約20年ぶりのBTCCフル参戦に臨む元世界王者ロブ・ハフ「カローラはかなり快適だ。でも忙しいね！」

　新たにTOYOTA GAZOO Racing UKの一員としてトヨタ・カローラGRスポーツをドライブし、BTCCイギリス・ツーリングカー選手権に約20年ぶりの復帰フル参戦を決めたロブ・ハフが、週末に迫った開幕戦ドニントンパークを前に「大量のポイントを獲得することを目標にしている」と意気込みを語った。

　言わずと知れた2012年のWTCC世界ツーリングカー王者で、今季に向けスピードワークス・モータースポーツ（SWM）との新規契約を締結したハフは、早速BTCCでの忙しいプレシーズンテストプログラムに乗り出し、過去20年間にツーリングカーの国際舞台で成功を収めてきた経験と蓄積を、新しいマシンとチームに注ぎ込むことに時間を割いてきた。

「全体的に見て、僕らは非常にポジティブなプレシーズンを過ごせたと思う」と、クロフトやブランズハッチ、そしてドニントンと続いてきた公式テストの全日程を終えたハフ。

「テストはおもにウエットコンディションだったけど、落ち着いてチームに適応し、全員と関係を築き、クルマとその操作方法について少し理解することができて良かったよ」

　最後の世界選手権となったTC1規定のドライブ以降、近年はタイトルを獲得したSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権（2020年）を含めTCR規定ツーリングカーで活躍を演じてきたハフだが、生産車のホワイトボディを用いながら前後共通サブフレームでFFやFRを許容し、昨季からは共通ハイブリッド機構も搭載するNGTC規定モデルに「新たなインスピレーションを受けた」とも明かす。

「コクピット内は、マニュアルシーケンシャルボックスや変更可能なギヤ比からハイブリッドの展開まで、ここ最近まで慣れ親しんでいたものと比べて本当に忙しいね（笑）。それが、現状はさまざまなタイヤコンパウンドを検討し、習熟を始める前の段階で起きているんだ！」と続けたハフ。

■チーム代表はハフの「完璧な取り組みへの姿勢」を称賛
「エンジニアやスタッフと非常にうまく協力してさまざまなセットアップオプションを検討しているが、今ではカローラにかなり快適に乗れている。言うまでもなく、ドライの経験が少ないことも含めてシーズンが始まる前にあと7～8日間はクルマに乗りたいと思っているが、きっと他の皆も同じ意見だと思うよ」

　現在44歳のハフだが、所属するTOYOTA GAZOO Racing UKでは昨季ジャック・シアーズ・トロフィーを獲得した移籍組のアンドリュー・ワトソンと新たなパートナーシップを組み、新たに創設されたサテライトチームのLKQユーロ・カーパーツ・ウィズ・シネティックでは、実力者のジョシュ・クックとエイデン・モファットを含む4台体制でセットアップデータの共有も進める。

「カローラはこれまでドニントンパークで好成績を残しているようだし、それを活かしたいと思っている。そして大量のポイントを獲得して良いスタートを切ることを、最初の週末の目標にしているよ」

　その元世界王者を招聘したチーム代表のクリスチャン・ディックも、オフの準備期間を経て「過去数カ月間で多くの変化があったが、絶対に変わっていないことがひとつある」と固い決意を述べた。

「それは、このチームのメンバー全員を駆り立てる燃えるような野心、そして目標の追求に100％以上の成果を上げるという完璧な取り組みへの姿勢だ。軽々しく言っているわけではないが、BTCCは熾烈な競争の現場であり、たとえ10分の1秒であっても放置するわけにはいかないんだ」と続けたディック代表。

「だからこそ我々は、可能な限り最強の状態で新しいキャンペーンに臨み、最初のフリー走行から戦える状態を構築してきた。カローラはチャンピオンシップで実績のあるパッケージだが、6年目を迎えてなおロブとアンドリューは改善の余地について有益なフィードバックを提供してくれている」

「両ドライバーはトヨタのクルマにすぐに慣れ、その利点を最大限に引き出す方法を学んでいる。彼らが最初から表彰台フィニッシュに挑戦できることに疑いの余地がないし、全員が今年何が達成できるかについてとても興奮しているんだ」