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アンダー500万円のジュリア スプリント × V60 B4モメンタム。FRセダンと快適ワゴンの、対照的な2台

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アンダー500万円のジュリア スプリント × V60 B4モメンタム。FRセダンと快適ワゴンの、対照的な2台

余裕あるボディサイズと独自の上質感が大きな魅力といえるDセグメントモデル。そのラインナップの中には、エントリーモデルとしての位置付けも含めた戦略的なアンダー 500万円モデルも用意されるが、ここでは特色あるジュリアとV60に注目してみた。(Motor Magazine2021年5月号より)

アルファロメオのFRセダン、ジュリア スプリントに注目
SUV/クロスオーバーモデルブームの中、「セダン/ステーションワゴンはオワコン」という人もいるが、筆者はそうは思っていない。ここでは、日本車の高級セダン/ステーションワゴンからの乗り換えをも視野に入れた「Dセグメントの輸入プレミアムブランドで500万円以下のモデル」を考えてみた。どのようなモデルが選択できるのだろうか?

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

まずはセダンからだ。Dセグメントのプレミアムブランドの中で筆者が注目するのは、460万円のアルファロメオ「ジュリア スプリント」である。ジュリアを改めて説明すると、創業から100年を超える名門ブランド再建を目指し、新生アルファロメオ第一弾としてすべてを刷新して開発したファン待望のFRスポーツセダンであると同時に、ドイツ御三家に対してガチンコ勝負を挑んだモデルでもある。

スプリントは、前後異サイズの18インチタイヤ&ホイール、内装はレザーシートと、パッと見ただけではベーシックモデル感が皆無だ。5色のボディカラー(アルファホワイトとアルファレッドを除くメタリックカラーの3色は有償)と2色のインテリアカラー(ブラックとレッド)の選択が可能なのは、いかにもイタリア車らしい。

エンジンは2Lターボ(200ps/330Nm)と8速ATの組み合わせで、スペック的には平凡だが、レッドゾーンまで気持ち良く回るフィーリングなどで感性に訴えてくるあたりは、昔のアルファロメオ車と変わらない。ドライブモード(dna)をd(ダイナミック)モードにすると、よりレスポンスに優れた力強さが増す。パドルシフトは未装備だが、クルマ好きなら自然とマニュアル操作でシフトして走りたくなる。

フットワークは、専用のジョルジオプラットフォームだ。そもそも510ps/600Nmの最強モデル「クアドリフォリオ」まで許容する設計なので、半分以下の出力のスプリントでは余裕たっぷりなのだ。ハンドリングは、切れ味の良い初期応答性に驚くが、前後バランスの良さとスタビリティの高さなどから、不安要素はまったくない。スポーツセダンの魅力を存分に楽しむことができる。

ただし、これらの見える部分/走る部分に対して、装備面では割り切られている。純正ナビゲーションシステムはオプションでも用意されておらず(上級モデルは装備)、先進運転支援システムも必要最小限の装備に留められるなど、誰にでも勧められるモデルではない。だがアルファ75以来、20数年ぶりに復活した純血アルファロメオのFRスポーツセダン、それがこの価格で用意されることを考えれば、些細なこととも思える。

ドイツプレミアム勢も設定。500万円を超えないモデル
一方、より幅広くお勧めできるドイツプレミアム御三家も、アンダー500万円のモデルを用意する。メルセデス・ベンツは、セダンのC180が489万円。外観はCクラスで唯一の16インチタイヤ&ホイール仕様、内装は布シートのみで装備も限定されるがレーダーセーフティパッケージやコマンドコントロールは標準装備だ。

メタリックペイントは有償オプションでの設定となる。1.5Lターボエンジン(156ps/250Nm)と9速ATだが、動力性能に不足感は覚えない。フットワークは、C180は最新モデルながら昔のメルセデス・ベンツ車を思い出す優しい乗り味を備えている。唯一、受注生産モデルなのが難点といえば難点だろう。

BMWは、318iセダンがやはり489.0万円で用意される。これは2020年8月に追加されたベーシックグレードで、エンジンは320iと同じ2Lターボながら性能を抑えたスペック(156ps/250Nm)を搭載。装備は一部を除いて320iとほぼ同等で、デジタルコクピット、ハンズオフ機能付渋滞時運転支援機能を含むドライビングアシストプロフェッショナルもしっかりと装備。16インチのタイヤ&ホイールなのでベーシック感は出てしまうが、鼻先の軽快さに加えて自然なハンドリングはまさにFRの教科書的走りだと言っていい。

アウディでは、セダンのA4 35TFSIが455.0万円で設定される。パワートレーンは2Lターボ(150ps/270Nmm)と12Vマイルドハイブリッドの組み合わせだ。外観は上級モデルと異なる部分もあるが、スポーツサスペンション+17インチタイヤ&ホイール採用でベーシック感は希薄である。

駆動方式はFFで、素性の良さに軽い車重も加わり、ダークホース的な走りの良さを備える。内装は液晶メーター/シートヒーター/電動シートなどは未装備だ。先進運転支援システムは必要最小限で、ACCやレーンアシストの設定もない。

数少ないワゴンの該当モデルV60は最先端の装備も特色
そしてステーションワゴンである。こちらはセダンよりも価格帯が若干上がるので選択肢は少ないが、その中での筆者のお勧めは499万円のボルボ V60 B4モメンタムだ。先代V60のスポーティさとV70のユーティリティを融合させたステーションワゴンの王道を行く一台である。

外観は次世代ボルボ共通のデザインアイコンと、フロントオーバーハングが短くてノーズが長い横置きFFモデルながら、あたかもFR車のようなプロポーションが特徴だが、ドイツ御三家と比べても引けを取らないカッコ良さだ(ちなみにほぼ同仕様の4ドアセダン、ボルボS60 B4モメンタムも、499万円という同価格で用意されている)。

インテリアは9インチのタッチスクリーン式大型ディスプレイが特徴の次世代ボルボ共通レイアウトだ(これは全車標準装備)。シートは専用の「Tテックテキスタイルコンビネーション」と呼ばれるファブリック/合成皮革のコンビ仕様だが、上級モデルの本革シートよりスウェーデンらしさが強いコーディネートで、むしろ積極的に選びたいくらいである。

パワートレーンは2Lターボ(197ps/300Nm)+48Vマイルドハイブリッド(13.6ps/40Nm)で、8速ATとの組み合わせ。この電動化は、燃費向上に加えて滑らかなフィーリングやサウンドにも寄与するが、あくまで実用に徹した黒子的存在だ。

V60のフットワークは、新世代プラットフォーム「SPA」の中ではスポーティな性格だが、このB4モメンタムはシリーズ唯一の17インチタイヤ仕様ということもあり、路面からの当たりの柔らかさや正確性は高いが穏やかな操舵特性など、全体的に優しい感じだ。常にワクワクドキドキなジュリア スプリントとは対照的で、常に冷静でいられる乗り味ともいえる。

先進運転支援アイテムは、周囲360度をカバーする鉄壁のシステムを全車に標準装備。このあたりは、安全に差を付けないボルボらしい部分と言えるだろう。

チェックすべき価値を備えたハイレベルな存在の508
このところ話題豊富なプジョーでは、499万4000円の508SW GTラインが注目される。シャープで先進的な内外装のデザインが特徴で、最新プジョー車はプレミアムブランド顔負けのクオリティを備えている。エンジンは1.6Lターボ(180ps/250Nm)で8速ATとのコンビネーション。スペック以上の力強さと小気味良いフィーリングを備え、ベーシックエンジンとは思えないほどスポーティだ。

フットワークは、電子制御ダンパー採用のアクティブサスペンションと18インチタイヤ&ホイール。クルマがひとまわり小さく感じるスポーティなハンドリングと軽やかな乗り心地とのバランスは、キビキビなのに優しい・・・というフランス車ならではの独特な乗り味だ。先進運転支援システムも充実しており、オプションだがナイトビジョンまで用意される。

そろそろ結論に行こう。アンダー500万円となると、ほとんどのモデルがベーシックグレードとなるが、筆者はそうしたグレードにこそ、そのクルマの本質が宿ると考える。そんな「素うどん」のような旨みを持ったモデルを、ぜひとも体感してみてほしい。(文:山本シンヤ/写真:小平 寛)

アルファロメオ ジュリア2.0ターボ スプリント 主要諸元
●全長×全幅×全高:4645×1865×1435mm
●ホイールベース:2820mm
●車両重量:1590kg
●エンジン:直4 SOHCマルチエアターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:148kW(200ps)/4500rpm
●最大トルク:330Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・58L
●WLTCモード燃費:12.4km/L
●タイヤサイズ:前225/45R18、後255/40R18
●車両価格(税込):460万円

ボルボ V60 B4モメンタム 主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1850×1435mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1710kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:145kW(197ps)/4800-5400rpm
●最大トルク:300Nm/1500-4200rpm
●モーター最高出力:10kW(13.6ps)/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両価格(税込):499万円

アンダー500万円で選べる・・・BMW 318i:495万円
318iは2020年8月に追加設定されたセダンのエントリーグレード。現行型3シリーズ初のアンダー500万円モデルとして登場した。2Lターボエンジン搭載でパフォーマンスも十分。同年9月に318iツーリングもデビューするが523万円ゆえ、今号のテーマからは外れる。

アンダー500万円で選べる・・・メルセデス・ベンツ C180:489万円
ベースモデルとしてCクラスを支えるC180だが、2019年9月からエンジンを一新。それまでの1.6Lターボから1.5Lターボに変更され、9速ATと組み合わされる。レーダーセーフティパッケージ標準装備。新型デビューも間近いが、熟成された乗り味はいまも秀逸。

アンダー500万円で選べる・・・プジョー 508SW GTライン:499万4000円
最新プジョーの積極的な姿勢が強く感じられるワゴンの508SWとセダンの508。たっぷりとしたボディサイズと質実剛健なパワートレーン、優れたプラットフォームによる立派なDセグメントモデルだがプライス面での魅力も大きい。 1.6Lガソリンターボエンジンモデルはともにアンダー500万円だ。

アンダー500万円で選べる・・・アウディA4 35TFSI:455万円
A4セダンのベースモデルは思い切った価格設定でアンダー500万円マーケットにデビュー。シリーズ唯一のベーシックなLEDヘッドライト仕様で、独自の表情を備えたフロントフェイスも特徴。10本スポークデザインのホイールも専用設定だ。装備も含めて質実剛健な在り方に潔さを感じるモデル。

[ アルバム : アンダー500万円「ジュリア スプリントとV60 B4モメンタム」 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • ボルボ60シリーズはどれも素晴らしくスタイリッシュ。
    40シリーズでもあのデザインでショートワゴンかスポーツハッチを出してほしい。
    V40の後継が無いのは残念すぎる。
  • クロスカントリーなんか、アウディのオールロードより内外装デザイン良いよね〜
    アウディは中身ワーゲンだし、ボルボの方が良いよね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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