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【ベスト911を探せ】ど真ん中はドナタ グレードと装備を徹底比較 前編

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【ベスト911を探せ】ど真ん中はドナタ グレードと装備を徹底比較 前編

あまりに多すぎる選択肢

text:Richard Lane(リチャード・レーン)

【画像】写真で見る992のバリエーション 全153枚

photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)

1960年代初頭、ポルシェ911は901と名乗った。プジョーの横槍が入り、商標権の都合で名称変更することになったが、その頃のパンフレットを手に取ったなら、あまりのシンプルさに驚くはずだ。

ハンドブレーキのドラムサイズが180mmなどという、当時ならではの言及もあれば、エンジンが車体後部、リアアクスル後方に積まれているという、それこそ今ならわかっていて当然と言いたくなる情報も記載されてはいる。

数字の欄もうんざりするほどある。だが、バリエーションはない。スペック一覧の末尾に、5速MTのギアリングが変更できる旨の注釈がある程度しか、選択の幅は用意されていなかった。それ以外のメカニカルな部分は、すべて同じセット内容だったのだ。

それが2021年の911カレラにまったく当てはまらないことは、いまさら言うまでもないだろう。バルブキャップの仕上げまで選ばされるなんて、冗談みたいな話だ。さもなければ、シートの柄も選べるわけだが、それ以前に選ぶべきメカニズムが数多くある。

つまり、見た目はそっくりでも、走りの異なる911が生まれる可能性があるわけだ。そして、絶対にというわけではないが、ターボ系やGT系でなくても非常に高額になる可能性もある。

まずは原点を知る

素のカレラはもちろん後輪駆動で、PDK仕様が8万3000ポンド(約1162万円)、対するカレラ4Sは、シャシーとパワートレインに関するオプションをすべて装備すると11万8000ポンド(約1652万円)。つまり、差額はアルピーヌA110が買えるほどになる。

断定するのが難しいのは、素のモデルとオプション満載のモデルとの妥協点だ。言い換えれば、支払いに見合う価値があるのはどんな仕様なのかということになる。

幸いにも、英国ポルシェの広報車に、ほぼオプションの備わらない車両が加わった。こんな機会は滅多にない。まずありえない話だ。

結局、より速く俊敏なクルマに仕上げるテクノロジーの追加には、人間抗いがたい。ディーラーでは、それがリセールに影響するからと薦めてくるだろうが、それも事実である。

現実的には、正真正銘ベーシックな911などというものは、机上の空論に過ぎない。そんなものを買うユーザーはまずいないし、ポルシェがそんな仕様をテストしたいメディアなど存在しないだろうと想定するのも無理のないことだ。

もちろん、実際にはそんなことはない。少なくとも今回の白いカレラは、選びたくなるさまざまなオプションの効用を査定し、理想的な911を見つけ出すための試金石になってくれる。

みんな違ってみんないい

このほかに用意した911は3台。ダークブルーのカレラSはMT車、グレーのカレラ4SはPDK車で、いずれも車高を10mmダウンするPASMスポーツサスペンションとスポーツエキゾーストが追加された車両だ。

もう1台は赤いターボSで、PDCCアクティブスタビライザーとPCCBカーボンセラミックブレーキを装備している。カレラ系ではないが、911の選択肢をより幅広く検討するために加えることとした。

頑固な4人のテスターは、もっとも過酷なB級道路へ4台を連れ出し、取っ替え引っ替え一日中乗り回した。どれがもっとも好ましく、財布のヒモを緩める価値があるのかを明らかにしようと意気込んで。

もっとも、どの911を選んでも、極上の能力とバランス、エルゴノミクスと全般にわたる冴えを持つマシンを手に入れられることになる。気取った言い回しのようだが、それでも言い足りないくらいだ。

この比較テストに敗者はいないし、物足りないとかやりすぎだとかいう議論はすぐにしなくなる。テストに参加したジェームズ・ディスデイルの言葉を借りれば、優劣ではなく、単にそれぞれのキャラクターが違うだけなのだ。

そもそもポルシェが、看板モデルたる911の最新型である992型で下手を打つわけがない。問題は、気に入った911が、必ずしも自分の予算に見合った911ではない、ということくらいだ。

乗り心地と音は小細工なしで十分

これはそれほど重要な話ではないかもしれないが、一応述べておこう。ホイールは前後異径で、カレラは19/20インチ、それ以外は20/21インチだが、大きいほうのサイズでも乗り心地に悪影響があると感じたテスターはいなかった。

リアサスペンションは3.0Lフラット6ツインターボの重量を受け止めており、どの911でも必要なのはリアアクスルの派手な動きのコントロールを優先することだ。それだけに、舗装の悪い道路でかなりのロードノイズが出ることは避けられない。多少タイヤサイズが小さくなっても、それは変わらない。

興味深いことに、マット・プライアーと不肖リチャード・レーンは、スポーツエキゾーストを持たない911のほうが好みだという意見で一致をみた。標準仕様は大仰な音こそせず、低音の効きも弱いが、高周波音を聞かせてくれる。

もっと難しいのは、四輪駆動を選ぶか否かだが、それは時と場合による。それについては、ひと息ついてから説明することにしよう。

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みんなのコメント

2件
  • ベスト911?
    ’69年のRか'73カレラしかないだろう。
    百歩譲って’84年のSC/RS。
    911は空冷!
    (笑)
  • 修理費に余りお金を割きたく無い人向けにPASMなどの電子制御を全て排除したモデルがあっても良いな〜。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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