2023年、モータースポーツ界にまた新風が吹き荒れる予感だ。コンプレッサーや塗装機器の製造・販売を手がけるアネスト岩田が、『ANEST IWATA Racing with Arnage』としてスーパーGTのGT300クラスに参戦するのだ。
アネスト岩田は昨年、GT300プライベーターのひとつであるArnage Racingのメインスポンサーを務めており、その社名はモータースポーツファンの間で広く知られることとなった。しかし彼らは今季から、メインスポンサーという枠を飛び越え、アルナージュにメンテナンスを委託することで自社チームとしての参戦を実現させたのだ。
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「我々は創業以来、圧縮機とスプレーガンの製造・販売をしてきました。そんな異業種的なメーカーがスーパーGTに参戦するというのは、我々にとっても挑戦ですが、常に挑戦をしないと企業としての成長はないと考えています」
そう語るのは、アネスト岩田の常務執行役員で、チームの総監督を務めることになる武田克己氏。武田総監督は、異業種から挑戦することで様々な人々と“繋がり”を作ることが参戦の目的だと説明した。
確かにスーパーGTのチームを持つ企業というと、カー用品店や自動車ディーラーなど、自動車産業に直接関わりのある企業が多い。もちろん、自動車用のスプレーガンなどを展開しているアネスト岩田も業界と全くの無関係という訳ではないが、武田総監督の言う通り異業種と言って差し支えないだろう。
ではなぜ、アネスト岩田は挑戦の舞台にモータースポーツを選んだのか? 単純にアネスト岩田という企業名を少しでも多く露出させ、企業の価値を高めていくことだけが目的であれば、それは他のスポーツでも実現可能に思える。しかし、そこには野球でもサッカーでもバスケットボールでも実現できない、モータースポーツだからこそ達成できるアネスト岩田のビジョンがあった。
■モータースポーツを通してビジネスと地域交流の活性化を
アネスト岩田は1926年に創業。2026年には100周年を迎える。同社はこの100周年イヤーに向けたプロジェクトをスタートさせた訳だが、これを一過性のものにしたくなかったと語るのが、経営企画部の小針一晃氏だ。
「100周年に向けて、大切な人を入社させたい会社にする。そこから紐付けて考えていけば絶対良い会社になる。そう思っていました」と小針氏は語る。
「自分の子供を企業に入れる上で気になるポイントは大きく3つです。まずはビジネスとして成立していて、潰れないこと。そして自分らしく働き、自己実現ができること。もうひとつは誇りを持てること。周りの方から(自社を)良く思っていただいているということです」
小針氏曰く、モータースポーツに参画することでその3つのポイントの内ふたつを満たすことができるという。まずはビジネスの面。彼らは自分たちを“モノづくり企業”として考えた場合、その頂点にある自動車産業と関われることに大きなメリットを見出している。
「日本の製造業のトップは自動車産業です。しかしそこに正面玄関から行っては、アネスト岩田の規模では絶対に会えないような方が多くいます。ただそんな方々と、パドックやピットにいるだけで同じ机を囲んでビジネスの話ができます」
「製造業をやっている上で、一番大きいパイは抑えるべきだと思っています。例えばトヨタの次期社長であるレクサスの佐藤恒治プレジデントは、通常ではなかなかお会いできない方ですが、我々は既にお会いしてご挨拶できています」
「ものづくりの最先端が自動車産業で、そこにアプローチできるのがモータースポーツな訳です。我々はモノづくりをしているメーカーなので、サッカーでも野球でもバスケでもなく、製造業を通してネットワークを張りたいんです」
そしてもうひとつは「誇りを持てる企業にする」という要素。つまるところ企業の認知度やイメージといったところだろう。そこはモータースポーツというファンの基盤があるスポーツを介することで、様々なアプローチができる。
ただアネスト岩田としても、モータースポーツファンにアプローチすることだけを考えている訳ではない。スーパーGT参戦車両とドライバーのお披露目を行なったイベント『ANEST IWATA BLUE LINK FES 2023』では、アネスト岩田製品を活用した釣堀や射的のブースが用意したり、幼児~小学生向けの遊具を設置したりと、地域住民が家族連れで立ち寄れるような施策をした。
アネスト岩田は2019年にも自社製品を活用した交流イベントを開催したが、その際は参加者の多くが従業員家族であったという。その反省から今回のイベント開催に向けては、モータースポーツ媒体への告知はもちろんのこと、近隣の町内会や小学校にチラシを配り、地域のポータルサイトやLINEオープンチャットなども活用して告知を行なったという。
その結果、今回は車両とドライバーを一目見ようと多くのモータースポーツファンが駆け付けた一方で、地元の家族連れも多く足を運んだ。その裏付けとして、イベント広場入り口に設けられた来場目的を問うアンケートボードには、「レースに興味がある」という項目以外にも「アミューズメントで遊びたい」「子供を遊ばせたい」「近所だからフラッと立ち寄ってみた」という項目にも多くシールが貼られていた。
担当者の話によると、今後もサーキットでのブース設営に加え、バーベキュー設備を解放してのパブリックビューイング開催の構想があるとのこと。異業種からレース業界に加わった新たな企業のクリエイティブな施策は、業界にもフレッシュな風を吹かせるはずだ。
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