現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【手頃なEVを4年後に】フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプトへ試乗 ID.2の前触れ 後編

ここから本文です

【手頃なEVを4年後に】フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプトへ試乗 ID.2の前触れ 後編

掲載 更新 4
【手頃なEVを4年後に】フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプトへ試乗 ID.2の前触れ 後編

エコでミニマリストなインテリア

執筆:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】フォルクスワーゲンID.ライフ 現行のID.3とID.4 ゴルフGTIとも比較 全71枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


コンセプトカーのフォルクスワーゲンID.ライフ。インテリアデザインも、ボディの見た目を反映するようにミニマリスト。小さなモニターによるメーターパネルが、飛行機の操縦桿のようなステアリングホイールに取り付けられている。

木材が用いられたダッシュボードは、Aピラーを囲み天井まで伸びる。上面はリサイクルのポリエステル素材で覆われ、マット仕上げのアルミニウム・トリムがアクセントになっている。

インフォテインメント用のタッチモニターは備わらない。製造コストを抑える理由で、スマートフォンの利用を想定している。ダッシュボード表面に磁石で固定できる構造が考えられており、無線通信でナビやラジオなどの機能をクルマが共有するという。

コンセプトカーらしいのが、ダッシュボード上部に埋め込まれた大きなスクリーン。プロジェクターも内蔵され、休憩中にビデオを大画面で楽しめる。前後ともにシートはベンチタイプで、くつろげるラウンジ感を高めている。

ダッシュボード上のアルミ・トリムには、ゲームオンという記載が施されていた。若いデジタル世代への配慮なのだろうか。

シートの背もたれを倒せば、全長2mのベッドも作れる。比較的コンパクトなボディサイズにも関わらず、車内空間にはゆとりがあり、装備も充実し居心地は良いようだ。

ID.3と共有することで低コスト化

木製のダッシュボードに刻まれたスタートボタンを押し、システムオン。ギアセレクターは、ステアリングホイール中央に内蔵されたタッチモニターに組み込まれている。ウインカーのボタンも内蔵され、ステアリングコラムから伸びるバーはない。

ID.ライフの着座位置は高く、優れた視認性を得ている。だが、ドライビング体験が具体的にどんなものなのか、今の段階でのご報告は難しい。あくまでもワンオフのコンセプトカーだ。

加速力やコーナリングなどの動的性能の検証ではなく、デザインやパッケージングなどが実現可能かを模索する目的で作られている。フォルクスワーゲンのテストコースで、要求の高いセクションを走り抜けるには、技術的な磨き込みが充分ではない。

筆者はこれまで、多くのコンセプトカーを運転させてもらった経験がある。少なくともその多くより、遥かに操縦性に優れると感じたことは間違いない。

シャシー剛性も充分高く、操作系のしっかり感も得ている。初期段階の設計かもしれないが、すでに量産版が採用するプラットフォームをベースにしていることが理由だろう。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがトーションビーム式という組み合わせ。これは、そのままID.2も採用するそうだ。パワーステアリングは電動機械式で、これもID.3と共有だという。

部品をモデル間で共有することは、手頃な価格の純EVを提供するうえで非常に重要。開発コストを削減できるだけでなく、スケールメリットで価格自体も下げられる。

量産版ID.2へは多くの変更や開発も必要

ID.ライフを実際に運転してみても、フォルクスワーゲンが主張する鋭い加速性能や航続距離を確かめることはできなかった。最高速度が28km/hに制限されているためだ。

低い最高速度に達すると、駆動用モーターからは大きな唸り音が響いてくる。フロントガラスの上付近からは共鳴するような風切り音も、ファブリック製のルーフを通じて聞こえてくる。

ステアリングホイールの操舵感は軽く、とてもダイレクト。だが操縦桿風の形状は、狭いところでの切り返しがしにくく、手応えなども充分とはいえない。直進状態では、小さな入力に対して好感触に反応してくれる印象ではあった。

とはいえ、ID.ライフは手作りのコンセプトカー。量産版のID.2が備えるであろう品質とは異なる。

ホイールは見た目重視の20インチ。235/45というサイズのコンチネンタル社製エコタイヤを履いていた。今のところ、ID.ライフのオンライン上での反応はだいぶ良いようだ。

ID.ライフからTクロスの純EV版に相当するID.2を作るに当たり、多くの変更や開発が必要なことは間違いない。だがフォルクスワーゲンが、手頃な価格の電気自動車開発へ取り組んでいることは、今回の試乗で再確認することができた。

コンセプトカーを試乗させてくれたフォルクスワーゲンには感謝したい。ID.3を大幅に下回る価格の付いた、最新のデザインとパッケージングを備えた新モデルの登場を、心待ちにしていよう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
AUTOSPORT web
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
AUTOSPORT web
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
AUTOCAR JAPAN
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
Auto Messe Web
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
motorsport.com 日本版
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
AUTOCAR JAPAN
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
AUTOSPORT web
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
motorsport.com 日本版
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
乗りものニュース
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
くるまのニュース
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
AUTOSPORT web
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
AUTOSPORT web
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
AUTOCAR JAPAN
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
Auto Messe Web
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
motorsport.com 日本版
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
AUTOSPORT web
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
AUTOSPORT web
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
VAGUE

みんなのコメント

4件
  • Honda eとはかぶるが、実力は大違い。これ良いなあ。250万円くらいらしいし。
  • 先日全焼したid3どうなったんだ
    ワーゲンのEV怖くて乗りたくない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村