■新型「ランクル70」の謎の「黒い穴」
トヨタは2023年11月29日、新型「ランドクルーザー“70”」(以下ランクル70)を発売しました。
内外装やパワートレインが刷新されましたが、フロント左フェンダーに「謎のフタ」が設けられています。一体何なのでしょうか。
【画像】「えっ…!」 これがランクル70の「謎の黒いフタ」です(49枚)
四輪駆動車「ランドクルーザー」(以下ランクル)シリーズは1951年に源流となった「トヨタ BJ型」以来、70年にわたり四輪駆動車を代表するモデルとして知られています。
そのなかでも、6世代目となるランクル70は1984年に登場しました。
ランクル70は、のちにシリーズのなかでも機能性や堅牢性を重視した「ヘビーデューティー」モデルとして展開されます。
日本では2004年に販売終了したものの、国外では実用性が重視されることから継続してラインナップされており、2014年にはランクル70のデビュー30周年を記念し、1年限りの再販が実現しました。
そして今回、ランクル70がふたたび国内に復活し、通常モデルとして販売されることになりました。
新型ランクル70は2014年再販時とは異なり、4ドアワゴンの乗用車(3ナンバー車)のみの設定です。
堅牢なラダーフレームシャシーやパートタイム4WDなどの基本構造は維持しつつ、パワーユニットは2.8リッターディーゼルターボエンジン+6速ATを採用。
電動デフロックやダウンヒルアシストコントロールなど、オフロード向け電子制御は強化され、正統な進化を遂げました。
また、先進運転支援「トヨタ セーフティ センス」が搭載されるなど、安全性能も強化されています。
デザイン面では、フロントフェイスが大幅に刷新され、テールの一部が変更されましたが、ボディ自体はこれまでのランクル70の姿が踏襲されています。
一方で、右フロントフェンダーには、2014年の再販時には装備されていなかった黒色の四角いリッドが新たに設けられています。
この正体は「AdBlue(アドブルー)」の補給扉で、新型ではディーゼルエンジンが搭載されたことに伴い、設けられました。
AdBlue(アドブルー)とは、ディーゼルエンジン車の排気ガスに含まれる窒素酸化物を低減する装置である「尿素SCRシステム」に用いる液体で、窒素酸化物をAdBlueの主成分であるアンモニアと化学反応させ、無害な窒素と水に分解することで、排気ガスを浄化します。
排出ガスに対して常にアドブルーを散布する仕組みであり、通常の走行では約500kmの走行につき1リッターのAdBlueが消費されます。
低気温や高地での走行、アクセルを踏み込むような高負荷走行では、AdBlueの消費量が増加します。
新型ランクル70のAdBlueタンクは20リッターであり、残量がなくなると排気ガスの浄化が不可能になります。その際は、エンジン停止後の再始動ができないため、注意が必要です。
なお、メーター内のインフォメーションディスプレイには、AdBlue残量を表示できるほか、再始動が不可能になるまで2400km/800kmを切ると警告が表示されます。
※ ※ ※
新たにディーゼルエンジンが搭載されたことにより、定期的な給油のようにAdBlueも補充しなければなりません。
再販時はガソリン車でありこうした装置は装備されていなかったため、もし購入を検討している場合は、ディーゼル車の特性について確認してみるとよいでしょう。
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