2020年9月18-20日、WRC(世界ラリー選手権)第5戦ラリートルコがトルコ東南部のマルマリスを起点に行われ、トヨタのエルフィン・エバンスがシーズン2勝目をあげた。2位はヒュンダイのティエリー・ヌーヴィル、3位には同じくヒュンダイのセバスチャン・ロウブが入った。
牙を剥くロングステージ、いきなり優勝候補脱落の波乱
同じグラベルラリーながらSSの平均速度が120km/hを超えた前戦ラリーエストニアから一転、トルコはSS平均速度が80km/hほどの低速のラリーとなる。しかも、ステージの路面は現在のWRCの中では最もラフで気温も30度前後と高く、タイヤにもクルマにもドライバーにも厳しいラフ&タフ・ラリーだ。
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新型コロナウイルス感染拡大の影響によって前戦同様このラリーも実質的に2デイの構成で、土曜日と日曜日に設定された4つの30km超のロングステージが勝負の鍵を握ると予想された。だが、ラリーが始まってみると、予想以上のトラブルが各ドライバーに襲いかかった。
まず犠牲になったのが前戦エストニアを制したオィット・タナック(ヒュンダイ)だった。このラリー最初のロングステージとなる金曜日のSS3で、パワーステアリングのトラブルに見舞われコースオフ。デイリタイアを喫していきなり上位争いから脱落してしまう。
同じステージのリピート(再走)となるSS6では、今度はトヨタ勢にトラブルが襲いかかる。カッレ・ロバンペラがパンク、エルフィン・エバンスはタイヤ摩耗がひどくペースが上がらず、ポイントリーダーのセバスチャン・オジエのヤリスには電気系トラブルが発生してギアシフトや駆動系に不具合が生じ、ヒュンダイのティエリー・ヌーヴィルの首位独走を許してしまった。
日曜日にさらなる大波乱、生き残ったエバンスに栄冠
だが、ラリーにはまだドラマが待っていた。日曜日のオープニングとなる今回のラリー最長38km超のSS9で、なんと4番手を走るエバンスを除く上位陣のすべてがパンクに見舞われるという異常事態が発生し、唯一生き残ったエバンスが大量リードでトップに浮上したのだ。
さらにこのステージのリピートとなるSS11ではオジエがエンジントラブルに見舞われてストップしてしまう。
これで首位に立ったエバンスは、残されたステージを慎重に走りきり、第2戦スウェーデン以来の2勝目を達成。オジエがリタイアしたことで18ポイント差で新たなポイントリーダーとなり、残り2戦を迎えることになった。マニュファクチャラー選手権では1&4位のトヨタが、2&3位のヒュンダイとの差をわずかに広げ、9点差としている。
次戦第6戦ラリーイタリアは、10月8~10日、サルディニア島アルゲーロを起点としたグラベルステージで開催される。路面は目の細かい砂状のグラベルに覆われ、何台かのクルマが走行すると深い轍も刻まれるなど、路面コンディション変化が大きいのが特徴。道幅は狭くハイスピードとなっている。本来6月上旬に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となったことで、チャンピオンシップの行方を左右する重要な一戦となる。
2020 WRC 第5戦ラリートルコ 結果
1位 E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC)2h43m02.7s
2位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +35.2s
3位 S.ロウブ(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+59.4s
4位 K.ロバンペラ(トヨタ ヤリス WRC)+2m35.9s
5位 G.グリーンスミス(フォード フィエスタ WRC) +4m.08.3s
6位 E.ラッピ(フォード フィエスタ WRC) +5m36.2s
7位 K.カヤタノビッチ(シュコダ・ファビア Rally2 エボ) +12m35.5s
8位 P.ティディマンド(シュコダ・ファビア Rally2 エボ) +12m35.5s
9位 A.フォルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2) +14m46.4s
10位 M.ブラシア・ウィルキンソン(シトロエン C3 R5) +14m46.4s
2020 WRC ドライバーランキング(第5戦終了時)
1位 E.エバンス(トヨタ ) 97
2位 S.オジエ(トヨタ)79
3位 O.タナック(ヒュンダイ)70
4位 K.ロバンペラ(トヨタ)70
5位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ)65
2020 WRC マニュファクチャラーランキング(第5戦終了時)
1位 トヨタ 174
2位 ヒュンダイ 165
3位 Mスポーツ フォード 101
[ アルバム : WRC 第5戦ラリートルコ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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