最強はNEOVAかDIREZZAかPOTENZAか、それともEAGLEか。
人気のスポーツラジアルタイヤは各社が性能競争を繰り広げる真っ只中。
横浜ゴムからお財布にやさしいエコタイヤがさらに進化して登場!
そして、セカンドグレードスポーツタイヤも絶賛盛り上がっている。
Sタイヤを超えるスポーツラジアルとは!? メーカー各社の大まかな特徴を解説!!
文/加茂 新、写真/横浜ゴム、ブリヂストン、ダンロップ、グッドイヤー
【画像ギャラリー】普段乗りもサーキットも楽しめる一石二鳥タイヤ!! スポーツラジアルタイヤで軽快に走る!!
■まずはスポーツラジアルタイヤのおさらい
スポーツラジアルタイヤとは日本で人気のタイヤで、普段乗りからサーキットまで楽しめる、そしてサーキットでのグリップが高いタイヤのこと。摩耗の度合いを示すトレッドウェアは200前後が一般的。
ひと昔前はサーキットと言えば、Sタイヤ(セミレーシングタイヤ)が主流。しかし、Sタイヤは溝が少なくて公道使用は危険でライフも短い。つまりサーキットで履き替える必要があった。
そこで街乗りも安全に走れて、サーキットでは高いグリップ力が長く使えるスポーツラジアルタイヤというジャンルが進化してきた。各社グリップとライフは常に競争になっており、スポーツラジアルタイヤ戦国時代が今なのである。
■ハイグリップと誰でも扱える優しさがNEOVAシリーズ
ADVAN NEOVAシリーズは2003年の登場以来愛されている。現在販売中のAD08Rは高いグリップと滑ってからの扱いやすさが特徴
では、どう違うのか。まず、ADVAN NEOVAシリーズ。
2003年に登場した不朽の名作AD07は、グリップの高さと滑り出してからの穏やかさから愛されたタイヤ。これでスライドコントロールができるようになった人も多い。
ショルダーに近い部分のグルーブ(縦溝)にダメージが及びやすいことから、その部分のグルーブを排除。同時に曲線的なデザインで負荷を和らげたデザインになったのがAD08(2009年登場)だ。
そして、そのコンパウンド(ゴム)を2013年にマイナーチェンジしたのが現在販売中のAD08Rである。キャラクターは変わっていなくて、高いグリップと滑ってから扱いやすいのが特徴。攻めすぎてもグリップが突然抜けるというより、ジワジワとラインを外れていくようなイメージだ。
その代わり、ハンドリングはどちらかというとマイルド系。良く言えばおだやか。悪く言えば曖昧さがあるともいえるが、だからこそその扱いやすさは特筆すべきもの。
そして、さらなるグリップを求める人にはADVAN A052もラインアップ。こちらはもっとグリップにキャラクターを振ったモデルで現在業界最強レベル。それなりに減るが、減ってもグリップ力が持続するので、最後まで美味しいタイヤだ。
約10年とロングセラーモデルのAD08R。今後の動向も気になるがオススメの1本だ。
■切れ味鋭いハンドリングとグリップ力ならPOTENZAシリーズ
POTENZA RE-71RS。タイヤの回転方向指定ではなく、IN/OUT側指定の設計で、OUT側は硬く、IN側は潰れるように、といったことが可能
ブリヂストンのスポーツラジアルはPOTENZAシリーズ。現在はRE-71RSが主力モデル。他社とは異なり、タイヤの回転方向指定ではなく、IN/OUT側指定の設計だ。
IN/OUT側をそれぞれ専用設計にできるので、OUT側は硬く、IN側は潰れるように、といったことが可能。コーナリング時の接地面積の最適化が図れるようになった。それによってグリップ力のアップと、ライフもよくなったという。
ハンドリングはシャープさが特徴。オン・ザ・レールの切れ味鋭いハンドリングで狙ったラインをトレースすることができる。そのためにはアライメント調整や、サスペンションのセッティングが重要。サスペンションは大きくロールするよりは、小さめロールの方が相性が良い。
アライメントはタイヤ自体が接地面積を稼ぐ設計になっているので、キャンバー角は少なめにしたほうが本領を発揮しやすい。
もっとグリップを求めるならRE-12Dがある。こちらはさらにシャープさを強化したキャラクターで、硬めのサスで上手くマッチングさせれば切れ味あるコーナリングが可能。摩耗はそれなりに早いし、そもそもステアフィールを良くするために溝が浅い設計なので、普段乗りがメインならRE-71RSがオススメ。
■走っても走ってもタイムが出るDIREZZAシリーズ
ダンロップ DIREZZAシリーズ。初代Z Iから現行のZ IIIまで、最高レベルのグリップ力と、新品時からすり減るまで大きく性能が変わらないタフさがポイント
ダンロップのDIREZZAシリーズはそのタフさが売り。Z IからコンパウンドのマイナーチェンジをしてZ I STARSPEC。フルモデルチェンジしてZ II、マイナーチェンジのZ II STARSPEC。そして現行のZ IIIと進化してきた。
いずれも当時最高レベルのグリップ力と、タフな性能がポイント。新品時からすり減るまで大きく性能が変わらないので、何度もサーキット走行を楽しんで、ベストタイム更新を狙えるとリピーターが多い。
性能はクセがなく、いろいろな意味で普通。空気圧も温まったときに2.0~2.3kg/平方センチメートル付近にしておけばだいたいOK。いい意味で鈍感なタイヤなのだ。
これまで2年スパンでSTARSPECにマイナーチェンジしていたが、Z IIIは2017年にデビューし、現時点でSTARSPECはない。正直グリップ力では最新の他社タイヤには及ばないが、安定した性能は特筆もの。価格も国産スポーツラジアルの中ではリーズナブルで、コストパフォーマンスは高い。
■高いグリップがすぐに得られるEAGLE RS SPORT
グッドイヤー EAGLEシリーズのRS SPORT S-SPEC。冷間時からの温まりが早く、真冬のサーキットでも序盤から不安なく走れる
グッドイヤーのEAGLEシリーズのホットモデルはRS SPORT S-SPEC。もともとダンロップのDIREZZAと兄弟モデルとも言えるもの。住友ゴム工業(ダンロップ)とグッドイヤーがアライアンス契約を結んでいた頃(現在は解消)に登場したモデルで、コンパウンドや構造などもかなり近いものだった。
しかし、明らかにRS SPORTの方が冷間時からの温まりが早い。真冬のサーキットでもコースインした翌周から明確にグリップが感じられ、不安感なく走れると人気に。
エンジンが熱を持って連続周回でパワーダウンしやすいロータリーエンジンのRX-8では、エンジンがフレッシュなうちにアタックできると高い人気を誇った。
グリップ力はDIREZZA Z IIIと同等だが、ピークが来るのが早く、熱ダレしていくのもやや早い。扱いは難しくなく、すぐにブワッとタイヤが温まってグリップが上がり、ステアリングが重く感じられるのは感動的でさえあるほど。タイヤがいつ温まったかわからない人にはぜひ体験してもらいたい。
■セカンドグレードタイヤはむしろメリットも多い!!
POTENZA Adrenalin RE003。セカンドグレードと呼ばれるタイヤで、グリップ力はスポーツラジアルタイヤには及ばないが普通のタイヤよりは遥かに上で、スポーツラジアルより価格も安い
サーキット重視のグリップはいらない、でも、エコタイヤや普通のタイヤが欲しいんじゃない!! という人にオススメなのが通称セカンドグレードタイヤ。ADVAN FLEVA V701やPOTENZA Adrenalin RE003だ。
サーキットでのグリップ力は、スポーツラジアルタイヤには及ばないが普通のタイヤよりは遥かに上。減りはスポーツラジアルより遅い。製造を国外で行っている場合もあり、価格も安い。たまにサーキットを楽しみたいとか、ワインディング・ロードを気持ちよく走りたい人にはベストマッチのタイヤなのだ。
また上達したい人にもオススメしたいのがこのカテゴリーのタイヤ。上達するにはたくさん走れることが大切だが、エコタイヤなどでサーキットを走るとトレッド面が剥離したりして、逆にすぐにダメになってしまうことが多い。また、グリップを失ったときの回復が遅いので、クラッシュの危険も高まる。
「クソタイヤでひたすら走れ!!」というのはウサギ跳びで校庭3周のような、前時代的な練習方法なのだ。
セカンドグレードタイヤならグリップ力が高すぎないので、タイヤに頼った強引なドライビングではクルマはいうことを聞いてくれない。
しかし、ミスしてグリップを失っても回復は早いし、サーキットでも減りは少ないし、街乗りもワインディングも安心して走れる。ある程度スキルが行き詰まった人が、基本に立ち返るという意味で履くのもオススメ。
スポーツラジアルはひと昔前のSタイヤどころか、レーシングタイヤに匹敵するほどのグリップ力を持つと言われる。ゆえに、ラフなドライビングでもアラが出にくい。上達向きのタイヤこそセカンドグレードなのだ。
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みんなのコメント
安いし楽しめて最高の相棒です。
最近のは純正で20インチとかで、高価だしサーキットでも限界高すぎて楽しめないよ。
最近のスポーツラジアルは、一昔前に較べたらエスタイヤ並に食いつくね。