この記事をまとめると
■直列6気筒エンジンはクルマ好きの間でも人気が高いエンジンだった
「キーを捻れば」「ボタンを押せば」エンジンがかかるのはイマドキの話! 昔のクルマ好きなら誰もが引いた「チョーク」とは
■V6エンジンも同じ6気筒ではあるが、人気は直列6気筒ほど高くない
■気筒数は同じでも、構造上フィーリングや加速力に違いが出やすい
直6エンジンはなぜ信仰されるのか
直列6気筒エンジンは、「シルキー・シックス(絹のように滑らかな6気筒:意訳)」と称され、調和のとれた滑らかな回転で高級車に必須のエンジン形式だった。一方で、エンジンの全長が長くなるため、ことに衝突安全性能が強化された1990年代以降、同じ6気筒でもV型へ転換される傾向が強まった。
その後、2018年になってメルセデス・ベンツが直列6気筒を復活させた。BMWも、環境性能を考慮して直列4気筒エンジン化を進めたが、直列6気筒を残している。
直列6気筒がそこまで憧れられるエンジンである理由は、6つの各シリンダーで燃焼が順次行われた際に、慣性力や慣性モーメントが打ち消され、ほぼ完全に調和がとれ、不快な振動を起こしにくいからだ。余計な振動を生じさせないことにより、高回転まで滑らかにまわり、快い加速をもたらす。同じことは、V型12気筒でもいえる。V型12気筒は、直列6気筒エンジンをV型に組み合わせた形式と考えられるからだ。
それに対し、同じ6気筒でもV型6気筒は、直列6気筒ほど憧れられない。直列6気筒のような、絹のように滑らかな回転による加速を得にくいためだ。
ではなぜ、同じ6気筒であるのにそれぞれ違いが出るのか。
6気筒ということばかりに注意が集まるが、簡単にいえば、V型6気筒は直列3気筒エンジンをV型に組み合わせた形式といえる。軽自動車や小型車などで使われる直列3気筒エンジンが、振動と騒音によってあまり上質と感じにくいのは承知しているとおり。そのエンジンを、V型に組み合わせたからといって、単純に上質になるわけではない。
V型とする場合、向かい合うシリンダーのコンロッドは、同じクランクシャフトの取り付け部を共有するのが基本だが、片側が3気筒のV型6気筒では、V型のバンク角を120度にしないと調和がとれない。また、その角度では、エンジン幅が広くなりすぎてクルマに車載しにくい。
そこで、車載のために60度とか45度にV型のバンク角を狭めると、振動が出るのである。そこで、左右で向かい合うピストンのコンロッドのクランクシャフトへの取り付けを別々にすることにより、振動をある程度抑えることができる。それでも完璧ではない。加えて、バランスシャフトを追加し、余分な振動を打ち消す手法が用いられることがある。
最近の市販車の例では、ヤリスクロスに搭載されている直列3気筒エンジンと、レクサスLBXに搭載されているエンジンは基本的に同じだが、LBXのほうにはバランスシャフトが取り付けられ、直列3気筒と感じにくいほど洗練されている。
追加の手立てを加えることで、V型6気筒エンジンも上質さを高めることは不可能ではない。だが、元来素性の良い直列6気筒エンジンにはかなわないのである。
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みんなのコメント
V6をL3×2扱いするなよ
偶数気筒と奇数気筒ではぜんぜん違うよ