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コンパクトだけどインパクト大! ボディは小さくても存在感バツグンな車3選

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コンパクトだけどインパクト大! ボディは小さくても存在感バツグンな車3選

■コンパクトサイズながらインパクトがあったクルマを振り返る

 クルマを分類するうえで、重要なのがボディサイズです。ボディの大きさから価格や装備、エンジンの排気量、性能といった「格」づけができ、概ねボディサイズによってクラス分けが可能となります。

MT専用! スズキ新型「ジムニーライト」人気沸騰を受け発売へ

 ボディサイズが大きな乗用車というと高級車をイメージさせ、高額で装備も充実しているケースが一般的で、見るからに存在感があります。

 一方で、軽自動車やコンパクトカーに代表される小さなクルマは、優れた経済性や使い勝手の良さがイメージされますが、そんな小さなクルマでも存在感バツグンなモデルがありました。

 そこで、コンパクトサイズながら大きなクルマに負けない魅力を持っていたクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●スズキ初代「ジムニー」

 スズキは1970年に、軽自動車初の本格的4輪駆動車として初代「ジムニー」を発売しました。

 すでに販売されていた三菱「ジープ」やトヨタ「ランドクルーザー(40系)」、日産「パトロール」など生粋のクロスカントリー4WD車と同じく、ラダー(梯子型)フレームに車体を架装する構造を採用。

 発売当初はオープンボディのみで、サイズは全長2995mm×全幅1295mm×全高1670mm、乗車定員は3名、最大積載量250kg(2名乗車時)の商用車登録でした。

 エンジンは同社の軽トラック「キャリイ」のものをベースにした空冷2サイクル360ccの2気筒で、出力はわずか25馬力でしたが車重600kgと軽量な車体に、2サイクルならではの粘りのあるトルク特性によって、十分な走行性能を発揮しました。

 トランスミッションは4速MTのみでトランスファーを介して後輪もしくは4輪を駆動し、16インチと大径のラグタイヤ(悪路用タイヤ)により高い悪路走破性を実現。

 サスペンションは信頼性と耐久性を重視した前後リーフスプリング(板バネ)を採用。乗り心地よりも信頼性を重視した作りとなっていました。

 また、オプションで外部へエンジンパワーを取り出すことができる「パワーテイクオフ」を設定し、農機具や水ポンプなどの駆動が可能でした。

 初代ジムニーは土木・建設、林業、山間地の商品運搬など、さまざまな状況下で「プロの道具」として高い評価を得るとともに、手軽にアウトドアを楽しめる4輪駆動車として、一般ユーザーにも好評を博しました。

 デビュー後にはバンタイプのボディが追加されエンジンの水冷化を実施。さらに1976年に軽自動車規格が変更され排気量の上限が550ccとなると、初代ジムニーは「ジムニー55」として継続して販売され、1981年まで生産されました。

●ホンダ初代「シティ」

 ホンダは1972年に、次世代型のFF大衆車、初代「シビック」を発売し、国内外で大ヒットを記録しました。

 そして、1979年にはボディを少し大型化してワンランク上のモデルに昇格した2代目シビックが登場したため、1981年に、新たにエントリーカーというポジションを担った初代「シティ」が発売されました。

 初代シティは、全長3380mm×全幅1570mmの小さなボディで、当時のコンパクトカーの常識を覆す全高1470mmというトールボディを採用。

 一般的に全高が高いと空気抵抗の増加や、重心高が上がってコーナリング性能や横風に対する操縦安定性などに悪い影響を及ぼしますが、ホンダはそれらの課題を解決しつつ、ゆとりある室内空間を実現しました。

 さらに、広い室内による積載性の高さをアピールするために、シティのトランクルームに格納可能な原付バイク「モトコンポ」を同時発売するなど、ホンダならではといえる組み合わせでした。

 エンジンは最高出力67馬力(「R」グレード、MT車)を発揮する、新開発の1.2リッター直列4気筒CVCCを搭載。66mmのシリンダーボアに対しストロークが90mmと異例のロングストローク設計で、無鉛レギュラーガソリンながら圧縮比10を実現し、低燃費化と高出力を両立していました。

 斬新なコンセプトによって開発された初代シティはユーザーから絶大な支持を受け、大ヒットを記録。

 その後も高性能なターボエンジンを搭載した「シティターボ」「シティターボII」、オープンカーの「シティ カブリオレ」、一段とルーフを高くした「シティ ハイルーフ」など豊富なバリエーションを展開して、常にトピックスにあふれたモデルでした。

 ちなみに、初代シティには商用車の「シティ PRO」がラインナップされていましたが、商用バンとオープンカーを1車種でラインナップした世界的にも稀有なモデルとなっていました。

●トヨタ「iQ」

 ダイムラーとスイスの時計メーカーであるスウォッチが1994年協業し、新たな自動車メーカーとして「MCC(マイクロカーコーポレーション)」を設立。そしてMCCは1998年に、2人乗りのマイクロカーであるスマート「シティークーペ」(後にスマート「フォーツー」に改名)を発売しました。

 優れた経済性と安全性、スペース効率を追求したシティークーペは欧州で大ヒットを記録し、日本でも人気を集めました。

 そしてトヨタもスマート フォーツーに対抗するモデルの開発に着手し、2008年に「iQ」を発売しました。

 iQは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmと、全長は軽自動車よりも400mm以上も短くしながら3+1の4名乗車を可能にするために、さまざまな斬新なアイデアと優れた技術が投入されました。

 エンジンは既存の1リッターと1.3リッターの直列4気筒を設定。トランスミッションはiQ専用に設計され、フロントタイヤをエンジンよりも前方に配置するレイアウトを採用。さらに同じく専用設計のエアコンユニットと合わせて、助手席足元の空間拡大が可能となりました。

 また、燃料タンクはフラット化して床下に格納し、リアのオーバーハングを短縮。運転席と助手席のシートバックを薄型化することで、リアシート足元のスペースを確保していました。

 安全性については、後席乗員の保護を目的とした世界初の「リヤウインドウカーテンシールドエアバッグ」を含む9エアバッグや、ステアリング協調型の車両安定制御システム「S-VSC」を標準装備して対応。

 iQの優れたコンセプトとパッケージングは国内外で高く評価されましたが、140万円から(消費税5%込)という価格帯や使い勝手という点で軽自動車を上回るアドバンテージを築けず、2016年に一代限りで生産を終了しました。

※ ※ ※

 今回紹介した3台は、どれも明確なコンセプトのもと開発されたモデルばかりです。

 なかでも最初に紹介したジムニーは、2018年に発売された現行モデルの4代目でも、初代で確立されたコンセプトを継承しています。

 初代と現行モデルには50年以上もの隔たりがありますが、このブレないコンセプトこそ名車の証ではないでしょうか。

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