41年ぶりのラスベガスGPは、コース上のマンホールのフタが外れるというアクシデント以外にも、さまざまな問題が発生した。
まず、17日の午前0時に開始される予定だったフリー走行2回目が午前2時に延期されることになった。これはマンホールのフタの修復作業が予想よりも大幅に時間を要したからだった。国際自動車連盟(FIA)とサーキット側は問題のあるマンホールを探し出して修復するのではなく、問題が有る無しにかかわらず、コース上に存在するマンホールの穴を特殊な路面材で埋める作業に切り替えた。ある一定の時間を要することとなるが、週末に問題を再発生させないためだった。
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しかしこの作業が思いの外、時間を要し、フリー走行2回目を最初に遅延した予定の午前2時に開始できない事態となり、新たな問題へと発展することとなる。
午前2時に開始するフリー走行2回目を楽しみに待っていた観客たちが、サーキットから退去を強制させられたのである。これはサーキットで仕事をしている警備員たちが所属する労働組合の規則に則った決定だった。さらにサーキットで仕事をする多くのスタッフたちを移動させるためのバスの運転手、パドッククラブで仕事をする従業員たちも最終シフトが終了していた。
3つ目の問題は、フリー走行1回目の後に行われたFIA記者会見で、メルセデスのトト・ウォルフ代表が記者からのマンホールのフタに関するトラブルに対する質問を受けたときの対応だった。
今回のトラブルは「面汚し」ではないかと問われたウォルフは「そうとは思わない。明日の朝にはもう誰もこの件ついて話したりしていないはずだ」と答えた。すると、別の記者が「どうして何でもないと言い切れるのか」と再びウォルフに質問。すると、その記者の質問が終わらないうちに、ウォルフは語気を強めてこう言い出した。
「まったくもってばかばかしい。話にならない! あらゆる面で新たな基準を、新しいスタンダードを打ち立てたイベントに対して、どうして悪口が言えるんだ。マンホールのカバーの問題は以前にも起きたことがある。リバティは素晴らしい仕事をしてくれた。最初のセッションでマンホールのカバーが外れたというだけ不平を言うべきではない。もちろん、クルマが壊れてしまったのは本当に残念だ。このようなことが二度と起こらぬよう、FIAとサーキット、そして我々が全員が、どうすべきなのかを分析しなければならない。でも、木曜の夜にここで起きたことは、どうせヨーロッパ時間の人々は誰も見たりしていないんだ。そんなに騒ぎ立てないでくれ!」
これには、メディアセンターにいた多くのジャーナリストだけでなく、カメラマンからもブーイングが起きた。なぜなら、このラスベガスGPのオーガナイザー(主催者)はF1の株主であるリバティ・メディアだということを知っていたからだった。ファンではなく、リバティしか見ていないかのようなウォルフの発言に、メディアの多くが失望していた。
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