鉛ハイオクとレギュラーの2種類の仕様が有った
事が書いて無い。