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チョイ乗りでも感動するほどのスポーツカー、アルピーヌA110はポルシェ718ケイマンの超好敵手

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チョイ乗りでも感動するほどのスポーツカー、アルピーヌA110はポルシェ718ケイマンの超好敵手

新型アルピーヌについに試乗(ちょい乗り)する機会を得た編集者による、カジュアルなレポート。それにしてもこの優しい乗り心地と、気持ちの良いコーナリングはなんだ! 個人的には718ケイマンを買うのであれば、ほぼフル装備で790万円のアルピーヌA110を購入することをお勧めする。新型A110がMRを選択したウンチクとともに、ちょい乗りの印象をお届けしよう。PHOTO◎神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

 ついに日本上陸を果たした新型アルピーヌA110。限定50台のプリミエール・エディションは即完売してしまったが、今年中には通常のラインナップモデルが再度導入されるそうなので、狙っているエンスーの方は心配無用だ。
 
 ところで、新型アルピーヌA110は「なぜ初代のようにRRを採用しなかったのか?」。その疑問は6月25日に掲載したカースタイリング編集部・松永氏のレポートによって解説されているが、今一度おさらいしておこう。なぜならば、MR化は必然であり、新型アルピーヌA110を語る上でのキーワードになるからだ。

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 まず第1の理由。これは「初代A110がもし現代まで生産され続けたらどのようなフォルムになるか?」をテーマに考え抜き、できるだけ再現しようとした新型のデザインにある。デザイナーによると初代A110デザインのハイライトである、リヤガラスからテールエンドに流れる流麗な角度を再現しようとすると、リヤ後部にエンジンを搭載するのは不可能だったという。
 
 また、デザイナーのこだわりとして可変リヤウイングは絶対に採用したくなかった。だが、最高速度250km/hに達するスポーツカーにおいて、強力なダウンフォースは必須。そこで採用されたのがフラットフロアとリヤ下部の巨大ディフューザーだ。フラットフロアでボディ下部の流速を高め、巨大ディフューザーで効率的に空気を抜く。これにより250km/h走行時にはフラットフロアで190kg、リヤディフューザーで85kgのダウンフォースを得ることに成功したのだ。


 そして第2の理由。それは初代A110の敏捷で小気味良いコーナリングを現代のクルマで実現するには、MRが最適なレイアウトとアルピーヌが確信したからに他ならない。走りのためにはMRしか選択肢はなかったという。
 
 つまり“デザイン上の制約”“運動性能の実現”という2つの要素があいまって、必然的にMRレイアウトで新型A110は誕生したのだ。


 そんなウンチクを語ったところで、新型アルピーヌA110の実車にちょこっと試乗する機会があったのでその印象をお届けしよう。
 
 一般道、高速道路と約50kmほどドライブしたが、まず驚くのはその乗り心地である。スポーツカーというと引き締まった硬めの乗り味(特に近年のルノー・スポールはその傾向が強かった)をイメージするが、まるでプレミアムサルーンを運転していると錯覚するほどに、路面の凹凸をいなしてくれる。「そうだよな、これが旧来のフランス車だったよな」ついつい、ドライブしながらそんなことを口ずさんでいた。かつてのフランス車の美点が甦った感じだ。
 
 すこし、アクセルを踏んでみる。わずか2000rpmから320Nmを発生する1.8L直列4気筒ターボが背後から気持ちの良い咆哮を発した。周囲の流れに合わせて首都高速のコーナーを曲がってみる。ステアリングを切った分だけ忠実にノーズがスイスイと向きを変える。わずか1110kgという車両重量が効いているのだろう。路面からの芳醇なインフェメーションを伝えてくるステアリングに感動しながら、コーナーの曲率に沿って一定舵で走っているだけでも脳内アドレナリンが吹き出してきた。首都高速の凹凸路面を踏んでも相変わらずドライバーは不快な振動すら感じることがない。ブレーキの効きも極めて自然。カックンもなければ、初期制動が強いこともない。
 
 やや気になったのは軽量なサベルト製スポーツシートの着座位置だ。3段階の高さ調整がボルトによって可能となっているが、借り出したクルマは中間の位置に設定されていた。この位置だとややアップライトな姿勢で、筆者はステアリングと足がやや接触してしまうことがあった。体型にもよるが、オーナーとなったら最も低い位置に設定したほうがより気持ち良い走りを享受できるはずだ。

 アルピーヌA110はルノーが持っている技術力を結集させたすごいスポーツカーだ。はっきり言って、プリミエール・エディションの790万円は、バーゲンプライスじゃないか、快適装備も標準で備わっているし! ちょい乗りだけでもこれほど感動するのに、ワインディングを走ったらどうなるのだろう……。やや興奮しながら、走行を終え、試乗をお願いしているジャーナリストにクルマを託した。クルマを降りる時、インパネ中央の液晶にふと目を奪われた。そこには夜空に映る満点の星空が映し出されていたのだ。どうやらヘッドライトと連動する形で、点灯中は星空が映し出されるらしい。洒落た小憎い演出に、ニヤッとしてしまった。

 さて、編集者によるラフなレポートはここまで。詳細なアルピーヌA110試乗記はGENROQ10月号(8月25日発売)でたっぷりとお届けするので、ぜひご覧ください。


SPECIFICATIONS
アルピーヌA110プルミエール・エディション
■ボディサイズ:全長4205×全幅1800×全高1250mm ホイールベース:2420mm トレッド:F1555 R1550mm ■車両重量:1110kg ■エンジン:直列4気筒DOHCターボ ボア×ストローク:79.7×90.1mm 総排気量:1798cc 最高出力:185kW(252ps)/6000rpm 最大トルク:320Nm(32.6kgm)/2000rpm ■トランスミッション:7速DCT ■駆動方式:RWD ■サスペンション形式:F&Rダブルウイッシュボーン ■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ(リム幅):F205/40R18(7.5J)R235/40R18(8.5J) ■パフォーマンス 最高速度:250km/h(リミッター作動) 0→100km/h加速:4.5秒 ■環境性能(JC08モード) 燃料消費率:14.1km/L ■車両本体価格:790万円 

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