ダートコースでひたすら走る耐久レース
今季もダート4時間耐久シリーズがスタートした。すでに30年近い歴史を持つこのシリーズは、福井県にあるダートトライアル専用コース「オートパーク今庄」を舞台に今季も6戦が予定されている。しかし、3月に予定されていた開幕戦は5月8日(日)に延期され、4月10日(日)に開催された第2戦が実質の開幕戦となった。
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最大24台がエントリーすることができ、毎戦ほぼフルグリッドが埋まるこの一戦。今回はコロナ禍の影響もあってか、若干少ない18台が参戦した。その参戦車両はチームの成績を基に、E(エキスパートクラス)、S(スポーティングクラス)、C(チャレンジクラス)の3つのクラスに分けられており、車両はスズキ・スイフトやトヨタ・ヴィッツなどがメインだ。
もちろん、本格的な装備をするに越したことはないが、スピードレンジが低めのため、レギュレーション上でロールケージの義務もない(4点式以上のシートベルトは必要)。もちろん最新車両やダートトライアル用の車両を持ち込むこともできる。
とは言いつつも、多くのドライバーが参戦するダートコースでの耐久レースなだけに、クルマはボコボコになる可能性も高く、とりあえず動けばいい、というようなチョイスで安い中古車を見つけてきて参戦するチームも多い。先述の車両以外に、今回もトヨタ・カローラやパッソ、マツダ・ベリーサといったちょっと見慣れない車両もパドックに並んでいた。
レース中に行われる散水により路面コンディションが変わり、とくに散水直後には泥のような塊が前車から跳ね飛ばされることも多いため、車両にはボンネット上にガードを装着する車両も多い。さらに、ヘッドライトを取り払うこともあり、なのだ。
使用するタイヤはダートタイヤではなくノーマルタイヤのみというレギュレーション。今庄のコースはフラットダートであるため剛性の高いタイヤ、ハイグリップタイヤのほうが有利と言われているようだが、タイヤカットによるパンクも多いという。そのためリーズナブルなアジアンタイヤを本数多めに持ち込むチームもある。
ドライバーは各チーム4名から多いところで8名という構成となっていたが、なかにはダート走行が初めてというドライバーも散見できた。ドライバーの年齢制限はないため、親の承諾と、親もしくは親代わりとなる人との出走なら、未成年でも参戦が可能(免許の所有は不問)。
レーシングスーツの義務もないので、そういった意味でも気軽に始められるシリーズである。耐久レースでは予選セッションはないものの、代わりにコースを歩いて下見する完熟歩行に完熟走行の時間も用意されるので、そのタイミングで初心者が練習することも可能だ。
この耐久レースのカギとなるのはピット作戦。ピットインの義務回数は排気量によって決められており(~1000ccなら5回、1501cc~1600ccなら8回)、今回の参戦チームは6回/7回のピット義務となる。1回のピット滞在は最低2分。実質ピットでの作業時間は最短で1分半ほどとなる。
ここでドライバー交替と、フロントウインドウの清掃やラジエター前部の泥落としなどの作業が発生する。そのため、可搬式の高圧洗浄機もしくはバケツとブラシでピット作業中に車両を洗う係も必要となる。
天候に恵まれてレースがスタート
そして、2022年のダート4時間耐久シリーズ実質開幕戦となる第2戦は、午前10時過ぎにローリングスタートでスタートした。この日、オートパーク今庄のある南越前町周辺は最高気温26度の快晴の一日。すでにスタート前からじりじりと日が照り付ける暑い一日となった。レース前に散水はされたものの、どんどん路面が乾いていく状況。スタートから30分後には1回目の散水作業も行われ、この4時間の内で4回もの散水が行われたほどだ。
今回は散水作業のための中断も含め赤旗が出された。赤旗が出されると、車両はコースサイドで待機となってしまう。この赤旗が出されたタミングでピットに戻った際はピットのカウントはされず、赤旗直前にピットに戻った場合はカウントされる。赤旗が解除されるまでコースには戻れないが、この赤旗中のピット作業は2分以上の作業が可能となる。
そのため、スポッター(コース状況を逐一報告する担当者)をコースサイドに置くチームもある。大きなクラッシュなどが起き、赤旗が出されそうなタイミングでいち早くピットインを指示するのだ。
ちなみに、ゼッケン0は昨年のエキスパートクラスチャンピオン。ゼッケン1は昨年のスポーティングクラスチャンピオン(チャンピオン獲得チームは翌年ステップアップせねばならず、今季からエキスパートクラスへの参戦となる)。
序盤からエキスパートクラスの車両がレースをリードしていく。もちろん、ドライバー交替によってペースが大きく変わるチームもあって、時間の経過とともに順位はシャッフルされていく。今回は車両が横転するような大きなクラッシュはなかったものの、それでも接触などでの順位の変動も多い。
トップが大きなリードを取ることもないままにレースは終盤となり、最初にチェッカーを受けたのは2号車であった。昨年のチャンピオンチームである「#0 今庄」が同一ラップの2位ということで、厳しい開幕戦を制したこととなる。3位には、スポーティングクラスの「#66 チームワンダーランド」が入った(クラス優勝)。
このダート耐久シリーズではすでに次戦以降のエントリーも受付中。また、ダート耐久への参戦車両のレンタカーを用意し、車両はないけどやってみたいというダート初心者の取り込みにも準備を進めている。さらにコースオフィシャルでこの耐久シリーズを手伝う方々も同時に募集しているという。興味があれば問い合わせをしてみてはいかがだろう?
魅力にハマった参戦チームを紹介!
#19 K’s河合塾同好改
FR車のロードスターで参戦しているのが河合塾同好改。ラリー参戦を楽しんでいる面々が練習も兼ねてということで3年ほど参戦しているという。ダートで不利なFRは、FF車に対してレギュレーション的に優遇されており、これで総合優勝を狙うものの、万年2位? のポジションが確定している間もあり。今回はピットタイミングミスもあって、4位だった。
#68 浦島太郎おっぱっぴ~
軽量で戦闘力のある初代スイフトだが、さすがにタマ数は少なくなってきている。探してたタマが見つかったということで、新たに今シーズンこの車両を投入した。今回は8人のドライバーをラインアップ。なかには中部地区のダートラでの優勝経験のある選手なども起用しており、勝つ気満々での参戦だったが、足まわりを傷めてしまいポジションダウン。次戦までに足を直して再度挑戦する!
#51 エイドリアン1号車#52 エイドリアン2号車
若者をこのダートの世界に引き込もうという試みで、多くの若者に門戸を広げているチーム。今回は2台をエントリーさせたものの、ともに左フロントの足まわりを壊してしまって万事休す。ただ、ダートラなんてこんなものということで、次戦の復活参戦を目指している。
#2 TABクルーザーズ・1号車#12 TABクルーザーズ・2号車
ダカールラリーに市販車ランクルで長年参戦を続けているトヨタ車体からも、全員が社員という社内チームが参戦している。この4時間耐久レースにはシリーズ開始直後から参戦しており、これまでタイトルも獲得している有力チーム。今回は開幕から優勝と好スタートを決めているが、もう一台は残念ながらリタイアという結果となった。今回は2台2クラスでの参戦だったが、目指すは3クラス同時優勝、だという。
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