現在位置: carview! > ニュース > カー用品 > 【さっそく試した!】まさかのグランエース用サスチューニング。極太ロッドを専用開発したTEINのもくろみとは?|エンデュラプロ プラス|

ここから本文です

【さっそく試した!】まさかのグランエース用サスチューニング。極太ロッドを専用開発したTEINのもくろみとは?|エンデュラプロ プラス|

掲載 更新
【さっそく試した!】まさかのグランエース用サスチューニング。極太ロッドを専用開発したTEINのもくろみとは?|エンデュラプロ プラス|

ちょうど1年前の今ごろ話題になっていたのが、東京モーターショー2019に出展されたトヨタのフルサイズワゴン「グランエース」。海外では「グランビア」としてひと足先にデビューしていたが、国内でのターゲットは高級ホテルの送迎車やエグゼクティブ向けのショーファードリブン、ハイヤーなど。東京2020オリンピックの大会関係者の送迎車にも使われる予定で、コロナ禍で延期されなければ都内のあちこちで見かけたはずなのだが……。
 


アル/ヴェルよりも大きく重いグランエース用サスを開発コンセプト的に重なる部分の多いアルファード/ヴェルファイアと車両サイズを比較すると、全長+355mm、全幅+120mm、全高+55mmとふた回り以上大きく、車重も6人乗りのプレミアムで2740kgと超ヘビー級(アルファードはもっとも重い2.5Lハイブリッド4WDのエグゼクティブラウンジ7人乗りで2240kg)。取りまわしやランニングコスト、駐車場の確保も含めてパーソナルユースには不向きだが、テインからグランエース用のショックアブソーバー「エンデュラプロ プラス」がリリースされた。さすがは国産車向けのサスペンションを漏れなくラインアップする同社らしい。

【ジムニーをリフトアップでキメる!】過酷な道で鍛え上げられたTEINのJB64ジムニー用「4×4ダンパースポーツ」を試す

 
世界戦略製品を積極投入する理由エンデュラプロ/エンデュラプロ プラスのコンセプトは「プレミアムリプレイスメント」。純正品よりもワンランク上の乗り味と操縦安定性を目指したテインの世界戦略製品という位置付けで、グローバル市場での純正アップグレード/エンハンスメント(改良・強化)ニーズに応える製品だ。インフラが整っていない新興国の劣悪な路面コンディションでは、ショックアブソーバーはタイヤと同じ「消耗品」であり、ショックとタイヤの交換サイクルが同じという地域もある。そこで、エンデュラプロシリーズは純正ショック比約2倍のロングライフを目指して開発された。
 
具体的には、純正より太いシェルケースを採用し、オイル容量を増やして耐久性を向上させるとともに、長期に渡って安定した減衰力性能を発揮する……のだが、グランエース向けには新規にプラットフォームを立ち上げた。
 


乗用車ではあり得ない!?
直径30mmのピストンロッドを新開発
というのも、グランエースの純正ショックアブソーバーに使われているピストンロッドはφ28mmと太く(テインの従来のプラットフォームだと、ストラット式のピストンロッド径はφ22~25mmが多い)、純正以上の強度を持たせるためにはより太いピストンロッドと、それに合わせた関連部品(シェルケースやベースバルブなど)を新規に起こす必要があったのだ。
 
グランエース用エンデュラプロ プラスに採用されたピストンロッドは、テイン最大のφ30mm。わざわざコストを費やしてプラットフォームを立ち上げた理由は、次期型ハイエースなどトヨタから今後発売されるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)の商用車や、重量級のSUVなどにグランエースの足まわりが使われると想定しているから。ノウハウの蓄積も兼ねた先行開発の意味合いが強い。
 
 
ゆるふわ感や突き上げ感の改善し、イヤミのない乗り心地にグランエースのサス形式は、フロントがストラット式なのに対し、リヤは古式ゆかしい(!?) リジッドアクスル式。海外仕様の板ばねからコイルばねに改められ、周波数感応式の減衰力可変ショックを組み合わせているが、コンフォート性能を意識し過ぎたのか、低速でのふわついた動きや、高耐荷重の貨物用LTタイヤ特有の“アタリの硬さ”が気になる。速度を上げていくと直進安定性が心許ない。
 
テインではこうした純正サスのキャラクターを踏まえて、エンデュラプロ プラスのテストでは乗車人数や積載量を変えながら、さまざまなシチュエーションを想定してセッティングを煮詰めた。特に重視したのが後席の乗り心地で、6~4人乗車+人数分の荷物をラゲッジスペースに積み込んだ状態でベストな乗り心地が得られるという。
 


2列目以降の乗り心地が格段によくなる試乗時は筆者を含めた大人3人乗車+撮影機材を積載。運転席と2列目、3列目にそれぞれ座ってみたが、リヤタイヤの真上にシートがあり条件的にはもっとも厳しいと思われる3列目でも、段差を乗り越えた際の突き上げやピッチングが抑え込まれ、コーナリングでも左右に体が揺さぶられることがなかった。

 
強い衝撃を独自のバルブ機構で熱エネルギーに変換することで吸収し、フルバンプ時は減衰力を高めて挙動を落ち着かせるH.B.S.(ハイドロ・バンプ・ストッパー)の効果も大きいようだ。これでLTタイヤからミニバン用のコンフォートタイヤに履き替えたら、よりしなやかな乗り味になるはずだ。

 

高速走行時のふらつきも抑えるセッティング高速走行では横風が強く吹きつける、重心の高いグランエースには不利な条件。このような刻々と変化する走行条件に合わせてセッティングを変えられるのが、16段の伸/縮同時減衰力調整機構だ。試乗車両には車内からショックの減衰力調整を遠隔操作できる「EDFCアクティブプロ」を装着しており、減衰力をハード方向に振ってみると、ふらついた動きがなくなり、直進安定性が高まった。
 

EDFCを同時装着する価値アリせっかくの減衰力調整機構を“宝の持ち腐れ”にしないためにも、EDFCアクティブプロはセットで装着したい。任意の減衰力に設定できるのはもちろん、前後G、横G、速度に応じて4輪それぞれの減衰力をフルオートで調整してくれるので、走行シーンに合わせた乗り心地とハンドリングが得られる。
 
エンデュラプロ プラスは車高調整機構を持たない純正形状のショックアブソーバーで、スプリングとアッパーマウントは純正品をそのまま使うので価格もリーズナブル。グランエース用はフロント3万800円、リヤ1万7600円(各1本)なので、「車高は純正のままで、乗り心地やハンドリングのみを改善したい」という人にうってつけ。純正ショックがヘタってきたタイミングで交換するのもオススメだ。
 

 
[グランエース用エンデュラプロ プラス製品概要]■スペック
・複筒式構造の純正形状ショックアブソーバー
・H.B.S.(ハイドロバンプストッパー)を搭載
・アッパーマウントは純正を使用
・3年または6万kmの製品保証
・16段伸/縮同時減衰力調整機構
 
■スプリング
・純正スプリングを使用
 
■基準車高
・純正車高同等
 
■車高調整範囲
・車高調整不可
 
■価格(1本)
・フロント:3万800円
・リヤ:1万7600円
・1台分合計:9万6800円

■発売
・2020年10月下旬
 
■EDFCアクティブプロ ( )内は価格
・コントローラーキット(5万7200円)
・モーターキット(1万7050円)
・【オプション】GPSキット:EDK07-P8022(7260円)
 
 
[デモカーデータ]■トヨタ グランエース プレミアム(2.8L・FR、型式:GDH303W)
■足まわり:TEIN「EnduraPro PLUS」
■ホイール:ENKEI「WPS GranV」17×7J インセット45
■タイヤ:純正装着品(DUNLOP デュラビスR660A 235/60R17 109/107T LT)
 
 
 
 
〈文=湯目由明 写真=岡 拓〉

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

620.0650.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

481.21080.0万円

中古車を検索
グランエースの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

620.0650.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

481.21080.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村