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生誕40周年を迎えたボルボ初の2ドアクーペ、262Cって?ボルボの歴史探訪

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生誕40周年を迎えたボルボ初の2ドアクーペ、262Cって?ボルボの歴史探訪

ボルボの260シリーズと聞いて、その姿をイメージできたあなたは相当な自動車ファン。古いボルボといえば、240シリーズを思い浮かべる人が多いことだろう。日本でも人気を集め、いまだに根強いファンがいる240シリーズは、こちらでも紹介しているが、ツーリングカー選手権でも大活躍。ボルボの歴史の中でも重要なモデルだ。では、同時期にモデルライフを送った260シリーズは?

■2ドアの260シリーズデビュー
260シリーズのデビューは1974年の秋。最初に4ドアセダンの264が発表され、2年後の1976年にボルボ初の6気筒エステートとなる265がリリースされた。大きな四角いヘッドライトと往年のボルボらしい直線的な箱形スタイルが特徴で、全長は4900mm、ホイールベースは2640mmというディメンションは、240シリーズと同等。ちなみに、この頃のボルボはセダンを「○○4」、ワゴン(エステート)を「○○5」というモデル名で表記をしている。

そして1977年、今回のコラムの主役となるモデルが登場する。それが262C(クーペ)で、ボルボ初の2ドアクーペだ。同年3月のジュネーブショーでワールドプレミアされたこのモデルは、ボルボに対する一般的な認識を覆した。264をベースとしてホイールベースも同一ながら、Aピラーを大きく傾斜させるとともに、ルーフの位置を60mmも低く設定。ボディの流麗さを演出するために、それまで縦置きとしていたラゲッジスペースのスペアホイール収納スペースを変更するほど手が込んだスタイルは、264や265とはまったく異なったエレガントなものだった。

ただし、じつは262Cは260シリーズ初の2ドアモデルではない。1976年から1977年にかけて、北米市場のみを対象とした262GLが3329台生産されている。242のような標準的な2ドアボディではあったものの、V6エンジンを搭載し、260シリーズ由来の個性的なフロントマスクを備えていた。

話はそれたが、262Cが誕生した背景には、1973年にボルボ1800ESが生産を終了したことが関係する。その後を継ぐトップレンジのスポーツモデルが存在しなかったのだ。当時のボルボCEOペール・G・ジレンハマー氏はこれを大きな問題と考えていた。というのも、ボルボにとって最大の輸出市場だったアメリカではこのタイプのモデルが重要で、当時、ラグジュアリークーペは他のスポーツカーよりも重視されていたためだ。前述の262GLが北米市場のみを対象としていたのも、このことが関係する。

■164をベースにデザイン
こうして開発がスタートした262Cは、当時のチーフデザイナー、ヤン・ヴィルスガールド氏がデザインをスケッチするとともにボルボ164をベースにインテリアを試作。このデザイン案はイタリアのデザイナー、セルジオ・コッジョラの会社に持ち込まれ、4ドアのボディをルーフの位置を低くした2ドアボディに変更。さらに、ルーフは樹脂性のカバーで覆われ、ワイドなCピラーにはスウェーデンを象徴する紋章、3つの王冠が取り付けられた。この紋章は量販モデルではサイズが若干大きくなっている。また、プロトタイプが164をベースにしているという明確な相違点を除けば、紋章のサイズが変わったこと以外、量販モデルとプロトタイプの間にほとんど違いはなかったという。

エクステリアではデビュー時はブラックの樹脂性カバーのルーフを備えたシルバーメタリックカラーのみだったが、1979年以降は樹脂性ルーフなしのゴールドメタリックカラーを追加。逆に1980年には樹脂性ルーフを備えるブラックのボディカラーなどがラインアップから外された。ちなみに、1980年以降、アメリカでは「ボルボ・クーペ」という名称で販売されている。

ちなみに、スチール製のルーフを樹脂性カバー(ビニール)で覆う手法をとったモデルは、ボルボの中で262Cが唯一。また、ソフトトップのカブリオレモデルも設定されているが、これは北米のボルボ・カーズに代わり独立企業のソレールが手がけたもので、生産台数はわずか5台だったという。

一方、インテリアは262Cを特徴付ける重要なポイント。レザーとハードウッドが贅沢に使用されていた贅沢な装いで、シートやヘッドレスト、ドアサイド、ステアリングまでもがレザー仕上げとなっていた。ここまで上質に仕立てられたインテリアを持つモデルは、それまでのラインアップにはなかったため、ボルボのイメージを大きく変えた1台と言える。

■イタリア ベルトーネで生産
搭載するエンジンは、最高出力141psの2.7L V6エンジン。B27Eと名付けられたこのエンジンは、アルミニウム製のエンジンブロックとシリンダーヘッドを採用したことにより、重量が150kg以下に抑えられた軽量なものだった。このエンジンは、プジョーやルノーと共同して開発され、260シリーズの全モデルに搭載されており、生産はフランコ-スウェーデンモーターズ社のサポートを得て、フランスのドゥブランで行なわれている。

262Cで最も際立つ存在となったのは、1981年に登場した最終モデル。この年に改良が行なわれ、いちだんとスリムになったバンパーや新しいデザインのヘッドライトなど、外観の大幅なアップデートが行なわれた。また、排気量の増大と14psの出力アップに伴ってエンジンの名称がB27EからB28Eに変更されたほか、ゴールド/ヌガーの新しい2トーンカラーが採用された。

262Cは意欲的なモデルであったが、セダンやワゴンに比べてこうしたスペシャリティカーはニッチな製品。そのため、イェーテボリのボルボの工場ではなく、イタリアのカロッツェリア・ベルトーネで生産された。フロントウインドウの下端にあしらわれた小さなエンブレムが、ベルトーネが組み立てたことを示している。

その反面、262Cの年間目標生産台数は800台と低く設定されたが、年末に生産が始まった1977年モデルと最終モデルを除き、実際の生産台数は予想の2倍を超えるほどの注目を集めた。200シリーズのベーシックモデルに比べて価格が2倍以上だったことを考慮すると、これは異例な大ヒットだ。1981年に最終ロットの販売が終了したときは、すでにコレクションの対象となっていたという。

1977年にデビューした262Cは、1981年に生産を終了。その間の総生産台数は6622台を記録した。が、後継車の誕生は1985年まで待つこととなり、ようやく780が登場。このモデルも設計と生産はベルトーネが手がけたのだ。


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