ルイス・ハミルトン(メルセデス)は、F1アメリカGP決勝でスピンアウトし、リタイアに終わった。このスピンは、メルセデスの最新アップグレードが要因になっていた可能性が指摘されているが、ハミルトンは今週末のメキシコシティGPでも引き続きアップグレード版のパッケージを使い、旧仕様に戻すジョージ・ラッセルのマシンと比較テストを行なう。
ハミルトンはアメリカGPの決勝レース序盤にスピンオフしてグラベルに捕まり、レースをリタイアすることになった。ハミルトンはこのスピンについて、アップグレード版のパッケージによって引き起こされた可能性を指摘。チームメイトのラッセルも、予選でまったく同じコーナーでマシンのコントロールを失なうことでクラッシュしており、いずれも同じ挙動が原因となっていたのではないかと疑われている。
■ラッセル、FP2のクラッシュは「何が起こったのか分からない……」2週連続のクラッシュ、原因はどこに?
ラッセルのパッケージは、クラッシュによって損傷したため、イギリスのファクトリーに空輸されて修復中。サンパウロGPには修復が間に合う予定だが、メキシコには届かない。そのためメルセデスは、ふたりのドライバーが使うパッケージをどうするか、選択を迫られた。
その結果チームは、ハミルトンがアップグレード版の最新パッケージを使い続けることに同意したという。一方でラッセルは以前の仕様に戻すことで、新仕様が期待通りに機能しているか、メキシコでその比較テストを行なうという。
データを調べた結果、ハミルトンのオースティンでのトラブルは、アップグレードに欠陥があったというよりも、コースのバンプが原因だった可能性もあるという。
「データを見ると、3輪駆動になっていた。左のホイールが、動き始めていたんだ」
そうハミルトンは語った。
「基本的に、マシンがジャッキアップされるような形になっていた」
「リヤでは、右側の高さが大きく動いていたのがわかる。コーナーに入る時には、12~15mmの差があったんだ。また、40km/hの追い風が吹いていた」
「つまりダウンフォースが完璧なウインドウが、非常に狭いということが想像できる。大きなダウンフォースが出て、そのピークからすぐに落ちてしまう。そういうすべてのことが組み合わさったんだと思う」
「ビデオを見ると、マシンが跳ねて、左のホイールが浮き始め、それから荷重が失われたんだと思う。新しいフロアはおそらく、以前のフロアよりも少し敏感になっているはずだ」
「でも今週末はサーキットのバンプがずっと少ないので、そのまま使うことにした。もっとデータを取る必要があるから、いいことだ」
ラッセルもハミルトンと同じように、比較できることはチームにとって良いことだと語った。ラッセルは、アメリカGPでのトラブルは、新パーツのせいというよりも、セットアップが大胆すぎたことの方が影響していたと語った。
「オースティンからの数日間で、すべてを見直した。マシンのセットアップが、風に近づきすぎていたと言っても過言ではない」
「僕らはとてもアグレッシブに、路面に非常に近いセットアップにしていたんだ。それが僕とルイスの土曜日と日曜日に影響した。しかし周回できた時には、本当に強力なパフォーマンスの兆候を示したんだ」
「今週末のメキシコは、2台のマシンを比較する良い機会になると思う。当然ながら、今週末に使えるアップデート版はひとつだけ。先週それを傷つけてしまったのは僕だから、ルイスが選択権を得ている。だから彼が新しいモノを使うことを選択したんだ」
なおラッセルはF1メキシコシティGPのフリー走行2回目にクラッシュしてしまった。
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