新型コロナのワクチン普及にはまだもうすこし時間がかかるようだけど、なんとか希望も見えてきた昨今。「以前とまったく同じように」とはいかないだろうけれど、今秋くらいにはどうにか旅行へいけるようになるはず(もちろん対策はしっかりと)。そろそろ計画だけでも立てておこうという人に朗報です。東京~九州のカーフェリー、新航路が登場しました。
愛車をそのままフェリーに乗せて移動できれば、到着地での移動も楽だしなにより荷物がそのまま載せて運べる。フェリー内での快適な旅程も楽しめて、なかなか楽しいこのプラン、レポートをご用意したのでぜひ参考にしてほしい。
昔は「白」だった!! パトカーの白黒パンダカラーはいつから始まった
文/加藤久美子 写真/加藤博人
【画像ギャラリー】東京九州フェリーの快適な旅程を画像でチェック!
■7月1日に横須賀~新門司間のフェリーが就航!
2021年7月1日に、待望の長距離フェリー「東京九州フェリー」が初出航した。筆者が新しいフェリーの就航を知ったのは2020年春頃で、関東側の発着港は横須賀、九州側は新門司だと聞いていたので「山口・九州への移動に使える!」と大きな期待を抱いていたのだ。
名門大洋フェリー外観
筆者は実家がある山口県下関市へ年に4-5回仕事を兼ねて帰省する。その際、クルマを伴って九州・山口まで移動することが多く、かつては最寄りの「横浜青葉IC」から東名高速に乗って、ひたすら西へ向かって1000キロの道のりを走っていた。
ごくたまに(3年に1回位)神戸~北九州間でフェリーを利用しており、もっと昔(30年位前)には「カートレイン」(東京~小倉)という移動手段を利用したことも数回ある。
皆様の中にも「カートレイン」のご記憶がある方もいるかもしれないが、その名の通り鉄道で人と車を運ぶ方法だ。JR恵比寿駅(後に浜松町駅)クルマをコンテナに載せて人は連結されたブルートレインに乗って移動する。
通常は通れない貨物専用線を通るなどレアな体験もできて良かったのだが、コンテナに入るクルマにはサイズに限り(基本5ナンバーサイズ以下)があったことで利用者が減少し廃止になってしまった。
というわけで、近年クルマ連れで帰るときには基本、高速道路を走って帰って来ていたわけだが、昨年のGoToトラベル以降、事情が変わって来た。
フェリー代金(自動車航走費用+宿泊代金)が50%オフになることで関西(大阪または神戸)までは高速道路で自走、関西から新門司まではフェリーを利用し新門司から実家(下関)に移動する機会が増えたのだ。ちなみに新門司から実家までは関門橋経由で約20分。
富士山を見ながら東名ドライブ
GoToトラベルキャンペーンは昨年12月末から一時停止となっている状態だが、あの快適さが忘れられず、山口・九州方面での取材や帰省の際には、半額にならなくてもフェリーを利用している昨今なのである。
このような状況で最近はすっかりカーフェリー好き♪になった筆者なので、東京九州フェリーのオープンを心待ちにしていた。
6月27日の試運行時には(中には入れないけど)近くのショッピングモールから撮影し、7月1日のオープン日にも23時頃から横須賀市長をはじめ関係者が見送る中、一緒に(見送りに駆け付けた一般人として)配られたペンライトを持って見送った。
そしてついに、7月12日、東京九州フェリーに乗る日がやって来た。
東京九州フェリー 初乗船の日が梅雨明けだった!
自腹で64000円(クルマ1台+2名)を投資して21時間の船旅を体験した印象も織り込みつつ東京(横須賀)~九州(北九州)間のクルマ旅について、他のルートや交通手段と比較しながら紹介してみたい。
■東京~九州のクルマ連れ旅 選択肢は?
東京~九州とあるが筆者は横浜在住(東名横浜青葉ICの近く)で実家は本州の西端にある山口県下関市である(九州じゃないよ!)。
以下、30年間の経験をもとに関東~山口・北九州とのクルマ移動についていくつかの手段を紹介してみたい。
【全線高速道路】
・経路 横浜青葉IC(東名)~御殿場JCT・新東名~伊勢湾岸道または名神~山陽道~中国道~下関IC
・通行料(14,360円※深夜割引などETC割引あり)+ガソリン代
・所要時間 12-16時間
・走行距離 971.9キロ(横浜青葉IC~下関)
関東から本州の西端まで全線クルマで走行して移動する。筆者はかつてこの方法で帰省していた。東名横浜青葉からおよそ1000キロ少々。
下関市まではかつては1000キロ超だったが、現在は新東名や山陽道が全線開通したことで、少し距離が縮まっている。長距離運転が苦にならない人、沿線上のSAPA巡りを楽しみたい人、大人数で運転を交代しながら安く帰りたい人にお勧めだ。
首都圏~関西方面の高速道路は充実設備のSAPAが多いのでSAPA巡りも楽しい
【高速+フェリー】
・経路 横浜青葉IC(東名)~御殿場JCT・新東名~伊勢湾岸道、新名神、阪神高速など経由で大阪南港または六甲アイランド/泉大津
・費用 高速道路通行料1万円前後+フェリー代金(5M未満1台+大人2名)3~4万円(+ガソリン代)
・所要時間 関西まで自走で6時間+フェリー12時間=18時間
・走行距離 横浜青葉~南港北(約480キロ)/六甲アイランド北(約500キロ)
東名~新東名~名神など高速道路約500キロのドライブ+フェリー12時間の行程となる。関西~新門司のフェリーには阪九フェリーと名門大洋フェリーの2種類があり、筆者はいずれも各々10回前後は利用しているが最近は名門大洋フェリーの比率が高まっている。
首都圏から関西に向かう場合、東名と新東名の選択肢があるのはありがたい 新東名は120キロ区間が長いのも嬉しい
東名~名神の高速道路にはユニークで楽しくおいしいSA/PAが集中しているので、日本一の来場者を誇る海老名SAや1億円トイレで有名な刈谷ハイウェイオアシスなど有名どころをチェックしつつ、500キロを走ったあとはフェリーで約12時間の船旅を楽しめる。
瀬戸内海を通るため海も穏やかで揺れることもほぼなく、船酔いしやすい人にもおすすめだ。陸地が近く島々の間を航行するため携帯電話での通話もテザリングもほぼ問題ないし、船のWi-Fiもまあ良好である。
適度なドライブを楽しんだあとは、船内で仕事も快適にできるし、露天風呂でゆったり~なんてことも楽しい。
瀬戸内海航路は景色の変化が楽しいのも特徴だ。明石海峡大橋、来島海峡大橋など、大きな橋を通る際には通過予定時刻などのアナウンスもある。通過時刻は年間を通じてほぼ変わることはないが時期によってよって日没や日の出の時間は当然異なる。
ライトアップされた明石海峡大橋
7月には日の出とともに橋を通過しても12月ではまだほぼ真っ暗なんてことも。橋の通過は瀬戸内海航路の大きな楽しみのひとつなので通過時間と橋のライトアップや夕景、日の出とのマッチングは事前にチェックしておくと良いだろう。
【阪九フェリー(泉大津または神戸~新門司)】
・航路 泉大津17:30発 新門司6:00着
神戸 18:30発 新門司7:00着 (金・土は20:00発 8:30着)
・料金 36050円(5m未満1台+デラックス洋室2名)
・所要時間 約12時間
阪九フェリーは名門大洋より値段が高めな分、船内の雰囲気も高級だ。レストランのメニューは選択肢が多く、あれこれ頼んでいたら二人で5000円超えてちょっと反省なんてことも。
お勧めは阪九フェリーすべての船に備えられている露天風呂。大浴場の横に小さ目の露天風呂があり、海風を浴びながら、晴れた日には満天の星空のもと最高のお風呂時間を楽しめる。
フェリー旅の楽しみのひとつがお風呂 大海原を見ながらお風呂につかる 非日常感がたまらない!
なお、阪九フェリーにはリーズナブルな1人部屋もあるがこちらは窓のないエリアで、船内Wi-Fiはもちろん携帯電話すらほぼ通じない。Wi-Fiを使いたければ窓のある部屋を選ぼう。
【名門大洋フェリー(大阪南港~新門司)】
・航路 大阪南港発 17:00/19:50発 新門司5:30 /8:30着
・料金 26000円~32000円(5m未満1台+デラックス洋室2名)
・所要時間 約12時間
名門大洋フェリーは同じ大阪南港からの出航で17時発と19時50分発がある。17時発の方が運賃も安めで時期によっては様々なキャンペーンの対象となる。また今年は7月1日~9月30日の日程で出航時間に関わらずかなりお得な割引キャンペーンを展開しており、これがかなりオトク!
乗用車1台(全長6mまで)+ファースト(和室・洋室・和洋室いずれも最大4名まで)で26000円~32000円。
4人家族+5M超の大型セダンやミニバンなどでの利用は非常にリーズナブルだ。例えば月~木曜日17時発の同条件で利用した場合、正規料金76,240円に比べて最大で5万円以上!安く、ウェブ割引料金52000円に比べてもほぼ半額となっている。
ただし予約は7日前までで、キャンセル料も高め(50%)になっているので注意してほしい。条件が整えばかなりお得な料金と言えるだろう。
名門大洋の食事は夕食も朝食もバイキングのみ。ドリンクバー付き1600円はリーズナブルだが美味しいメニューは早めに行くのがおススメ。出航と同時にレストランが開店する。
名門大洋は夕朝食共にバイキングのみ
■【全線フェリー】
(1)東京九州フェリー
・航路 横須賀発23:45発 新門司21:00着
・料金 64000円(5m未満1台+ツーリストS×2部屋)
・所要時間 約21時間
7月1日に新たに就航した「東京九州フェリー」に7月12日、クルマ1台(トヨタ・カレン)+息子と二人で乗ってみた。
実は7月1日のオープン日、台風の影響で大シケとなり船は揺れまくって「大浴場のお湯が半分以上なくなった」「海が見えたと思ったら次に空が見えた」「常にだれかが吐いている」という壮絶な情報がSNSに寄せられていたので、楽しみではあるものの正直心配も大きかった。
しかし、筆者が乗船した7月12日~13日にかけて中国地方は梅雨明けしており、穏やかな海と晴天に恵まれて快適な船旅を楽しむことができた。揺れはほとんど感じなかったが、ベッドに体を横たえていると細かな振動が使わってくる。
船内はさすがに新しく公共スペースが広く気持ちがいい。海に向かって窓際に電源付きサイトがあり筆者の他にもここでパソコンを広げていた人が2-3名いた。
●部屋
新造船とあって今の時代、もう昔のような「大部屋で雑魚寝」といった部屋は設置されておらず、もっともベーシックな「ツーリスト」(12000円)でもカプセルホテルくらいの個室空間はある。
東京九州フェリーの「ツーリストS」一応大部屋という扱いだがすべて個室仕様
筆者が利用した部屋は下から2番目の「ツーリストS」(+6000円)で窓はないがテレビと机と椅子は用意されていた。壁が薄いので独り言に注意!(隣の部屋にいる息子に音声入力でメールを送ろうとしたら、「聞こえてるよ!」と壁の向こうから聞こえてびっくりした(笑))
●アクティビティ
クロスワードパズルや国内フェリー初のプラネタリウム、ゴーストバスターズやE.Tなど家族で楽しめる映画の上映などアクティビティも充実している。時間を区切って実施されるので案内をチェック
●レストラン
乗船直後の夜食から、翌日の朝・昼・夕食までレストランでいただける。メニューが豊富で朝・昼・夕それぞれ違ったメニューが用意される。神奈川や九州・下関の新鮮な素材がとてもおいしい。注意すべきは朝8時~9時(ラストオーダー)、昼12~13時(同)など開いている時間が短いこと。
東京九州フェリー 食事の注文はすべてタッチパネルで
●お風呂
大浴場のほかに男女それぞれ露天風呂が併設されている。清潔感があり海風を浴びながらの入浴は最高!
乗船日の夜(午前1時まで)と、翌朝8時~20時まで利用できる。
この他東京~九州間をクルマと一緒に移動する手段としては「オーシャン東九フェリー」の存在も忘れてはならない。筆者も30年近く前に2回乗ったことがある。
東京有明19:30発~徳島13:20着~新門司5:35着(曜日によって異なる)と2泊3日35時間の旅で、
料金は通常は62350円(5m未満1台+2等個室2名)だが、9月30日までは1名分運賃18490円が無料となるキャンペーン中 これはオトクだ。
とくに娯楽などはなく、瀬戸内海ではなくほぼ太平洋を通る。どこまでも広がる大海原を横目にゆっくり読書に没頭したり、書き物をしたり、ゲームに熱中したりなどゆったりした時間を過ごすのも良い。なお、船内Wi-Fiはなく携帯電話も陸地の近くを通るときにのみ通じる。
シンプルではあるが、乗客が非常に少なく最安の二等でも2名個室(テレビや冷蔵庫付き)なのも嬉しい。
名門大洋フェリーの2等個室 瀬戸内海航路なら窓がある場所なら携帯もほぼ通じる
他の航路ではレストラン営業時間に食事時間を縛られるがオーシャン東九フェリーは自販機利用なので自分の好きな時間に食事ができる。
以上、首都圏から山口・九州へクルマを連れて移動する際の方法について筆者の経験を交えて書いてみました!
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みんなのコメント
トヨタ カレン。(笑)
まぁ態々自車を持ち込まなくても、レンタカーをすれば良いという話もあるが(笑)