■「Gクラス」にラグジュアリーとストリートを融合させた!
2020年7月にヴァージル・アブローがメルセデス・ベンツとコラボした「Gクラス」を製作すると発表していたが、そのコンセプチュアルなコラボモデルが完成した。
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ヴァージル・アブローは、「オフホワイト」を立ち上げ、現在もチーフ・クリエイティブ・ディレクターでもある。さらにルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクターも務めるコラボレーターとしても有名だ。最近ではナイキと「エア・ジョーダン」をコラボレーションしている。
今回のメルセデス・ベンツとの初コラボレーションである「プロジェクト・ゲレンデヴァーゲン」は、2020年9月8日に開催されたデジタル・ローンチ・イベントを通じて発表された。
メルセデス・ベンツのチーフデザインオフィサーであるゴードン・ワグナーとアブローが主導した「プロジェクト・ゲレンデヴァーゲン」が模索しているのは、未来のラグジュアリーに対する常識を覆す作業そのものであった。そのため仕上がったクルマは、これまでに見たことのないようなGクラスとなった。
また、現在の新型コロナウイルスで危機的な打撃を被ったアート業界を支援しなければならないという思いから、「プロジェクト・ゲレンデヴァーゲン」のレプリカを「サザビーズ コンテンポラリー キュレーション」のオークションに出品し、その収益をすべて国際的な創造的コミュニティを支援する慈善団体に寄付することになっている。先行入札は2020年9月14日から開始予定だ。
ヴァージル・アブローは次のようにコメントしている。
「メルセデス・ベンツとのこのプロジェクトにおける究極の目標は、自分自身のデザイン能力を試すことに加えて、若いアーティスト、エンジニア、デザイナーに現状の疑問を抱いてもらうことでした。
また私にとっては、私の後に続く人たちにチャンスを与え、メルセデス・ベンツと私自身のヴァージル・アブロー『ポストモダン』奨学金基金を通じて、次世代に成功への基盤を残すことがすべてでした」
ゴードン・ワグナーは次のようにコメントした。
「『プロジェクト・ゲレンデヴァーゲン』では、ラグジュアリーに対する未来の解釈、美と非日常への欲望を表現したユニークなアートワークを制作しています。その結果、現実と未来の間にあるものができあがりました。
ヴァージルとのコラボレーションにより、ふたつの異なるデザイン哲学が融合し、唯一無二のGクラスの再創造が実現しました」
それでは、非凡なるGクラスの詳細を見てみよう。
■まるでレーシングカーの「Gクラス」とは?
Gクラスはこれまでにも6輪モデルなど多くのモデルを生み出しているが、レースカーとしては一度も作られたことはない。今回の「プロジェクト・ゲレンデヴァーゲン」で完成したデザインは、Gクラスとしての原点を忘れることなく、レーシングカーの経験も同時に表現されている。
デザインプロセスでは、ワグネルとアブローがGクラスを実際に所有してGクラスを体験し、メルセデスAMGのレーシングスピリッツに触発されることからスタートした。
洗練された完璧な美学から、ラグジュアリーをもっと生々しく、自然で、よりシンプルなものへと追い込みながら、見る人に新鮮な視点でメルセデス・ベンツのデザインを見てもらうにはどうすればよいかを、ワグネルとアブローの2人で考えたという。
エクステリアは、Gクラスの象徴的なシルエットを強調するために、できるだけすっきりとしたデザインとされている。最終的なデザインでは、むしろクルマの基本骨格をむき出しにして見せることで、ハンドクラフトのよさを活かしたユニークなものに仕上がった。
ウインカー、サイドミラー、バンパーバー類はすべて取り外され、ボディをワイド&ローダウンし、よりスポーティな印象となっている。
インテリアは、SUVらしさは一切残っておらず、レースからのインスピレーションでまとめられた。内装はすべて剥ぎ取られ、ロールゲージが組まれている。またダッシュボードも取り外され、クラシックカーを彷彿とさせるアナログ式のスピードメーターと燃料計を採用したすっきりとしたメーターパネルとなった。ステアリングホイールやシートは、よりF1に近い印象だ。
ロールゲージや5点式シートベルトなどの安全装備や重要なレース用のパーツは、ベビーブルーと鮮やかな赤を基調とした色調で強調された。これらの強いアクセントカラーは、ホワイトでむき出しのインテリアとのコントラストを生み出すことに成功している。
プロジェクト・ゲレンデヴァーゲンは、ファッション、アート、自動車の世界がひとつの共通のパッションで結ばれて実現したものだ。表現されているものは、メルセデス・ベンツが本来もっている非凡さへの理解、ラグジュアリーデザインの未来への大胆なビジョン、そして夢を見る力、だ。
このプロジェクトを現実化するために、世界初の自動車メーカーであるメルセデス・ベンツの伝統を受け継いだ独自のクラフトマンシップとノウハウが存分に駆使されていることは、いうまでもないだろう。
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