■完成間近! ついにインテリアの詳細も判明
1990年代にグループCカーである日産「R90CK」や、BTCCに参戦していた「プリメーラ」の開発に携わっていたRML(レイ・マロック・リミテッド)。
フェラーリ「250GT」が新車で蘇る!? 古くて新しいレストモッドとは?
現在もWTCCやル・マン24時間レースなどに参戦しながら、イギリスを本拠にエンジニアリング会社「RMLグループ」として、さまざまな活動をおこなっている。今回VAGUEで紹介するRML SWB(ショートホイールベース)は、そんなRMLが開発した新型車だ。
●現代の快適装備もぬかりなし
このRML SWBを見てどこかで見たことがある、と感じた人は、かなりのクルマ好きだろう。そう、このクルマはフェラーリ「250GT SWB」からインスパイアされたものだ。
フェラーリ250GT SWBは、「250GT」のホイールベースをショート化することで、コーナリング性能を高めた耐久レース用のクルマだった。当時搭載されていたエンジンは、3リッターV型12気筒、ボディデザインはピニンファリーナが担当していた。
そんな250GT SWBに倣ったRML SWB。ロングノーズ・ショートデッキのシルエットは、まさに250GT SWBを現代に蘇らせたかのようなイメージを持っている。
しかしその中身は、たとえば製造方法や制御方法など、いろいろな部分がアナログだった250GT SWBとは違い、現代的なものとなっている。ボディはカーボンファイバーを素材として成型されているほか、インテリアは「ノープラスチック」をモットーに、ドライバーが目にしたり触れたりする部分はすべて、アルミ削り出し/ガラス/レザーを素材としている。しかしそのテイストは、円錐形のメーターからも見て取れるように、高級時計からインスピレーションを得たもので、全体的な雰囲気はクラシカルといっていい。
しかし、たとえインスパイアされたとはいっても、RML SWBは、250GT SWBとは、成り立ちがまったく異なっている。まずこのコンパクトなボディは、サーキット走行を想定して、RMLのCEOマイケル・マロック氏がヘルメットを被って着座してルーフラインを決め、そこから他の部分のサイズを決定している。そのため、オリジナルの250GT SWBのように、コーナリング性能を追い求めたがゆえに、長身のドライバーはコックピットの狭さとも戦わなければいけない、ということはない。
その上、当時のクルマには装備されていなかった、ステアリングのチルト/テレスコピック調整機構と、マルチアジャスト機構付きのシートをこのRML SWBは装備していることから、多くのドライバーが最適なドライビングポジションを見つけやすくなっている。
快適性という部分も、現代のクルマに求められる水準をクリアしている。これはRML社が、他の高性能車メーカーに提供してきたコンポーネントエンジニアリングにおける経験を活かしたもの。遮音性の高さはもちろんだが、エアコンはコンパクトだが高性能なものをセットしているため、暑い気候にも対応。
収納スペースもあるし、カップホルダーすらこのRML SWBには装備されているのだ。当然、ウインドウやシート、ミラーは電動調整式だし、スマートフォンとの連携ができるインフォテインメントシステムも装備されている。写真を見ると、まったくそんな装備がないようにも思えるのだが、実はこのインフォテインメントシステムは、センタートンネル部分に隠されていて、使うときのみ飛び出すようになっているのだ。このような工夫によってRML SWBは、現代的な機能とクラシカルなスタイルを融合させることに成功している。
搭載されているエンジンは、フェラーリ製の5.5リッターV型12気筒だ。最高出力は485ps、最大トルクは568Nmを発生する。トランスミッションは6速MTで、こちらもフェラーリ製。オープンタイプのシフトゲートは、古き良き時代のイメージそのまま。0-60mph(97km/h)加速が4.1秒、最高速度185mph(約296km/h)という速さを誇り、クラシカルなスタイルを持ちながらも快適なこのRML SWB、販売台数は30台のみとアナウンスされている。現在開発の最終段階にさしかかっていて、ワールドプレミアは、2021年秋が予定されている。
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