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スバル「インプレッサ」(初代) その魅力、たとえるなら「プロ仕様の中華鍋」?

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スバル「インプレッサ」(初代) その魅力、たとえるなら「プロ仕様の中華鍋」?

ひと目ぼれはできなかったラリーチャンプカー

 あるモデルを好きになる時、ひと目ぼれもありますが、「最初は分からなかったあのクルマの魅力」にじわじわと気付くことがあります。筆者(下高井戸ユキ:ライター)にとって、初代のスバル「インプレッサ」は、まさにそうした1台でした。

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 1992(平成4)年に発売された初代「インプレッサ」は、スバルの大ヒットワゴン「レガシィ」を一回りコンパクトにした、弟分のような存在でした。ボディサイズは、全長4340mm×全幅1690mm×全高1405mm(セダン)と取り回ししやすい大きさ。いわゆる、「カローラサイズ」です。エンジンは、スバルお得意の水平対向4気筒を搭載。1.5L、1.6L、1.8L、2.0Lの4種類が用意されるという手厚さで、独特なサウンドと力強さが印象的でした。特に「インプレッサWRX」に搭載された2.0Lのエンジンユニットは、「レガシィ」のDOHCターボを240psに出力向上させたもので、小さなボディに「レガシィ」のハイパワーを積んだという期待値で、デビュー直後から話題になったものです。

 デビュー翌年の1993(平成5)年に、「レガシィ」に代わってWRC(世界ラリー選手権)に参戦。その後、1995(平成7)年には、ドライバーズタイトルとマニュファクチャラータイトルのダブル受賞を果たし、名実ともに、「世界の『インプレッサ』」になりました。当時、あのブルーのボディと「555」のペイントに、胸を震わせたラリーファン多数。現行5代目となった今でも、「インプレッサ」と聞くと、土煙をあげて走るシーンが浮かぶファンも多いのです。

路上でこそ感じられるその魅力

 実はその頃、個人的には、「インプレッサ」はスタイリングがもっさりし、冒険してない感じがして、なんだかときめきませんでした。日産「シルビア」やマツダ「RX-7」のような薄いボディで、ひらりひらりとカーブを駆け抜ける華麗さこそが「クルマの華」だと信じこんでいたからです。

「FRだぜ!」と、峠でいくらお尻をふっていても、あの水平対向4気筒と4WDでガーッとぶち抜いていってしまう「インプレッサ」。その姿はまさに「ばかっ速」で、「なんかいけ好かなーい」と臍(ほぞ)を噛んでいました。その上、ワゴンとして利便性まであるなんて、「クルマ好きの風上にも置けない、潔くない!」と、勝手に憤慨していたものです。「狭くて乗り心地悪くてナンボ」という、ちょいズレの思い込み故だと思います。

 それが、何度も見るうちに、「2ドアのセダンなら、まあ、ありかも」、「というか、ワゴンのプロ仕様感満載な迫力、いいかも」と思うようになりました。徐々に、「ゴールドのホイールは、けっこうときめくな」、「競技用ベースモデルに専用パーツてんこ盛りって贅沢」、「STi(スバル・テクニカ・インターナショナル)って聞くと、ちょっとワクワクする」、「なんなんだ、『ドライバーズコントロール・センターデフ』って!」と気持ちが移り変わっていくように。そのうち、ひげ面男子をみると、「あ、グラベル」と呟くレベルになった時、やっと、「インプレッサ」の真の魅力に気が付いたのでした。

要はドライバーになにを提供するのか、そのひとつの答え

 ひと言でいうと、「インプレッサ」は、「勝てるクルマ」でした。WRCで実績を残すのはもちろん、峠や山道で、実際にドライバーに走りで満足感を与えることに最大限重きを置いたモデルだった気がします。実際、本気を出した「インプレッサ」には、「速っ!」以外かける言葉は見つかりませんでした。抜かれる側も、爽快感を感じるレベルでした。

 ラリーでつちかった技術をどんどん市販車に反映し、マイナーチェンジのたびにパワーアップしていく気前の良さには、毎回舌を巻きました。その頃になってようやく、あのスタイリングの意味も分かってきたような気がします。「インプレッサ」は、最先端技術の「ヘルシオ」(編集部注:シャープ製ウォーターオーブンのシリーズ)とか、おしゃれ感満載の「ル・クルーゼ」(編集部注:フランスの調理器具メーカー)のココット(編集部注:両手鍋)ではなく、プロ仕様の中華鍋だったのです。だからこそ、使いこなした時、乗りこなした時、オーナーに最上の「ドヤ顔」をさせる力があるモデルなのではないでしょうか。

 いまでも街中で初代「インプレッサ」を見かけますが、このオーナーさんたちは最初からこの魅力に気づけた人たちなのかな、と、ちょっと羨望のまなざしを送ってしまったりします。

【写真】555のペイントが躍る「インプレッサ」

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