「もう“イケる”なんて絶対言わない」テスト好調だった山下健太、過去最大級の手応えから裏切られボヤキ止まらず｜スーパーフォーミュラ第4戦予選

　富士スピードウェイで行なわれているスーパーフォーミュラ第4戦。予選後、ドライバーたちにインタビューができる“ミックスゾーン”で取材をしていると、その結果に“ボヤキ”が止まらないといった様子の話し声が耳に入ってきた。声の主は、予選8番手に終わった山下健太（KONDO RACING）だった。

　山下と言えば、先日富士で行なわれた公式テストにおいて好タイムを連発し、これ以上ないレベルの好感触を掴んでいた。普段、慎重なコメントをする山下が「かなり自信になりましたし、無線で『なんか、クルマ良い感じですね』って初めて言いました」と笑顔で話すほどだから、その手応えは相当なものだったのだろう。

　それから2週間。富士戦のレースウィークに臨んだ山下は、フリー走行からフィーリングの悪さを感じたという。予選に向けてアジャストした結果、Q2に駒を進めることはできたものの、ポール争いに加わることはできず、8番手に終わった。

「この前のテストでベース（セットアップ）の部分に取り組んできて、どのコンディションでも走れるなという感覚がありました」

　山下はそう語る。

「この間のテストはコンディションの良し悪しがあった中で常に速さを出していたので、そのセットをベースにすれば、多少コンディションがズレてもまあまあいけるかなと思いましたが、走り始めたら全然ダメで……『出たよ、出ましたよ』という感じで（苦笑）」

「正直ここまで苦戦すると思いませんでした。どのコンディションでも合うと思っていたセットアップを、見直さないといけないと思います」

「今回に関しては、かなり自信がありました。

「散々スーパーフォーミュラに裏切られてきた中で、今回に関してはイケると思っていたのですが、『出たよ……』という感じなので。勝てるとかポール獲れるとか、もう一生言わない！　って思いました（笑）」

　このように、“ヤマケン節”のボヤキ全開といったところの山下。曰く、マシンのフィーリングやタイムがコンディション変化にこれほど左右されてしまうのはスーパーフォーミュラくらいだとして、その繊細さを十二分に理解してもなお、翻弄されてしまうことにゲンナリしているような様子だった。

「テストでやっていた流れが通用しなくなってしまったので、どうしようかなという気持ちです。何年やっても、スーパーフォーミュラは分からないです」と語る山下。参戦ドライバーやチームのレベルが高いが故に、わずかなコンディション変化が大きな差となって表れる、という側面もあるのかもしれない。

　そういったスーパーフォーミュラの難解さに頭を悩ませているのは、山下だけではない。予選9番手に終わった山本尚貴（PONOS NAKAJIMA RACING）も、調子は悪くないという感覚があった中で、予選でタイムが伸びなかった点について次のように述べた。

「朝（フリー走行）の最初のランは大半が新品タイヤを履いた中でトップタイムだったので、あの感じだと調子良いなと思っていました。みんなが（予選にかけてタイムを）上げてきた中で自分が上げきれなかった部分もあるのでしょうけど、クルマやドライバーの調子というよりは、コンディションなのか、履いているタイヤなのか……タイムが出る時となぜか出ない時の波があるのが、難しいなと思います」

「その波から外れないようにするのも運転手の技術なのか、クルマをそういうセンシティブなところに入れないようなものを理解すべきなのか。調子は悪くはないですが、良い時と悪い時の差があることは感じています。ただ、常に速いドライバーがいることを考えると、モノやコンディションのせいにできないですし、そこから外れないようなクルマ、運転の仕方を身に付けないといけないのかなと思います」