「ポータブル型ナビ」は、スマホやナビアプリの普及によって近ごろ存在感が薄れているものの、やはり「専用機」ならではの使いやすさがあり、愛用している人は少なくない。
そんなポータブル型ナビ最初のモデルとなるのは、今から26年前の1994年にデビューしたパナソニック(九州松下電器)の「でるナビ」。本体にGPSやディスプレイ、CD-ROMドライブなどを搭載した今までにないワンボディスタイルを実現していた。翌年にはサンヨー(現在はパナソニック)から「ゴリラ」、ソニーから「コロンブス」がリリースされた。
そしてカーナビが注目を集めだしたのは首都圏でのVICSサービスが始まった1996年。3ブランドのポータブル型ナビそれぞれが個性を積極的にアピールしていた。
「でるナビ」はこの当時2世代目へと進化。当時のポータブル型ナビは持ち歩くことを想定した作りが当たり前だったが、でるナビはクルマでの使いやすさを最優先した現在に近いスタイルに路線を変更。操作キーを本体からカード型リモコンに移すとともに画面サイズも拡大した。さらに自車位置の表示精度を大幅に向上させられる自律航法ユニットや、渋滞情報を取得できる車外アンテナ付きのVICSユニットなどのオプションもそろえていた。
一方、「ゴリラ」はコンパクトボディや単三電池でも駆動できるなどクルマの外でも使いやすい汎用性の高さを売りにした。ただし縦長のボディはダッシュボードに取り付けると視界を妨げやすく、画面も4インチで小さく見にくかった。ちなみに「ゴリラ」のネーミングは本体上部のGPSアンテナ部分が大きく出っ張っていてゴリラの頭部に形が似ていたからと言われる。
そして「コロンブス」はソニーらしくオリジナリティたっぷりのモデルだった。車内ではカーステーションキットと呼ばれるクレードルのようなものと組み合わせて使用し、車外では専用キャリングケースに入れて持ち歩ける。オプションも豊富にそろえ、自車位置表示精度を高める自律航法ユニット、「VICS」、「ATIS」の2種類の渋滞情報取得ユニット、さらに声で操作ができる音声認識ユニットまで用意していた。
[写真解説]
■パナソニック でるナビ KX-GA6TV(当時価格=15万8000円)
1枚目:車載での使用を優先させたスタイル。パナソニックのナビは九州松下電器がポータブル型、松下通信工業が据え置き型を独自に開発
2枚目:左は自律航法ユニット、右はVICSユニット(ロッドアンテナを付属)で、いずれも3万9800円の高価なオプションだ
3枚目ナビ研という統一規格に対応したCD-ROMソフトを使用。地図へのVICS情報表示にはユニット接続とソフトの変更が必要だった
■サンヨー ゴリラ NV20V(当時価格=18万5000円)
1枚目:歩いて使えるとはいえバッグなどがなくては持ち運べないサイズと重さ。画面上部のGPSアンテナ内蔵部がゴリラの頭に見える
2枚目:ディスプレイは4インチと小さく、正方形に近いスクエアタイプ。オプションにはVICSユニットも用意した
3枚目:当時のマツダ・デミオに装着した状態。コンパクトカーのダッシュボード上に設置すると視界を妨げてしまう
■ソニー コロンブス GPX-5(当時価格=21万円)
1枚目:本体には5インチディスプレイと操作キーを搭載。別にワイヤレスリモコンも付属している。GPSアンテナは外付けタイプ
2枚目:車内でカーステーションキットにセットするのはシステマチックでソニーらしい。本体の厚さは57mmもある
3枚目:キャリングケースも付属している。当時はタンクバックなどに入れてバイクで使っている人も多かったようだ
〈文=浜先秀彰〉
●カーオーディオやナビゲーションをはじめ、クルマ関連用品に精通。特にカーナビゲーションについては、黎明期よりさまざまなモデルを取材し、豊富な知識を持つ
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みんなのコメント
物自体も大きいけど、価格が尋常じゃないな。
まるで昔のミニコンポを思い返す価格帯だね。