一世を風靡した81系マークII三兄弟のサイドウィンドウワイパーや初代ディアマンテの免許証確認など、珍装備は日本車のお家芸と思われがちだ。
実際に今では当たり前のドリンクホルダーにしても昔はそんなもの必要? という目で見られていたのかもしれないが、今では輸入車も装備するなど、至れり尽くせりの装備は日本車が先鞭をつけてきた。
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しかし質実剛健に見えるが、探してみると輸入車にもお国柄が反映された装備であったり、珍装備と思われるものもあるので、当記事では意外な輸入車の珍装備を紹介していく。
文:永田恵一/写真:JAGUAR LAND ROVER、VOLVO、TESLA、FIAT、ROLLS-ROYCE、NISSAN、TOYOTA、MITSUBISHI、HONDA
【画像ギャラリー】至れり尽くせり!! これぞ日本車の専売特許の珍装備6選
レンジローバーのイベントシート
高級SUVとして世界的人気の高いレンジローバー。日本で販売されているモデルの価格は1493万~3202万円
レンジローバーは「砂漠のロールスロイス」と呼ばれるほどステータスの高い高級SUVで、最近は主にプロの運転手さんが運転するショーファードリブンとして使われることも増えているほどである。
現行レンジローバーのバックドアは上下二分割に開くタイプで、下部はベンチのように人が座れるように想定されているのに加え、豪華なトリムが貼られている。
安っぽいイベントシートという名前ながら実際は超高級シート。こんな贅沢なシートに座ってサッカーの試合とかを観戦できれば幸せこの上ない
さらにオプションでバックドア下部に簡易ながらシッカリした革張りのシートが置かれるイベントシートと呼ばれるものが設定されており、屋外でくつろぎたい時などにはレンジローバーのバックドア上部は日よけのようになることもあり非常に便利だ。
なおイベントシートは使わないときには邪魔にならないようラゲッジスペース下に収納される点も素晴らしい。
ボルボS80&V70の心拍センサー
日本では2006~2014年まで販売されたS80はボルボのフラッグシップセダンだったが、2017年に登場したS90にその座を譲った
S80/V70にオプション設定されていた心拍センサーは、車内に人が潜んでいる、車両盗難に遭っているなどの感知をキーレスと連動させていた
この装備は車内に心拍センサーを設けることで車内に人がいるかいないかを判断し、駐車中に車内に不審者がいる場合に警告するという目的で設定された。
この装備は昨今の突然の疾病による暴走事故などを考えると、心拍センサーにドライバーモニタリングを組み合わせるなどしてドライバーの異常を判断し、緊急停止や救急への通報といった被害軽減につなげるといった発展も期待できる。
珍装備と思われていたが、今になると可能性を感じる復活を期待したい装備だ。
テスラモデルX、モデルSのバイオウエポン・ディフェンスモード
これは医療用のHEPAと呼ばれる空気浄化システムを使い、車内を陽圧(車外より圧力を高くする)とすることで車内の空気を手術室並みにクリーンにするというものだ。
効果は空気が非常に汚いところでも2分以内に計測機器が計測不能になるほどの浄化能力があり、抜群である。
新型コロナウイルスで換気の必要性が叫ばれているが、バイオウェポン・ディフェンスモードは世界で最も換気性能に優れたクルマなのかもしれない。
テスラモデルXの日本での販売価格は1110万~1348万円。リアドアの開き方が特徴的なSUVタイプの電気自動車
フラッグシップセダンのモデルS、SUVのモデルXとも医療用のHEPAと呼ばれる空気浄化システムを採用し、クリーンな室内を実現
テスラのおならモード
テスラの各車はその是非はともかくとして、ソフト的な各種アップデートがパソコンのようにデータ通信で行われる。
その機能を生かして2018年のテスラからのクリスマスプレゼントとしてアップデートのように加わったのがおならモードだ。
具体的にはシートを選んでブーブークッションになる、ウインカーを使った際に車内に聞こえる音がおならの音になるというもので、おならの音のバリエーションも豊富だ。
少数ながらこの機能を使うと大爆笑が止まらない人もいるようなので、YouTubeで「テスラ おなら」と検索して一度確認してみてほしい。
遊び心満点のテスラは、前代未聞のおならモードなるものが存在する。シートに座ってブー、ウィンカーを出してブブブ、歴史の残る珍装備だ
フィアット500Lのエスプレッソマシン
日本で販売されていないフィアット500Lは「デカチンク」などと呼ばれる、フィアット500をそのまま大きくしたようなデザインを持つハイトワゴンである。
500Lにはイタリアらしくというか、カップホルダーにイタリアの有名コーヒーブランドであるラバッツァと共同開発したエスプレッソマシンがオプション設定されていた。
電源はカップホルダーにあり、水とエスプレッソの素を用意すれば車内でできたてのエスプレッソを楽しめるという。
特にコンビニのコーヒーも安くておいしい日本では、「そこまでして車内でできたてのエスプレッソが飲みたいか?」と感じるのも事実。
ただイタリア人にとっては、どんな時もエスプレッソは欠かせないというのをアピールするパンチの効いた装備ではある。
日本では販売されていないフィアット500L。写真ではスケール感がつかめないだろうが、フィアット500よりも大柄となっている
エスプレッソ大好きのイタリア人が考えた珍装備のエスプレッソマシン。日本人には理解できなくても、イタリア人には歓迎されている!?
サーブ
スウェーデンではボルボと双璧をなす自動車メーカーだったサーブは1990年代以降GM傘下となった後、2009年のGMの経営破綻もあり、現在残念ながらブランドは消滅している。
GM傘下となった後のサーブにおいてラージクラスに属していた9-5にはセダンとステーションワゴンがあり、ステーションワゴンはスライディングフロアと呼ばれるその名のとおりフロアに置く前後に可動する板を設定していた。
マニアックなクルマメーカーのひとつであったサーブは現在ブランド自体が消滅。9-5エステートは日本ではヤナセが扱っていた
具体的には荷物を一度手前に引いたスライディングフロアに載せ、スライディングフロアごと奥に押して荷物をラゲッジスペースに収め、荷物を出す際にはその逆に使うというものだ。
スライディングフロアは9-5のように奥行きのあるラゲッジスペースを持つクルマで荷物を入れる際には確かに便利な装備ではある。
しかしスライディングフロアの価格はディーラーオプションで9万円程度と安くはない(特別高くもないが)。
使い勝手の向上は日本だけでなく全世界共通のテーマだが、そこまで必要? というものもあり、スライディングフロアはそのひとつともいえるだろう。
9-5エステートにオプション設定されていたラゲッジのスライディングフロア。スライド量は50センチ程度で、途中から姿を消した
ロールスロイスの開閉するフードマスコット
ロールスロイスのボンネット先端に付く「スピリット・オブ・エクスタシー」と呼ばれるフードマスコットは非常に立派なもので、ロールスロイスらしい格調を高めるのにもひと役買っている。
現代のロールスロイスのフードマスコットは人が接触した際などには人を負傷させないよう一瞬で格納されるのに加え、車内からも開閉可能だ。
超高級車の象徴であるフードマスコットを盗もうという不届きな輩もいるようで、格納することで盗難防止にもなる。
車内からフードマスコットを開閉する光景を見たことがあるが、あの格調高いロールスロイスとしては微笑ましく、僅かながらロールスロイスに親近感が沸いた。
パルテノン神殿を彷彿とさせる壮大なグリルの上、ボンネットの先端に装着されているのが、伝統のスピリット・オブ・エクスタシー
マスコットに手を触れると、四角い部分からあたかも落とし穴に落ちるかの如く落下し、すかさずフタが出現。時間にして1秒ほどの素早さ
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