昨年まで”アルファロメオ”として戦ってきたザウバーは、今シーズンから”ステーク”としてF1を戦っていくことになる。装いも一新され、昨年までは紅と黒の塗り分けだったが、新たにフレッシュグリーンをまとう斬新なカラーリングとなった。
2024年用マシンはこれまでハースとウイリアムズが公開済みだが、いずれもカラーリング発表。ハースに関しては、随所に形状が変化していることも見えたが、ウイリアムズに関しては昨年型マシンに最新のカラーリングをまとわせた”だけ”とも言える状況で、チームも「カラーリングを公開」と公言した。
【ギャラリー】“美しいマシン率”も高い? 鮮やかなグリーンでF1を彩ったマシンたち
しかしこのステークC44は、2024年シーズンを戦うニューマシンを披露したようだ。
まず大きな変化はフロントサスペンションである。昨年のアルファロメオC43はプッシュロッドだったが、ステークC44はプルロッドに変更された。モノコックとフロントホイールを繋ぐアームの1本が、プッシュロッドでは左右でハの字となるが、これがC44では逆ハの字のレイアウトになっているのがお分かりいただけるだろう。
このサスペンションレイアウトは、昨年の時点でレッドブルとマクラーレンが採用しているモノであり、画期的と言えるようなモノではないが、プッシュロッドからプルロッドに変更するには劇的な設計変更が必要であることを考えれば、それ相応のメリットがあると言えるだろう。プッシュロッドの方がモノコック上面に内部機構を置くことになるため、サーキットでの整備性も良いのが通例である。
一方、プルロッドであれば内部機構をモノコックの下に置くことができるため、重心を下げるという点ではメリットになるはずだ。もちろん、空力的なメリットもあるだろう。
■ロールフープが大きく変更
それ以外の変更点を見ていくと、ロールフープ部がC43とは大きく違うのが分かる。
昨年のアルファロメオC43は、マシンの中心部分に背骨状のロールフープを設け、その周囲にエアボックスの開口部を設けていた。しかしC44では三角形のローフフープの周りにエアボックスを形成する方式に変更した。
これはおそらく、2024年に向けて行なわれたレギュレーション変更の影響だろう。FIAは、2022年のイギリスGPでアルファロメオの周冠宇のマシンが上下逆さまになるクラッシュに見舞われた際、ロールフープが損傷したことに着目。安全性を強化することを目指した。そのため、この部分のレイアウトが変更されることになったのだろう。
■サイドポンツーンはさらにレッドブル型に?
サイドポンツーンは、C43の時点ですでにトレンドとも言えるダウンウオッシュタイプを採用していた。C44もこれを踏襲。サイドポンツーン上面のエンジンカウルに近い側が少し窪みを持っており、気流の流路を確保している。
過激な変更点は、その前端にある。サイドポンツーンの開口部は形状がより横長となり、下端が前方に伸ばされた。これによって、サイドポンツーンに激しいアンダーカット(抉れ)が設けられた。この結果、サイドポンツーンとフロアの間に多くのスペースが確保され、マシン後部へ多くの気流を送ることになった。シーズン中にもどんどん開発が進んでいく領域であろう。
■エンジンカウルは昨年型を踏襲?
エンジンカバーの形状は、昨シーズン終盤に使われたモノと同様。引き続きカウルには段差が設けられており、ここでも後方へ向かう気流をコントロールしている。またカウル後端の冷却用開口部も、昨年に続き下に向けられている。
フロアのエッジウイングは、昨年のモノとは既に異なっているようだ。前方の部分には、昨シーズン中にメルセデスなどが使った、ストレーキを用いて複数のトンネル状の気流流路を設ける形になっている。
■フロントウイングには細かい工夫が?
フロントウイングとノーズも、基本的には昨年のモノと同じようだ。しかし翼端板とフラップの接続部、昨年は切り欠きだった部分には、縦方向のフラップ状の部分が突き出すようになっている。メルセデスやハース、レッドブル、フェラーリといったチームは、この部分に小さなウイングレットを設けていたが、これに似ているかもしれない。
このフラップは、間違いなくアウトウオッシュを生むためのパーツのひとつだろう。
■リヤウイングはどうなる?
リヤウイングは、昨年のC43から引き継がれており、翼端板にはスウェッジラインが存在。ただテストや開幕戦には、まったく異なるモノが取り付けられる可能性がある。
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