6月6日、F1カナダGPに先駆けて2026年から導入されるF1の次世代テクニカルレギュレーションが発表された。
FIAのF1テクニカル・ワーキング・グループとの協議のもと、F1、10チーム、OEM、パワーユニット・メーカーが協力して策定された新レギュレーションは、今後6月28日に開催される世界モータースポーツ評議会で批准されることになっている。
■次世代“小型軽量”F1マシン登場の2026年シーズン、最低重量をクリアするチームはゼロ? ウイリアムズ代表が予想
新しいレギュレーションは、パワーユニット(PU)やシャシーだけでなく、空力や安全性、持続可能性などの点でF1を未来へ導く革新的なものとなっている。
F1のステファノ・ドメニカリCEOは、新レギュレーション発表にあたり、次のように語った。
「このレギュレーションは、このスポーツの将来にとって重要な意味を持つものであり、より身近でエキサイティングなレースをファンに提供することを目的とした新世代のマシンとPUに期待するものだ」
「持続可能な燃料を使用する新しいハイブリッドPUは、世界の自動車産業にとって大きなチャンスとなる。そのポテンシャルは、2026年のF1に過去最多のエンジン・サプライヤーが参加する重要な理由のひとつだ」
「FIAがこのレギュレーションを策定するために行なった作業は、このスポーツの世界における地位をさらに強化するものと確信している」
2026年レギュレーションに盛り込まれた進歩について、FIAシングルシーター・テクニカルディレクターのニコラス・トンバジスは次のように付け加えた。
「FIAはこのレギュレーションで、F1のDNAを完全に受け継いだ新世代のマシンを開発しようとした。そのビジョンの中心にあるのは、再設計されたPUであり、内燃機関から得られるパワーと電気的パワーをより均等に配分している。シャシー面では、サイズと重量を30kg減らすことに成功し、よりダイナミックなクルマとなった」
「さらに、レースをよりエキサイティングにするための2つの新機能を導入している。ストレートで非常に低い空気抵抗を実現するアクティブ・エアロダイナミクスと、先行車との距離が近づいたときにドライバーの要求に応じてバッテリー・パワーを供給するマニュアル・オーバーライド・システムだ。より軽く、よりパワフルに、よりドライバーの技量を重視した2026年のF1技術規則は、ドライバー間の緊密なレースを実現し、チーム間の競争を激化させ、見ごたえを向上させるように設計されている」
■パワーユニット:モーターが強化、ドライバーがブースト可能に
2022年8月に初めて発表された次世代PUレギュレーションは、現行PUを基礎にさらに大きなパワーを発揮する。複雑なMGU-Hは廃止され、ICE(内燃エンジン)から得られるパワーを550~560kwから400kwに引き下げる一方で、モーター出力は120kwから350kwへと大幅に増加する。ブレーキング時に回生できるエネルギー量も倍増し、1周あたり8.5MJのエネルギーが回生可能となった。
100%持続可能な燃料と組み合わせることで、将来的な技術革新のための先進的なプラットフォームを提供する。
マニュアル・オーバーライド・モードが搭載されており、ドライバーは自らの操作でMGU-Kのパワーを一時的にブーストすることができる。各車のディプロイメント(モーター出力)は時速290kmを超えると徐々に減少し時速355kmでゼロになるが、オーバーライドモードを使うと時速337kmまで350kWのモーター出力を維持し、0.5MJの追加エネルギーを得ることができる。
■シャシー:より小型&軽量で軽快なマシンに
現行世代マシンより小型・軽量に設計されており、新しいルールの中核をなす”軽快なマシン”というコンセプトに準拠している。
ホイールベースは最大3600mmから3400mmに、全幅は2000mmから1900mmに縮小。最大フロア幅は150mm縮小される。
軽量化は重要な目標であり、2026年型車両の最低重量は2022年より30kg軽い768kgとなる。その内訳は、マシン&ドライバー722kg+推定タイヤ質量46kgだ。
ダウンフォースは30%減少し、空気抵抗は55%減少する。2022年に導入された18インチのホイールは維持されるが、グリップの低下は最小限に抑えられつつも、フロントタイヤの幅は25mm、リヤタイヤの幅は30mm縮小される。
■エアロダイナミクス:アクティブエアロ搭載でモード切り替え
2026年型車両には、まったく新しいアクティブ・エアロダイナミクス・システムが採用される。可動式のフロントウイングとリヤウイングを備えたこのシステムは、ふたつのモードから構成される。
スタンダードなZモードでは、これまでのようにコーナリングスピードを追求したダウンフォース仕様に設定される。直線では、ドライバーは直進スピードを最大化するために設計された低ドラッグ構成のXモードに切り替えることができる。
主にオーバーテイクの促進に使われてきたDRSとは異なり、前を走るマシンとのギャップに関係なく、一定の区間でXモードを使用することができるようだ。
3エレメントのアクティブリヤウイングが採用される一方、ロワビームウイングは廃止され、エンドプレートも簡素化された。
フロントウイングは現在よりも100mm狭くなり、2エレメントのアクティブフラップが採用される。現行車両とは異なり、フロントホイールアーチは撤去される。
サイドポンツーンの前には、インウォッシュホイールウェイクコントロールボードが設置され、ホイールが生む乱気流のコントロールをサポートする。
フラットなフロアとディフューザーの弱体化により、グラウンド・エフェクトを減少させ、現行車両の足回りが固い、低重心なセッティングへの依存度が軽減される。
■安全性能:保護性能の強化でより安全に
2026年F1レギュレーションでも、FIAの厳しい安全性の追求が進められている。
前面からのセカンドインパクトに対する対策強化や、側面からの衝撃に対する保護が2倍以上に。ロールフープの耐荷重が増加するなど安全性が大きく向上している。
リヤウィングエンドプレートライトはホモロゲーション化され、現行よりも大幅に視認性/輝度が向上する。
またGPSアンテナの位置が変更されたことで感度が上昇し、アクティブセーフティの開発という観点でも役立つだろう。
■サステナビリティ:市販車にも使える持続可能燃料を使用
2026年以降、F1のPUは完全に持続可能な燃料で走行することになり、環境に配慮したレースへのコミットメントが強調されるとともに、モータースポーツの新たなスタンダードとなる。
これは”ドロップイン”燃料で、ほとんどすべてのエンジン駆動の車両に使用することができる。F1のために開発された燃料は、産業規模での排出量削減に使用される可能性がある。
2026年のレギュレーションは、2030年までに二酸化炭素排出量のネットゼロ(実質ゼロ)化を達成するというFIAの目標に沿ったものだ。
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