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『ARTA Garaiya(2003~2005年編)』オートバックスのシンボルがGTへ【忘れがたき銘車たち】

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『ARTA Garaiya(2003~2005年編)』オートバックスのシンボルがGTへ【忘れがたき銘車たち】

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、2003~2004年の全日本GT選手権、2005年のSUPER GTを戦った『ARTA Garaiya』です。

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『ニッサン・シルビア(S12型/JTC編)』初期JTC“不毛の地”を支えた1台【忘れがたき銘車たち】

 2002年にデビューしたまるでプロトタイプカーのようなフォルムのヴィーマック、2003年にGT500のパーツをふんだんに使い生まれた『トヨタ・セリカ』、2004年にデビューから即タイトルを獲得した“ほぼ”GT500の『ホンダNSX』など、2000年代初頭の全日本GT選手権(JGTC)には、車両規則の変更も相まって、多種多様な成り立ちのGT300マシンたちが参戦していた。

 この時代のJGTCは、GT500ととも“改造した市販車”から本格的なレーシングカーへと進化しつつある、過渡期ともいえる時代だったのだ。今回紹介する『ARTA Garaiya(ガライヤ)』とは、そんな時代のJGTCにデビューした1台である。

 『ガライヤ』とは、そもそもオートバックスの子会社であるオートバックス・スポーツカー研究所(ASL)が市販を目指して開発した2シーターのライトウエイトスポーツカーだった。

 この『ガライヤ』、市販車はライトウエイトスポーツと銘打っていたものの、車重が重いなどの問題もあり、当初目指していた軽快な走りをするスポーツカーとはかけ離れてしまっていた。

 そんなとき、オートバックスがコンセプトに近いクルマに仕立て直して欲しいと依頼をしたのが、当時、JGTCのGT300クラスでオートバックスカラーの『トヨタMR-S』を走らせていた、金曽裕人代表率いる「apr」だった。

 そしてaprは『ガライヤ』を設計変更し、リメイクを施した。『ガライヤ』はオートバックスの役員たちが驚くほどの走りのいいスポーツカーへと生まれ変わった。

 結局、この『ガライヤ』が市販されることはなかったものの「ガライヤというオートバックスのシンボルでレースをしたい」というオートバックスの願いを叶えるかたちで、aprはのちにル・マンへと挑むことも見据えて、『ガライヤ』をGT300マシンに仕立て始めた。

 『ガライヤ』をレーシングカーにするうえでまず問題となったのがボディサイズの小ささだった。そこでまずaprは、市販車をベースにホイールベースと前後オーバーハングを延長したエボモデルを1台だけ製作した。GTの車両規定では市販車が存在しないと参戦できなかったため、ホモロゲーション取得用のモデルが必要だったのである。

 このエボモデルは、イギリスへと持ち込んでホモロゲを取る作業が進められ、それと同時に実際にレースへと参戦するレーシングカーの開発も行われていた。これらのノウハウは、同じく市販車はコンパクトなスポーツカーだが、レーシングカーではロングボディのヴィーマックを走らせていたR&D SPORTより伝授されたものだった。

 そしてその後、無事に“ガライヤ・エボ”は公認を取り、2003年のJGTC GT300クラスを戦い始めた。

 『ガライヤ』は初年度に第2戦の富士スピードウェイで3位表彰台、第6戦のツインリンクもてぎ(現・モビリティリゾートもてぎ)ではポールポジションと2位表彰台を獲得して速さを見せていたが、特にネックになっていたのが搭載していたエンジンだった。

 SR20DETという『ニッサン・シルビア』などに積まれていたエンジンを採用していたのだが、熱にあまり強くないアルミブロックのターボエンジンだったことと、そのエンジンをリヤミッドに積んでしまったことなどによって、冷却の面で苦しめられていたほか、非力でトラブルも多発していた。

 そこで2年目となる2004年は、尾川自動車がチューニングした3.5リッターV型6気筒のVQ35DEへとエンジンを変更。同メーカーであればエンジンの換装が可能だったため、同じニッサンのVQ35DEが選ばれたが、ニスモの支援は一切受けていなかった。

 さらに、この2004年にはエンジンだけではなく、フロントカウルデザインのリファインやアーム類、アップライトの見直しなど、エアロや足回りなどにもモディファイを施していた。

 するとこの年は2勝に加えて、3度の2位表彰台登壇と抜群の安定感を見せてタイトル争いにも絡んだが、わずか1点差で同年に登場したM-TECのNSXに王座を奪われてしまった。

 翌2005年はカーボンのサイドパネルを採用するなどして、モノコックを軽量化。さらにポテンシャルを上げ、マレーシアのセパンサーキットが舞台の第3戦では1勝を挙げたが、最終的なランキングは3位に。またもチャンピオンに手が届かなかった。

 そしてこの年を持って、チームの方針もあり、『ガライヤ』は一時参戦を休止してしまう。再び『ガライヤ』がGTの舞台へと戻ってくるのは2007年のことだった。

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