二輪用ヘルメットにエアバッグを内蔵……? 世界初の斬新なアイデアで安全性を高めるヘルメットが欧州のショーで披露された。
さらに日本のSHOEIが、ついにヘッドアップディスプレイを搭載した「OPTICSON」(オプティクソン)を市販化。12月からSHOEIギャラリー各店舗で先行販売を行う。
エアバッグにスカウター! バイク用ヘルメットの新時代が始まったーッ!
近未来的な最先端ヘルメットの詳細を見るべし!
文:沼尾宏明/写真:河野正士(ミラノショー現地写真)
世界初、なんとエアバッグとヘルメットを一体化!
ヘルメットは、転倒時に外側の硬いシェルが衝撃を受け止めて分散し、内部の発泡スチロールなどの緩衝材が衝撃を吸収する仕組み。
これにエアバッグを組み合わせることで、さらなる保護性能を追求したプロトタイプのヘルメットが11月8日~13日、イタリアのミラノショーで発表された。
開発したのは、イタリアのヘルメットメーカー、Airoh(アイロー)と、自動車用安全器具を開発するAutoliv(オートリブ)だ。
アイローはモトGPやスーパーバイク世界選手権の参戦ライダーをはじめ、モトクロス世界選手権MX2の年間王者も着用する有力ブランド。オートリブは、エアバッグなどの安全装置で世界一のシェアを誇る企業で、バイク用の車載および着用可能なエアバッグの開発も進めている。
エアバッグ一体型ヘルメットの開発期間は2年以上。開発の初期段階ではコンピュータ上のCAE仮想テストで実験を重ね、後に物理的な衝撃テストを実施。設計やカバーする範囲、エアバッグの圧力や体積などを最適化した。
ショーに展示されたプロトタイプは一見、普通のヘルメットに見えるが、頭頂部に自動車用エアバッグと同じガス発生器とエアバッグを内蔵。転倒した際にはセンサーとソフトウェアが状況を検出し、頭頂部の周りに小型のベールを展開する。
アイローとオートリブがコラボしたエアバッグ一体型ヘルメット。エアバッグを内蔵しながら、普通のフルフェイスに見える。口元や後頭部にベンチレーションも設置。市販化は未定
転倒を感知すると河童風(?)に小型エアバッグが展開する!
ヘルメットの帽体が開き、額周辺をエアバッグが包んだ姿はまるで河童かシャンプーハットのよう。どこまで効果的なのか正直、疑問もあったが、オートリブによるとエアバッグが直線的な加速エネルギーを大幅に減少させ、通常のヘルメットより頭蓋骨骨折のリスクを約 50%も低減できるという。
展示されたモデルは開発段階のため、詳細は未発表だが、重さや快適さを犠牲にすることはないとのこと。ちなみにエアバッグなしでもヘルメットに求められる安全基準をクリアしている。
今後は市販化に向けて、さらなるテストと改良を重ねていくという。
帽体のハッチが開き、内部のエアバッグが展開する。カバーする範囲は、額から側頭部までで、後頭部には展開されない。前方に投げ出された際に有効だろう
二輪事故で頭部を損傷するケースはやはり多い
同時にオートリブは、二輪事故における損傷部位のデータも発表した。ドイツ、中国、インドで調査したところ、頭部の損傷はドイツで16%に留まり、脚部が31%と最多だった。一方、中国とインドでは頭部の損傷が最も多く、中国31%、インド34%という結果に。
中国とインドでは安全性の低いヘルメットやノーヘルによって頭部を損傷したケースも含まれるだろうが、ドイツのようにヘルメットが普及している日本においても二輪死亡事故の主な損傷部位は頭部が43.8%と最も多い。エアバッグ内蔵ヘルメットで、この数字がより減らせるかもしれない。
エアバッグが搭載されることで重量やバランスが課題になりそうだが、ヘルメットメーカーが参画していることでクリアできることを期待。価格も高価になりそうだが、今後の展開を待ちたい。
2020年、国内の二輪車死亡事故死者数は全526人。最も多かったのが頭部を損傷したライダーで、半数に近い。頭部をより保護できれば死亡事故を減らせる可能性がある ※グラフは警察庁資料を元に筆者作成
戦闘力が視界に浮かぶ? オプティクソンがいよいよ市販開始
SHOEIが発表したヘッドアップディスプレイ(HUD)搭載ヘルメット「OPTICSON」(オプティクソン)」も大きなトピックだ。
ヘルメットをスマホとブルートゥース接続することで、シールド内側に装備される「コンバイナ」と呼ばれるディスプレイに、ナビや時計、電話発着信などの情報を表示。2022年のモーターサイクルショーに展示された試作品を当webでも紹介したが、ほぼそのままの形で登場することになった。
HUDは、まさに某人気漫画の“スカウター”。前方視界に情報が浮かび上がるため、ハンドル手元にスマホをマウントするより視線の移動量が少なく、安全なのが利点だ。
ヘルメット内部にはあらかじめスピーカーとマイクが内蔵され、スマホを通じて音声入力や音楽鑑賞ができる。電話発信&着信、通話も可能で、ナビ情報は音声でもガイドされる。帽体のチンガード左側に組み込まれたスイッチモジュールのボタンで音量調整や電話の操作も簡単だ。
価格はヘルメット本体が13万7500円(専用バッテリーは別売で1万1000円)。ナビを使用するには、SHOEIと共同開発したバイク専用ナビアプリ「ツーリングサポーター」の「プレミアムプラス」コースへの加入が別途必要だ(月額800円または年額8000円)。
2019年、2022年のショーモデルを経て、ついに市販化されるオプティクソン。帽体は新設計で、通信モジュールや操作スイッチ、スピーカーが内臓されている
多彩な情報を表示、安全に配慮した専用バッテリーも用意
映像は、チンガードに設置されたHUDモジュールからディスプレイに照射される。表示項目は、交差点名称や矢印、曲がるまでの距離といったナビ情報のほか、目的地までの到着推定時間、経由地到着時刻、時計、電話発着信など多彩だ。
専用ナビが有料なのは残念だが、ツーリングサポーターのプレミアムプラスは、電波が届かない場合もオフラインでマップとナビに対応。バイクの排気量を考慮し、125cc未満は高速道路への誘導を行わないのも特徴だ。
専用バッテリーは、衝撃を受けた際、一般的なリチウムイオンバッテリーより発火の危険性が低いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使用。バッテリー本体やコネクタに防水加工を施し、バイク用としての安全性を考慮した。
電源は充電式ではなく、別体式バッテリーを接続した状態でジャケットのポケットなどに収める必要がある。使い勝手は充電式に軍配が上がるだろうが、別体バッテリーの方が長時間使用できるだろう。なお、稼動時間は現時点では未発表だ。
フル着脱式内装のサイズ調整やコンバイナの位置調整は、スペシャリストによる内装サービス「SHOEI Personal Fitting System(P.F.S.)」がサポート。HUDの情報が見える位置はピンポイントだが、プロが調整してくれるなら安心だ。
ナビ情報の表示イメージ。次に曲がる方向と距離、時計などが表示され、音声でも案内される。写真は動画のものだが、実際の表示はもっと小さく、運転をジャマしない
先進性だけではなく、ヘルメットに重要な被り心地も万全
オプティクソンのようなHUD付きヘルメットは、過去にベンチャー企業からリリースされた例があるが、20万円以上するのが一般的。しかし、SHOEIはヘルメット本体とバッテリー込みで15万円以下というプライスを実現させた。
また、これまではヘルメットのノウハウがない企業による製品のため、快適性などヘルメットに求められる基本的な性能を満たしていないモデルもあった。その点、オプティクソンは、ヘルメットの老舗にしてトップブランドの一つであるSHOEIが手掛けるだけあって安心だ。
最上級モデルと同様のAIM+構造による帽体の安全性はもちろん、モジュールの組み込みを前提に重量バランスを配慮。高い換気性能や吸水速乾素材のフル着脱式内装も備え、一般的なヘルメットと遜色がない被り心地という。
まずは2022年12月17日からSHOEIギャラリー各店(東京、大阪、横浜 入店は予約制)で先行発売される。個数は未発表ながら限定発売とのことなので、欲しい人は早めに動いた方が吉だ。
オプティクソンの走行イメージ。先行販売の後は販路が増えるはず。テストも予定しているのでお楽しみに
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