ZMPが自社の技術を公開する「ZMPワールド2023」を都内で開催した。その中で、自動運転バス「RoboCar Mini EV Bus」の最新モデルをお披露目した。バッテリー容量が増えるなど改良を加えた。需要先としては、工場、商業施設、スマートシティなどを想定する。
中国ANKAIと共同開発
10分満充電超急速充電方式、立山黒部アルペンルートの「電気バス」。導入成功した理由とは?
独自の自動運転技術の開発企業として知られる、ZMP(本社:東京都文京区)が新型の自動運転バス「Mini EV Bus」を公開した。
車両のサイズは、全長6.61m×全幅2.32m×全高2.87mで車両重量は8,980kg。
座席数は、跳上席を含めて10席。
動力性能は、モーターの定格出力は60kW、最大トルクは1,200Nm、最高速度は69km/h。
バッテリー容量は90kWhで、満充電での航続距離はエアコンを付けない状態で230kmとした。
製造者は中国のANKAI。同社は2004年からEVバスの製造を始め、現在は従業員数4,000人で年間2万台のEVバスを製造する、この業界では大手といえる存在だ。
これに、ZMPが独自の自動運転システムを組み込んだ。
同車の特長は、自動運転については新車の企画から製造の段階で、ZMPと共同開発している点。完成車を自動運転向けに改造するという発想ではない。
少し前を振り返ってみると、ZMPとANKAIの連携は、2018年の「戦略的パートナーシップ締結」から始まった。
その後、2019年と2020年には中部国際空港の制限区域内で実証実験を実施。
2021年には、クラウドベースのモビリティ統括制御プラットフォーム「Robo-HI」を使った複数台のRoboCar Mini EV Busの制御システムを構築。これを、スマートシティへの導入支援に活用することを発表している。
自動運転実現のための5つの安全機能
自動運転のシステムについては、ハードウエアではボディの四隅に3Dライダー、ルーフ前方に3Dライダーと単眼カメラ、ステレオカメラ「RoboVision3」、そして衛星測位用の機器を持つ。
自動運転レベルは運転席にドライバーがいない、レベル4での走行を実現している。
その実現に向けた安全機能については、大きく5つある。
ひとつめは「システムの冗長化」だ。
ZMPが独自開発した自動運転ソフトウエア「IZAC」のメイン装置に対して、バックアップのIZACを併装するが、メインIZACの多くの機能を代替すること、またはリスクの最小限化を念頭に置いたセッティングも可能となる。
そのほか「ローレベル制御モニタリング」、「経路計画モニタリング」、「自己モニタリング」、そして「プロセス監視機能」など、合計5つの機能によって自動運転の安全性を担保している。
運行については、クラウドベースでZMPが独自開発した「Robo-HI」で各種ユースケースに対応する。
想定される導入先は、工場やプラント、物流施設、空港・港湾、商用施設、そして近未来型都市の総称であるスーパーシティやスマートシティなど、クローズドエリアが主体となる。公道での運行については今後、国の自動運転実証を受けての安全性に対する解釈などを考慮して検討を進める。
1台7,000万円だが、複数台導入パッケージも用意
RoboCar「Mini EV Bus」の価格は、税抜きで1台7,000万円。
システム導入調整費、クラウドサービス利用料、導入支援サービス費などが別途必要となる。これら料金については、ユースケースによって差があるという。
そのほか、複数台導入パッケージが用意されており、2台で税抜き1億円(1台あたり5,000万円)、また5台で税抜き2億円(1台あたり4,000万円)。
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