CHEVROLET CORVETTE
シボレー コルベット
サーキット全開で見えた、新型シボレー コルベットの本質【C8 試乗記 後編】
ポルシェ911にも匹敵するマナーの良さ
通算8世代目にしてミッドシップスポーツへと生まれ変わった新型シボレー コルベット。いよいよ、その走りについてお伝えしよう。試乗車はZ51パッケージ、マグネティックライドコントロール付きという日本仕様とほぼ同等のスペック。初日は肩慣らしも含めて、一般道でのドライブとなった。
エンジンを始動すると、爆音というよりは少し大人っぽいサウンドが響く。発進は非常に滑らか。エンジンのトルクには驚かなかったが、初出のDCTの駆動感、変速のスムーズさには舌を巻いた。微低速域でこそわずかに振動が看取できたが、それ以外はポルシェ911カレラのPDKにも匹敵するマナーを獲得している。
スタート地点のホテルの駐車場には大げさなスピードバンプが設置されていたが、新型コルベットには2.8秒で40mm上昇するフロントリフト機構が備わるので心配は要らない。しかも最大1000箇所まで、GPSデータを記憶して自動昇降するという。実際、ホテルに帰着した際にはスイッチに手を伸ばす前に車高がスッと上がり、ちょっとした感動を覚えた。これは日本仕様では3LTに標準装備される。
モーレツに良い快適性! 一体感も得られる
ラスベガス・ストリップを抜けて郊外へ。新型コルベットの走りは、とてもスムーズだ。何より乗り心地がモーレツに良い。ボディが堅牢で、サスペンションは締め上げられているにも関わらずショックはうまくいなされ、イヤなブルブル感などはまったく無い。ボディも良いのだろうが、樹脂製リーフスプリングを廃したことで左右輪がスムーズに上下動できるようになったのも効いているに違いない。とても素直な感触だ。
タイヤは標準のオールシーズンだけでなく、Z51のサマーもランフラットだと考えると、この乗り心地は尚さら驚異的と言える。このパイロットスポーツ4Sはイン側のサイドウォールをパンク時に荷重を受け止めるべく硬めにする一方、アウトのそれを柔らかめにすることでコーナリング時のしなり、そして快適性を高めているという専用品である。
視界の良さも街中での走りを快適なものにしている。ロールフープともどもスチール製ではなくアルミ製とされたAピラーは細身で視界を遮らない。ヒップポイントは従来とほぼ一緒だが、シート位置自体が600mm前に出され、更にカウルが25mm下げられていることで下方視界が改善されているのが大きい。実際、フロントフェンダーの峰がよく見えて、取り回しをラクにしているのだ。
後方も思ったよりよく見えるし、リヤビューカメラの視野角も広い。斜め後方こそ見やすくないが、クルマを持て余すような感覚は無く、従来以上の一体感に繋がっている。
ハンドリングは良好! リヤの落ち着き感も抜群!
もちろん快適なだけじゃない。ワインディングロードに差し掛かったら、走行モードを“Tour”から“Sport”に。すると途端にサウンドが勇ましさを増し、脚も引き締まる。昂揚した気分でアクセルペダルを踏み込むと、V型8気筒OHVユニットは低回転域から分厚いトルクを、更にリニアに上乗せしていきながら6400rpm前後まで滑らかに、そして一気に回り切る。DCTの切れ味も申し分無く、切れ味は爽快だ。
そして何よりハンドリングが良い。そもそも直進性は上々で、中立位置での据わりの良いステアリングを切り込んだ際の反応も見事。素直に、自分を軸に向きが変わっていくミッドシップらしいマナーを堪能できる。しかも挙動は軽々しくなく、特にリヤの落ち着き感は抜群。OHVのメリットで重心が低く抑えられているおかげだろう。グラリとロールしたり途中で挙動が急変したりすることなく、安定した接地感を得ることができる。
長く乗っていても疲れず、意のまま思いのままにコントロールできるから飽きも来ない。スポーツGTとしての申し分無い完成度に、この時点ですでにノックアウトされてしまった。唯一、快適性とサポート性の両立を狙ったという、日本では2LTに標準となるGT2シートのバックレストの形状がフィットしなかったのが惜しいところだ。
路面に張り付くようなコーナリング
翌日はサーキットへ。ラスベガスの中心地から西へ1時間ほど走った先にあるスプリングマウンテンサーキットが、その舞台である。
ここでは、まずローンチコントロールのテストと軽いジムカーナで肩を慣らした。0-60mph(96km/h)加速はZ51パッケージ付きで2.9秒。最高出力650hpを誇った先代Z06の2.95秒をわずかとはいえ凌ぐのは、もちろんミッドシップの高いトラクション性能によるところが大きい。
そして、いよいよコースイン。先代ZR1で先導するインストラクターを後追いするかたちだが、ペースを上げてほしければプッシュして距離を詰めろとのこと。そう言われたら当然、全開で行くほか無い。
ワインディングロードで抱いた印象は、限界域に至っても変わることはなく、あらゆる挙動が素直で、重心の低さがフルに活きた路面に張り付くようなコーナリングを披露する。ダンパーの制御も巧みで、うねった路面での追従性も目を瞠るものがある。
前方視界が良くフェンダーの峰がよく見えるのは、クリッピングポイントで縁石をどれだけ使うか瞬時に判断する材料になって、サーキットでもとても有り難かった。これは、もちろんノーズが短くなったのも相まっての話。従来のファンにとっては寂しさもあるかもしれないが・・・。
コーナリングでは相当追い込んでも挙動は乱れず、グリップ限界を超えた先でもコントロールは難しくはない。アンダーステアはひと呼吸置けば自然に収束するし、オーバーステアもいきなりスパーンと来ることはなく、挙動はマイルドだ。長いコーナーでGが溜まってきた時にはヒリヒリした感触も伝わってくるが、一気に破綻するようなことは無い。繊細な操作を受け付けるステアリングも、そんな御し易さにひと役買っている。
鋭いレスポンスをもつV8 OHVエンジン!
パワートレインも申し分無い仕上がりだ。どこから踏んでもトルクにあふれ、ピックアップは鋭いけれど演出過剰ではない。トップエンドまで駆け上がっていく際の快音もサイコーである。DCTはマニュアルモードにしてパドルを使えば変速が更に速くなるが、その際には自動シフトアップは行われないので、サーキットではDレンジのままでいいかなという印象だった。
これだけの満足感を抱いた試乗は久しぶりかもしれないというのが、振り返っての印象である。もちろん、たっぷりとした試乗時間、いつまでもこちらの質問に付き合ってくれたエンジニア達のおかげでもあるが、何よりクルマの完成度の高さ、走りの楽しさに大いにシビレた。
コルベットにそこまで思い入れていたわけではない筆者でも、ミッドシップ化には抵抗感があったのは事実。とはいえ、FRの時代にはテールを抑えつけるのに苦労して、こんな風に思い通りには走れなかったのは間違いない。しかも、ミッドシップの短所は見事に打ち消されている。伝統のOHVユニットが、その重心の低さでそれに貢献しているというのも、何だか嬉しくさせるポイントだ。
新型コルベットは、熱狂的なコルベット ファンだけでなく、スーパースポーツを愛するすべての人にアピールする魅力、実力を身に着けるに至った。何を隠そう私自身が、このクルマにすっかり魅入られてしまった次第である。日本の路上で再会できる日が本当に待ち遠しい。
REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)
【SPECIFICATIONS(北米仕様)】
シボレー コルベット
ボディサイズ:全長4630×全幅1934×全高1234mm
ホイールベース:2722mm
トレッド:前1648 後1586mm
乾燥重量:1530kg
エンジン:V型8気筒OHV(LT2)
ボア×ストローク:103.25×92mm
総排気量:6153mm
圧縮比:11.5
最高出力:369kW(495hp)/6450rpm
最大トルク:637Nm/5150rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:電動パワーステアリング
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(ブレンボ製)
ローター径:前321×30 後338×26(Z51 前345×30 後350×27)mm
キャリパー:前後4ピストン(Eブースト アシスト付き)
タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR19(8.5J) 後305/30ZR20(11J)
【車両本体価格(税込)予価】
シボレー コルベット
2LT(クーペ):1180万円
3LT(クーペ):1400万円
【問い合わせ】
GMジャパン・カスタマー・センター
TEL 0120-711-276
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