年内に生産終了するアルファロメオ「4C スパイダー」に小川フミオが試乗した。
緊張感が快感へ
運転をとことん楽しみたい! と、考えるひとには、このクルマがぴったりだろう。アルファロメオ「4Cスパイダー1750 TBI」。2013年販売開始なので、すこし前のモデルになるが、その個性はいまも輝いている。
4Cスパイダーは、あらゆる点でダイレクト。ドライバーの一挙手一投足というか、ちょっとしたステアリング ホイールの切れ角や、アクセルペダルの踏み込み量に即座に反応してくれる操縦性をもっている。そこが楽しい。
なにより特徴的なのは、いってみれば”遅くても速い”ところ。思わず笑ってしまったのは、大磯の海岸線、西湘バイパスを走ったときだ。漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんが助手席に座り、ハンドルを握っていたのは編集部のイナガキ氏。しばらく走ると「そんなにとばさなくていいです」と、声をかけたという。
しかしイナガキ氏は、制限速度70km/hの道で、周囲の交通状況に合わせて60km/hで運転していたのだった。辛酸なめ子さんいわく、120km/hぐらい出ていると思ったとのこと。
たとえ60km/hでも、ドライバーは楽しめる。かなりクイックなステアリングのせいもある。スムーズにコントロールすることをむねとする。それゆえ操作に神経を集中するのが、まるでスポーツのよう。豪快でいて繊細だ。
ツインクラッチタイプの6ATをマニュアルモードにし、シフターでレッドゾーン近くまでエンジンをひっぱるときや、アクセルペダルの踏み込みに応じての絶妙な加減速も、レース用マシンみたいである。
ホイールベースは2380mmと短めで、車重は1060kgに抑えられている。キャビン背後に搭載する1742cc直列4気筒ガソリンターボ・エンジンは、最高出力177kW(240ps)、最大トルク350Nmを発生。このボディには十分すぎるほどのパワーだ。
クルマの動きかたが把握出来て、ある程度クセに慣れると、乗り出しのときに感じた緊張感が、運転の快感へとじわじわっと変わっていく。
自分の足で路面を蹴って進んでいくような感覚だったり、陸上競技のトラックをまわっていく感覚だったり……”スポーツ”カーとは言い得て妙であると強く感じられるはずだ。
どんな速度でも”速い”
2013年に販売開始された4C(4本のシリンダーをもったエンジンを意味する戦前からの伝統的なネーミング)は、“BMWをしのぐスポーティなクルマを作る!”という目的のもと、企画・開発された。
それまで前輪駆動モデル(一部4WDもあったが)で“お茶を濁していた”メーカーの本気ぶりがよくわかる。高価な炭素樹脂製の軽量かつ高剛性のシャシーや、強烈なパンチ力を惜しみなくくりだすパワートレインによくあらわれているのだ。
まるで羽のように軽い。4C スパイダーに乗ると、私はいつもそう感じる。あるいは矢のように進む、と、言い換えてもよいだろう。4C スパイダーに乗っていると、スピードメーターで読み取る速度なんて無意味に思えてくる。楽しさの尺度は数字でなく、自分の感覚だからだ。
自分が速いと思えたらそれでいい。スーパーセブンからポルシェ「911」にいたる、よく出来たスポーツカーはどんな速度でも”速い”と、感じる。たとえゆっくりでも運転が楽しくてしようがないのだ。
4Cスパイダーの価値はドライバーにしかわからないだろう。見た目以上に過激かつスポーティであるのだ。そんな4Cスパイダーは2020年内に生産を終了する。現在。輸入元のFCAジャパンは、最終モデルの受注受け付け中。気になる人はこの機会を逃してはならない。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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