■道路の落ち葉が危険なわけ
秋が深まるシーズンは、山間部だけでなく、都市部でも街路樹などが路上に葉を落とします。
ときには、強風に吹かれて大量の枯葉が散らばることも。
では、そんな落ち葉を誰が処理しているのでしょうか。また、落ち葉の上を走る際の対処法はなんでしょうか。
【画像】なにこれ…! 道路にある「謎の丸いやつ」を見る(14枚)
こうした落ち葉は意外に滑りやすいので、ドライバーにとってはやっかいな存在です。
タイヤと路面の間に落ち葉があると、タイヤのグリップ力がそがれるためスリップしてしまうおそれがあります。
実際に、過去には、熊本県で落ち葉によるスリップ事故が起きました。
このときは、落ち葉で滑ったバイクライダーが路上に投げ出され、走ってきた対向車にはねられています。
また、道路脇にたまる枯葉にも危険が潜んでいます。
枯葉がその下にある側溝を見えなくしていることが多いのですが、知らずに道端を走り、側溝のフタのない部分にタイヤがはまりこんでしまう可能性があります。
さらに、たまった枯葉の下には何があるかわかりません。たとえば、その中に隠れていた枝や石を踏み、タイヤまわりにダメージを受ける危険もあります。
このように、紅葉は美しいものですが、道路に枯れ落ちた葉は障害物となってしまうのです。
とくに雨天時や雨あがりなどにみられる濡れ落ち葉は、より滑りやすく危険です。
その原因は葉に含まれる油分といわれます。
植物の葉は、主にロウとワックスでできたクチクラ層と呼ばれる脂質膜で覆われています。
この膜は雨や乾燥から植物を守るなど、人でいうと皮脂膜のような働きをしています。
しかし、葉が枯れると、雨など水に濡れることでクチクラが分解され、油分が表面に浮き出てきます。
そのため、濡れ落ち葉は水と油分でぬるぬるした状態であり、滑りやすさは凍った路面にも匹敵するといわれています。
また、日陰にたまった落ち葉は乾きづらく、内部の葉が湿っている場合もあるので注意が必要です。
■道路の落ち葉は誰が処理してる?
このように道路の落ち葉は危険ですが、では、いったい誰が処理しているのでしょうか。
道路の清掃は道路管理者が行っています。
ボランティア団体などが歩道の落ち葉を清掃する姿を見かけますが、道路上に積もった落ち葉は道路管理者が対処することになります。
しかし、対処するといっても管理するエリアの気候や地理条件はまちまちなので、その方法はひととおりではないようです。
たとえば、都内の国道を管理する東京国道事務所は、管轄内に大きな街路樹が連なる区間があります。
それぞれにイチョウやサクラ、カエデ、ケヤキといった樹木が茂っていますが、落ち葉の量はその種類によって異なります。
しかも、いつも例年どおりというものでもなく、葉が落ちる量や時期は気象によっても変わります。
そのため、落葉シーズンになると、日々パトロールしながら必要に応じてこまめに清掃しているといいます。
これに対して県道などを管理する都道府県となると、さまざまな状況の道路に対処することになります。
長野県の場合、都市部の道路沿いに生えた街路樹は、あらかじめ剪定することで落ち葉の量を減らしているようです。
また、山道については何度も清掃できないため、葉が落ちきったころを見計らって業者に処理を依頼しているといいます。
いずれにしても毎週パトロールする体制はとっており、湿り気のある葉など、危険な落ち葉はそのときどきに処理しているようです。
なお、紅葉の名所である京都府の道路管理課では、とくに落ち葉を清掃する目安は設けていないようです。
京都府の道路管理課の担当者は清掃について次のように話します。
「具体的な基準(量)・実施する季節などは定めておりません。職員や道路パトロールにおいて『道路の通行に危険が生じる』と判断した場合、清掃を行っております」
土に落ちた枯葉はやがて土に戻りますが、道路の側溝にたまると雨水を詰まらせてしまうことがあります。
ときには、路上が水浸しにもなり、こちらも非常に危険です。
こうしてみると、落ち葉の処理はスリップ事故を防止するだけでなく、道路管理上でも欠かせない作業といえるでしょう。
一方で、落ち葉の上をクルマで走る際に、ドライバーが注意できることはあります。
まずは、スリップしないように速度を落とすことが大切です。とくに、落ち葉のたまったコーナーの場合は、その手前で十分に減速するとよいでしょう。
カーブの部分では、ハンドル操作を最小限に抑えるのがポイント。タイヤのグリップ力をなくさないようにできる限り直線のラインを保ち、最短距離で落ち葉の上を通過するとよいようです。
※ ※ ※
落ち葉の上を走るときの悪影響は、スリップやパンクだけではありません。
ラジエーターを落ち葉が塞ぐことによって、オーバーヒートを起こすことがあります。
また、濡れ落ち葉がクルマの下まわりにへばりつき、気付かぬうちにサビを発生させることもあります。
最も適切な対策方法は、山道などは避け、整備された道路を走ることといえそうです。
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