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【上位3台からベストを決定】GRヤリスxアトム4x765 LT 異種格闘技 一番のドライバーズカーを選出 BBDC 2020(6)

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【上位3台からベストを決定】GRヤリスxアトム4x765 LT 異種格闘技 一番のドライバーズカーを選出 BBDC 2020(6)

サーキットと一般道を走って9台を採点

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】異種格闘技的トップ3 765 LTxGRヤリスxアトム4 全117枚

photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)/Max Edleston(マックス・エドレストン)/Olgun Kordal(オルガン・コーダル)

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


経験豊富なアンドリュー・フランケルが、クルマが温まる前のピットレーンを見てつぶやいた。今年ほど多彩な英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)のラインナップは珍しい、と。

9台のうち4台は、最高速度が320km/h超。5台は600ps超。LSDが付かないクルマは1台だけ。残りは何かしらのLSDを装備し、アクティブ・トルクベクタリング機能も備わる。寒い雨は、豪華なラインナップの見返りだったのかもしれない。

中でもマクラーレン765 LTは、765psもある。そんな馬力溢れるクルマたちを水浸しのサーキットで試し、一番を決める。想定外も少なくなかったが、偽りはない。

試乗を終えると、審査員たちが意見を交わす。相手の意見に賛同するときもあれば、食い違う時もある。路面状態が安定していれば印象も安定し、コンセンサスは意外と早く得られる。でも今回は違った。運転の時間は限られている。

BBDCの審査方法は例年通り。サーキットと一般道で25点づつ、最大50点で採点する。リチャード・レーンが体調不良で抜けたから、最終審査を行ったのは5名。250点満点になる計算だ。聞こえは簡単だが、これが難しい。

残念ながら、フェラーリF8トリブートはV8エンジンが不調で脱落となった。最近のBBDCでは、機械的な故障は久しく起きていなかったのだが。後に、スパークプラグのヒビで点火不良状態だったと判明。残念だ。

上位を狙えた1台が脱落したことで、残りのいずれかがトップ3に食い込めることとなった。結果、勝ち残った3台は非常に個性豊かな、多様性を感じさせるトリオになった。

この金額では最も動的能力に優れている

採点を受けた8台で200点を超えたクルマも、上位の3台のみ。得点差が5点しかないことも興味深い。

2台が同点で最高得点を獲得したのも、今年が初めて。改めて審査員の採点を確認し、より高い評価を集めている1台を確認する必要があった。今回ほど僅差でトップが決まることも珍しい。

前置きが長くなった。今年のトップ3をご紹介しよう。溢れんばかりに活発なトヨタGRヤリスと、ドラマチックなマクラーレン765 LT、そして2019年のBBDCに選ばれたアリエル・アトム4だ。

GRヤリスは、不順な秋のコンディションに順応し、多くの審査員の心を掴んだ。雨を味方につけていた。運転するほど、ドライバーズカーとして深遠な魅力が引き出されていた。こんなホットハッチは、近年ではなかなかお目にかかれない。

一方のアトム4と765 LTは、コンディションを克服する必要があった。それでも、一体感のあるドライビングフィールや卓越した操縦性は、安心感すら与えてくれるほど。ブランドのイメージを確実なものにする、動的性能の魅力があった。

勝ち残った3台で、GRヤリスは一番安い。アンドリュー・フランケルが関心するように話す。「この金額のクルマとして、最も動的能力に優れています。トヨタは、既存モデルからホットロッド的なクルマを作ることもできたはず。でもその手段は選びませんでした」

「見事な設計で、例えば代を重ねたランサー・エボリューションより成熟度は高い。一般道で乗り心地が良いことも好ましい。パワー任せのクルマとは違います。目的地までの移動速度も速い。ドライバーの期待にちゃんと応えてくれます」

過去にないほど積極的なコーナリング

サーキットでのアクセル操作に対する安定性には、もう少しの向上も求めてしまう。サイモン・デイビスが付け加える。

「ハンドリングでは、ドライバーの調整しろが欠けている印象です。しかし、ひどく濡れた路面でもドライのように激しく運転できる。とても好きになりました」

「フィーリングや充足感の濃さでは、ホットハッチのベストとまではいえないでしょう。でも、運転すれば笑顔にならずにはいられません」。と頬を緩めるのは、ジェームス・ディスデイル。

筆者はアクセルオン時の安定性と、アクセルオフ時の操縦性との、自由度のミックス具合が気に入った。コーナーへ侵入し、ノーズをタイトに内側に巻き込んで、アクセル操作でコーナリング姿勢を作っていける。

バランスは秀逸で、コーナー出口でアクセルを踏み込めば、再び加速する準備は整う感じなほど。でも、残りの2台と5点のビハインドが付くだけの差は、間違いなくあった。トヨタGRヤリスは214点で、3位となった。

マクラーレン765 LTには、圧倒的なドラマとスピードが存在していた。「ロケットの先端に乗っている感覚。こんなことは、マクラーレンでは初めてです。ターンインは過去にないほど積極的で、グリップも目覚ましい」。と表現するマット・プライヤー。

サイモン・デイビスは、「一体感に長けていて、一般道ペースでも極上のドライビングが楽しめます。ステアリングホイールと対話するように、50km/hでも200km/hでも姿勢を操れますね」。とハンドリングの魅力に言及する。

不気味なほどしなやかな姿勢制御

765 LTのオイルのように粘るステアリングの操舵感は、タイトコーナーで巨大な自信をドライバーに与えてくれる。ブレーキング時のグリップレベルの変化も、手にとるように伝わってくる。

フェラーリのような、わかりやすい楽しさは薄いかもしれない。でもF8トリブートは、水浸しの路面でマクラーレンと同等の安定した走りはできなかっただろう。事実、今回はフェラーリの途中退場に納得しない審査員はいなかった。

そしてアリエル・アトム4。晴天時のドライブしか想定していないように、雨風をしのげるボディはない。765psのスーパーカーと同点でBBDCのトップを再び掴むとは、誰が予想しただろうか。

「コンディションを打ち負かせるだけの感触やトラクション、旋回性能を備えていました。しかも、いつもの感覚に近い安心感すら伴っています。素晴らしいクルマです」。と称えるアンドリュー・フランケル。

ジェームス・ディスデイルも、昨年のBBDC2019での体験と重なる走りに興奮を隠せない。「素晴らしい懐の深さです。完璧なアナログ体験といえますね」。一般道では、あまりにしなやかな姿勢制御に不気味さすら感じたという。筆者も理解できる。

見事、マクラーレン765 LTとアリエル・アトム4は、219点の同点でトップに並んだ。徹底的に走り込み、コーナーを攻め、ストレートを飛ばした。アトム4が2度目の勝利をもぎ取るのか、765 LTが2020年のチャンピオンに躍り出るのか。

ベストに選ばれるのは1台のみ。もし審査員の1人が、違う1点をつけていれば、結果は違っていた。果たして、2020年の勝者はどちらになるのか・・。

2020年の英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)の決定は(7)にて。

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