8代目ゴルフGTIプロトタイプの助手席へ
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
せっかくフォルクスワーゲン・ゴルフGTIに乗るなら、普段なら助手席は選ばない。理屈抜きに、スリリングなドライビングを体験できるから。
でも、今回試乗するのは、最新の8世代目ゴルフGTI。英国のショールームに並ぶのは、2020年後半が予定されている。
世界屈指のテストコースで、開発途中のGTIを、1時間ほど楽しませてくれるという。またとない機会。今日ばかりは助手席でも構わない。
いくつもの書類にサインをし、厳重なセキュリティをクリアする。ドイツ北部、広大な敷地に広がるフォルクスワーゲンのエーラ・レッシエン開発センター・テストコースへの入場を許された。
わたしの隣りに座っているのは、フォルクスワーゲンのドライビング・ダイナミクスを取りまとめるエンジニア、カルステン・シェブスダット。新しいGTIのギアを7速に入れ、終わりの見えないストレートで、フラットアウトしている。
テストコースの路面は極めてスムーズ。部分的に4車線がある。全長は8.7kmもある。
デジタルのスピードメーターは249km/hを表示している。シェブスダットは新しいゴルフGTIと、2013年発表の先代とのドライビング特性の違いを、熱心に説明してくれる。
「高速域でも非常に安定しています。荷重がかかった時のリア側の剛性を高め、バランスを改善させ、ライン取りを向上させています」 ダッシュボード中央のモニターをなぞりながら話す。ドライビング・モードを、よりスポーツ志向のものへ変更した。
マイルド・ハイブリッドは不採用
突然、何の前触れもなく、シェブスダットはステアリングホイールを四分の一ほど切って、すぐにカウンターを当てた。「非常にレスポンスに優れ、従来以上に安定性も増しています」 そう話しながら、隣の車線を勢いよくまたぐ。ステアリング修正を加え、姿勢を整える。
横方向にかかる力は巨大なものだった。筆者のみぞおち辺りに強い力がかかる。プロトタイプはすぐに落ち着きを取り戻し、何もなかったように疾走を続ける。
新しいゴルフが登場したばかり。最新のゴルフGTIは、まだ知らないことだらけだ。でも、標準のゴルフとは違った印象を受ける。よりエネルギッシュでスポーティ。洗練性と落ち着きは、通常のゴルフと変わらないところにある。
駆動方式は、名高い血統にもとづいて前輪駆動。ライバルは、フォード・フォーカスSTやホンダ・シビック・タイプR、ルノー・メガーヌR.S.。引き続き、激しい競い合いとなる。
2020年に登場する8代目も、7代目と同じEA888型と呼ばれるエンジンを搭載する。2.0Lの直列4気筒ターボガソリンだ。
一度は電圧48Vのマイルド・ハイブリッド化を示唆していたが、フォルクスワーゲンは先代モデルに引き続いて、純粋な内燃エンジンのみの搭載を決定した。8代目ゴルフの標準モデルには、オルタネーターによる電動アシストも採用されているのだが。
7代目GTIパフォーマンスに近い動的性能
8代目ゴルフGTIの最高出力は、245psを4700rpmから6200rpmで発生。最大トルクは、37.6kg-mを1600rpmから4300rpmの範囲で生み出す。
通常の7代目ゴルフGTI比で見れば、15psと2.0kg-mの増強となる。一段高性能だった、7代目GTIパフォーマンスと同じ数値だ。
トランスミッションは、標準が6速マニュアル。オプションで、ステアリングホイールにシフトパドルの付く、7速デュアルクラッチAT、DCTも選択できる。プロトタイプもこちらだった。
電子制御のリミテッド・スリップデフも装備される。フォルクスワーゲン流に呼ぶと、XDS。コーナー内側のタイヤのスリップを検出し、電子制御のスタビリティ・コントロールを介して左右個別にブレーキを掛け、トラクションを維持する。
フォルクスワーゲンは、まだ動的性能の具体的な数値の多くを明らかにしていない。だが、標準のゴルフGTIは、先代のゴルフGTIパフォーマンスに近いことを、シェブスダットはほのめかした。つまり、0-100km/h加速は6.2秒付近だろう。
ちなみに彼は、初代フォード・フォーカスや、ポルシェ911GT3 RS 4.0など、評価の高いモデル開発にも取り組んできた人物。7代目ゴルフGTIの戦略を展開し、最新GTIでも2段階のラインナップを計画しているという。
従来のGTIパフォーマンスはなくなる。標準のゴルフGTIが、それに代わる性能を得ている。先代では限定生産となっていたサーキット走行前提のグレード、クラブスポーツが、GTI TCRと交代してレギュラーになる。
まだ多くの細かい調整項目が残っている
GTIクラブスポーツには、先代のGTI TCRと同等のチューニングを受けたEA888型が搭載される見込み。7代目ゴルフGTI TCRは、最高出力290ps/5400rpm、最大トルク37.6kg-m/1950rpm-5300rpmだった。
それ以外の駆動系に関する情報はない。ダイナミクス性能に関わる部分だからだろう。
エーラ・レッシエン開発センターで確かめられるのは、新しい標準のゴルフGTIが、どんな走りをするのかということだけだ。
このコースには、ほとんど何でもある。数分間はアクセルをベタ踏みできる、地平線へ消える長いストレート。遠心力を借り、適正な速度ならステアリングホイール操作が不要となる、大きなバンク角の付いたコーナーも。
インフィールドにはハンドリングコースもある。あらゆる種類のカーブや、路面状態が用意されている。
クルマにとっては、かなりきついテストのはず。公道に出ることなく、さまざまな条件で、限界領域付近での挙動も確かめることができる。
1974年にフォルクスワーゲンがゴルフGTIを発表して以来、クルマを際立たせてきたダイナミクス性能を、8代目も養うことができたのだろうか。従来以上の幅広い顧客を獲得するのに充分な、訴求力を備えているのだろうか。
「まだ多くの細かい調整項目が残っています。すべてのコンポーネントが対象です。新しいゴルフの開発当初から、予め組み込まれていたプロセスです」 と、シェブスダットは説明を続けた。
この続きは後編にて。
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