メルセデスAMGが手掛けた「S 63 E パフォーマンス」に小川フミオが早速、東京都内で乗った!
かつてのモデルの再解釈か
“超セダン”ともいうべき、ものすごい1台がメルセデスAMGのS63 Eパフォーマンスだ。2023年11月15日に日本発売が開始された。
全長5336mmというラージサイズの車体に、590kW(802ps)の大パワーをもつ独自のプラグイン・ハイブリッドシステム「Eパフォーマンス」を搭載するのが特徴だ。
しかも内装がコッテコテ。アールデコ的というべきか、磨かれたエボニー材とアルミニウムと、むせかえるようなオックスブラッド色の分厚いシートに、とどめは各所で輝くLED。Sクラスは、いまさら書くまでもないけれど、徹底的に機能面で世界最高のセダンであろうとしてきたヒストリーを持つ。それが2020年の現行7代目から、強くエモーショナルなデザインを打ち出してきた。
Sクラスの歴史を振り返ると、W111(1959~1971年)などは、北米市場を強く意識したこともあり、内外装の加飾が多かった。私は勝手に、いまのW223型は、デザイン的には当時のモデルの再解釈ではないか? と、思っている。
もちろん、デジタライゼーションとコネクティビティ、ふたつの技術を、どこかレトロスペクティブな印象のスタイルと合わせている。そこがS63 Eパフォーマンスの特徴だ。
そういえば、車名にある“E”だって、かつては燃料噴射を意味していた。昔のモデルでいうと、190はキャブレター仕様で190Dはディーゼルエンジン、190Eはガソリンの燃料噴射というぐあい。
1993年にメルセデス・ベンツはラインナップ構成を見直し、このとき“E”が別の意味になった。Eクラスの誕生だ。たとえば、いまも日本で人気の高い「500E」が一夜にして「E500」になったのだ(マイナーチェンジもあったけれど)。
いまのEパフォーマンスは、ハイパワーのハイブリッドシステムを意味する。従来のプラグイン・ハイブリッドは、モーターをエンジンと変速機のあいだに入れていたけれど、Eパフォーマンスでは、後車軸に移している。
モーターを後輪の駆動用に積極的に使うのがEパフォーマンス。「エレクトリック」モードでは、モーターのみの後輪駆動だけれど、基本はV8エンジンがまわり、モーターはトルクを上乗せする。しかも後輪に大トルクを上乗せする“走り追求型”である。
昔の話ばかりしてもしようがないのはわかっているつもりだけれど、この怒濤のパワーへの執着ぶりは、かつてのスーパーリムジン「600」(1963~1981年)を彷彿とさせる。
クルマが大好きだった、ザ・ビートルズのジョージ・ハリスンは、600のショートホイールベース版を好んでいたようで、ジョン・レノンやポール・マカートニーも影響されて購入したと、当時、彼らの下で働いていたアリステア・テイラーの回顧録(With The Beatles)に書かれている。
やはりフェラーリとかアストンマーティンとか大好きなエリック・クラプトンも、ジョージの影響で600を購入して、自分で運転していた姿は、たいへんおもしろいドキュメンタリー(Life In 12 Bars)でも観ることができる。
“Sクラス神話”の現代版セダンだけれど、過剰なパワーを秘めている。かつハンドリングは大パワーに対応するだけの性能をもつ、という点が、高性能メルセデス・セダンの魅力であり続けているんだろう。
実際、S63 Eパフォーマンスはトルクのかたまりと表現したくなる。3982ccのエンジンで900Nmもの大トルクを出すうえに、さらにモーターが320Nm。2690kgの車重なんて問題ない。乗り心地のよさに貢献してくれるメリットだけ。
とくにアクセルペダルを強く踏み込んだときの加速感は、とてつもない。V8エンジンは意外なほどの快音を聞かせ、9段変速機を介して前後輪へパワーを伝え、そこにモーターがどんっとトルクを上乗せするのである。メルセデス、枯れてない。
ハンドリングは、どんなときでも安定している印象だ(といっても超高速の体験はないけれど)。安定しつつ、気持ちがいい。クイックすぎず、しかし鈍なところはなく、運転している自分とクルマとの一体感がしっかりある。
乗り心地もよくて、乗員は終始フラットな姿勢を保つことが出来る。足まわりは路面のショックをなかなかうまく吸収してくれている。なにしろ、後席にはリクライニング機構(オットマンつき)まであるのだ。高速道路で道路の継ぎ目を超えるときは、太いタイヤサイズの影響で、ビシッと大きめな音が響くが、操縦性とか乗り心地に影響はまったくない。
いっぽう、バッテリーサイズが従来と比べ容量が増えた(13.1kWh)ため、一充電走行距離が30kmを超えたようで、市街地ではEV走行が可能だ。通勤だってEVモードで出来るんじゃないだろうか。
いざというとき(バッテリー残量が減ったとき)はチャージモードを選択すれば、そのときはエンジンがまわり、粛々と充電してくれる。絶対的な容量は大きくないバッテリーなので、すぐに満充電になる。
まぁ、すごいセダン。価格も3576万円とすごい。このプライスを正当化できるかは、まったく個人的な判断だろう。私がブンデスリーガに属するチームの選手で、いつもアウトバーンを使っていたら、買っちゃうかも。Sクラス神話が、まだ心のどこかに残っているし。それを満足させてくれるクルマである。
文・小川フミオ 写真・田村翔 編集・稲垣邦康(GQ)
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